2025/06/03 のログ
メイラ・ダンタリオ >  
 ―――第七師団
 前団長が没した後についた苛烈な女団長
 魔族は須らく殺すそれは、先王の為に屠り続け、時折その血を取り込むことで
 より強い体を求めるメイラからしてみれば、必ずしも互いは気が合うというものではない。

 しかし、黒い鎧に身を包み両手剣を携えたその姿
 メイラが前線で亀裂を入れ込み、その攻め入ろうとする魔族らを小分けにするような
 厄介そうな図体のでかいものを中心に先に鉄塊を振るい、蹄を向ける間
 後方から第七師団が援護に入ろうとするのは、全体士気をより増し上げる。

 狂奔という、メイラの狂気が伝染したかのような最前線
 後方からは確かな殺意と計をもって詰める第七師団。
 最前線で ―――“ゴギンッ!!”―――と魔族の武具と鍔競り合う最中
 まだ周囲の人間でも殺せる者らを 剣が 槍が 弩が 術が 散らかし続ける。


   「灰髪…、…!」


 美しい女顔の彫り込みと、大きく開いた乱杭歯が外側に反り返る異形の女兜
 その覗く口元のギザ歯はギラギラと白い歯をむき出しにし、三日月のような笑みを浮かべる。
 ギシッギシッと包まれた装甲腕が、筋肉の膨らみに声を上げ、背丈勝るデカブツ
 それに対し、押し弾くように剣を叩き込むや、浮き上がる互いの剣。
 腰ごと回すような立ち上がり気味の横薙ぎでの片腕落とし
 更にその胴体へと食い込んでから、叩き飛ばすような打ち込みで転げる片腕無しを見下ろし。
 左右展開されていく獅子の群れを見ながら、迫る者らの動きが制限されることになる。


   「―――獅子の群れに合わせ、乱れたところから喰いちぎってしまいなさいっっ!!」


 真ん前から攻められ、左右で詰められ、窮屈になり
 目の前の斬り込み続けてくる非特大剣のシルエット。
 砦を攻略する以上、自身らのアスピダ戦のように
 そ魔族領側での本陣があるはずであり 攻め入るこの集団は理性と本能による
 賢い撤退と恐れによる逃走 それが訪れるまで
 この黒色と灰色が向けてくる 敵意 殺意 怒り に塗れていったのだった。


 
 

サロメ >  
狂気と呼ぶに相応しい。
魔物すら怯えを見せるだろう最前線の彼女の勢いたるや、魔族殺しの精鋭が揃う第七師団の面々ですら一目置くだろう。
タナールにとってはどちらともが特化した戦力。
つまりは彼女か、私か。どちらかが戦場にいれば事足りる。
考えてみれば、こうやって近い位置で共闘の形となることはあまりなかったが。

「彼女への直接の援護は不要。生半可な手出しは邪魔になる。
 ──中央は、私が手ずから往こう」

前師団長と同じく、その遺志に囚われた女もまた、師団長自ら最前線で剣を振るう。

幸か不幸か。
美麗な顔造りの女剣士二人、魔物魔族からすれば上等の獲物。
しかしてその二人は、生憎にも彼らを遥かに凌駕するフィジカルを宿した──女と括るには余りにもな、狂戦士。

「邪魔をするぞ。
 ──王都からの要請、後ろで遊んでいるわけにもいかなくてな」

大剣を振り翳し、外套を靡かせながら疾風の如く最前線へと切り込んで見せれば、後は黒髪と灰髪の人鬼がひたすらに敵を切り崩してゆくのみ──。

──決着までは、そう時間はかからなかっただろう。

メイラ・ダンタリオ >  
 周囲は同じことをいう。
 色も外見も、結構違う。
 でも似通る部分がある二人が揃っている状況。
 あの人(メイラ サロメ)と同じような人っているんだな、と。


   「狂犬呼ばわりと獅子が揃い踏みだなんて贅沢ですわ、ねっ!!」


 そうして、非特大剣と両手剣を携えた二人が、馬上で斬り殺し続ける
 剣が振られつづけるシルエットと軌道
 何度も衝突して響く撓んだ金属音。
 黒髪と灰髪の黒鎧姿 蹄の周囲では、躯が人もあれど、魔族領側の者らが多数。
 勢いも途切れず、エイコーンの時に比べ全員の脳が焼けたかのような動きだった。


 ―――そうして防衛を終え、メイラの勢も、第七師団も、剣を槍を持ち上げて勝ちの声を上げる。
 が、生き残っている者がいないか それを確かめるように剣や槍を突き刺す作業と共に、躯の処理もあるだろう。
 放れば魔獣と獣と病を引き寄せる。

 あらかたが終わり、門を抜けて砦内へと入った馬上の黒髪と灰髪
 二人の女最前線ズに、周囲の目。
 異形の女兜を脱ぎ、今だ肩の力を抜かないメイラが、フシィィッと静かに息を吐く。


   「いつもよりたくさん、いつもより早く殺し続けれましたわ。
    灰色獅子が率いる第七師団に感謝を。」


 ギザ歯笑み、赤い霞ガラスのような瞳で兜を脱いで礼を述べる。
 王以外は皆平等の精神を平然と続けるメイラも、獅子の勢にそういった態度を示す。
 怪力令嬢の言葉は第七師団にどう聞こえただろう。
 

サロメ >  
兜を脱ぎ、礼を言う彼女に此方も騎士としての礼を返す。
互いに息一つ乱れていないのは流石というべきか。
そんな二人を取り巻く視線は先程までの暴れっぷりへの憧憬と、それが終わっての彼女の姿への少しばかりの驚嘆。
戦場の最前線での姿と、伝え聞く狂犬の武勇伝しか知らない者も多かったのだろう。

「…彼女に失礼だろう。周辺の哨戒にでも出ていろ」

第七師団は決して行儀の良い者ばかりではない。
先代の頃より傭兵崩れやゴロつきまがいも入り混じった徹底的な実力主義。
無論、その端正な顔を晒した彼女に向ける視線の色が変わった者もいよう。
…とりあえず、そんな輩は女将軍の一声で退場してゆくことになった。

「貴女が先立って前線に出ていなければ我々の到着までの此方側の犠牲は増えただろう。
 こちらこそ感謝する。…師団として動くとなると、いまいち足回りが重くて困る」

こういった事情には過去の師団長も苦労したのだろう。
彼女のように単騎で突っ込んでいける特化戦力のありがたみを実感する。

──前将軍は彼女をどう見ていたのか。面識があったのかどうかも今となってはわからないが。
少なくとも…彼女のようなタイプは生きていたならば好んだだろうな…と。思わずそんなことを考えてしまう。

メイラ・ダンタリオ >  オーギュストとメイラが互いに面識があったかは、互いしか知らないことだろう。
 だが、存在でいえばどちらも組織は何度もメイラの周囲で名が挙がる。
 逆に組織よりも向こうはメイラ個人でいえば聞こえていただろうか?
 メイラはその体における混ざり具合から常若と呼べるような見た目を保ち、齢は不明瞭
 互いが轡を並べる機会が全くなかったとは言い難い環境だ この国は。

 この引継ぎを終えている第七師団団長は灰色の獅子と呼ばれ
 肥え豚貴族共を出し抜いて規模を依然と同じだけにしたとは当然知っている。
 でなければ灰色の獅子の勢いを利用しようとはしないだろう。
 誰だあれは、と血を求めるくらいには飢えたに違いない。
 復讐 魔族憎さ でここまでよくできる。
 忠義を元に動くことに比べれば、怒りや憎しみを続けることは逸脱させなければ難しい。


   「ふふ、可愛いものですわね。 モラルが低いとは聞くけれど、貴女の言うことはきちんと聞く。」


 一歩違えばメイラの剣が届くだろう第七師団の在り方。
 視線を受けながらも、その中に多少の欲が見えるほうがメイラには驚きだ。
 しかし役に立っているのだから、多少のお痛は素通りになる。
 なにより、“王がいたならば、きっと第七師団を手元に置いたままにする。”
 だからメイラは、くすくすと笑って受け入れる。

 話は変わり、斬りこむだけのような団体であるメイラ勢
 比べ第七師団規模は全体的に多勢だ
 その中の一部のようなメイラに比べて準備に時間がかかり、こうなってしまうという言葉にはメイラも笑みを浮かべるまま聞き。


   「皆殺しにする分だけおつりがくるからいいじゃありませんの。
    第七師団が来るまで耐えればいい、なんていう慰めは皆よく聞き(効き)ますのよ?」


 そうしていれば、元々の砦の勢か
 第七師団ともメイラ勢とも違う、砦防衛にいる間のメリットとしてか
 身動きできなくした魔族女の一部を砦内に運び入れている過程を眺める。
 第七師団の一部と揉め事をするかと思えば、メイラとサロメ 両方とその肉穴代わりを運び入れる両方を見て
 判断をゆだねているかのように見える。

サロメ >  
「…全体制から引き継いだ兵も多い。
 私というよりも…第七師団の長の言う事には従うのさ」

互いに名声と悪名は聞きつつも、こうして顔を合わせることはなかった。
どちらかがいれば事が済む、そんな立場であればこういう機会に恵まれでもしない限り…なのだろうが。

「……」

くすくすと笑みを浮かべる様子を見れば、少しばかり意外そうに、髪から除く片眼の金を瞬かせる。

そのようにも笑うのだな。
顔を合わせてみればそんな彼女の表情を知ることも出来る。
口から出ている言葉こそ端々に物騒なものが混じるが。

「…無論、足の遅さは働きで返すつもりだが。…現場が耐える鼓舞となっているなら幸いでもある」

彼女なりの慰めの言葉かもしれないが、それは素直に受け取ることとする。
改善の必要はあるが、時間のかかる事柄。そして何より…窮地に現れ魔族の軍を一掃するという役割が──一部の王族貴族には"受け"がいい。
……復讐のために味方に対する策まで弄する必要がある。皮肉だろう。

そして…何かと思えば、魔族女の処遇についての視線らしい。
無論、第七師団の理念でいえば捕虜は不要。魔族を滅ぼすという先代からの理念に基づき、全てを皆殺しにする。

「……戦利品か。…どう扱う?」

そう、問いかけた。
問いかけの真意は、その処遇の最後にあたる部分。
殺すのか、どこかに売り飛ばすなりして生かすのか。
最終的に始末するのであれば──その前に魔族が苦しむ分には、問題ないだろうと。

メイラ・ダンタリオ >  
 魔族女数名 肉穴代わりにするつもりだろうそれら
 視線が二人に集中しながら、予想通りというべきか
 殺すは結末であり、すぐに殺せと言わない。
 メイラも同じだった 此処に務める者らには甘い蜜を垂らす必要がある。


   「喉 歯 四肢の腱がちゃんと抜き断っておきなさいな。
    あと体力を食うから各自ヤり疲れとか抜かす際は―――」


 そこで二人の女傑 怪力令嬢と灰色獅子が示し合わせ全てに目を向けるように述べる。


   「―――ブっ殺しますわよ。」


 息抜きは息抜き
 つまみ食い程度させて、また其処に戻らせる気概とやる気を持たせるにはちょうどいい。
 捕縛されている身動きできない者らが、歯を抜かれ四肢を裂かれ、喉すらも後で軽く潰されるという結末
 それを拘束された口で 腹筋で、何度かビチビチと魚のように跳ね動こうとするのを見下ろし。
 そして矢継ぎ早に痛めつけられているのを見届け。


   「すぐに殺せと言わないだけよかったですわね。
    少し貴女が欲しくなりましたわ。」


 フフッと笑うそれは誉め言葉か
 優秀な轡を並べる相手がいてうれしいという感情と
 隠しもせずにダンタリオの矜持に習い、貴女との子が欲しくなりそう、と告げるあたり
 メイラの生き方はどこまでも崩れない。


   「サロメ お肉、食べます?」


 鎧の手入れ終えたらきっとメイラはすぐに肉と葡萄酒で体を補おうとする。
 それの際なのか、共に食事に誘う。
 新しい第七師団長はメイラも気に入ったらしい。
 どこまでも上下の無い接し方。
 

サロメ >  
「…人間に捕まった魔族に死はただの救済だろう」

すぐに殺せを言わなかったという言葉には、淡々とした言葉を返す。
第七師団の面々の中にはそれで魔族憎しの狂気を散らすことが出来る者もいる。
もっとも、戦場という場においては相手が魔族であろうと人間であろうと…という部分は在るものだが。

「ストレートな物言いだな…。
 策を弄して近づいて来る奴らよりもずっと良いが」

そういった彼女の物言いも悪い気はしない。
粗暴、粗野、歯に布切せぬといった前将軍の隣で補佐を長らく努めてきた女であるサロメはそういった口ぶりにも慣れたもの。
言いつつも、苦笑するように眉を下げたりはしていたが。

さて、それでは砦の中で今後のための砦の補修などの指示を…と思った矢先。
肉を食べるかという問いかけを受ける。
……肉?

「…砦の保全が先、と言いたいところだが。
 あれだけ盛大に叩き潰されればすぐに報復には来るまい。…いただくよ。メイラ・ダンタリオ殿」

狂犬、と呼ばれ称される彼女。
戦場での暴れぶりはまさに聞きしに勝る…であったが。

「──名乗りが遅れたな。サロメで良い」

メイラ・ダンタリオ >  
 「あら、ふふ。
  お互いの名前も通り名も当然のように知っていたけれど、紹介していませんでしたわね。
  わたくしもお好きなように、メイラでもダンタリオでも、怪力令嬢でも。」


 野菜など草ですわ、と地で言う肉主義のメイラ
 一緒においしいお肉食べて栄養をつけましょう?とわかりやすく誘い
 先に休憩なんてずるいと軽口を言う周囲
 お前たちは消化と栄養がすぐにいきわたるようにシチュー状やスープでも食っていろと軽口を言い合う。

 お腹すきましたわー、と馬上から降りてしまえば、愛馬を労わりながらもその鎧
 全身に雷撃傷でも刻まれたかのような血吸いした黒鎧
 水を含ませたブラシで全身を一度落とす必要があるだろう。

 馬を預け、鎧を終え、そうして団長側と、団長というわけではないものの目上扱いが多いメイラ
 それなりにいい部屋で砦司令官などそっちのけで、お肉は筋っこいのや脂身などよりも
 赤身肉こそですわと一枚肉ではなくより分けたのだろうカット肉が盛られた皿の上
 お互い同じ肉と同じ量 もりもりと何の肉かはわからないそれをモリモリとかみ砕き
 葡萄酒を流し込んで体の熱を冷まさせないあたり、互いに終えればまた動き出すのだろう。

 ただ、これ以降確かな顔見知りとなったことで、戦場でも王都でも交流が増えたことは確かである。
 

ご案内:「タナール砦 」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。
ご案内:「タナール砦 」からサロメさんが去りました。