2025/11/23 のログ
ご案内:「無名遺跡」にグリモワールさんが現れました。
グリモワール > 全てを調べ尽くされた、そう思われている遺跡にも案外探り漏らされた場所もある。
光が差す事もない、天井に床、そして四方全てを壁に覆われた、何の為に作られたかも分からない隠し部屋。
ソレが現れたのは、そんな本来ならば誰も足を踏み入れる事もないだろう部屋の中だった。

真っ暗な闇の中、更に深い闇が現れたかと思えば、その中から現れたのは一人の少女。
フワリと音も無く床へと降り立つも、床に触れるか触れないかの高さで少女の体は制止する。
両手で胸元に抱えられた大き目な書物が目に付く、遺跡とは場違いなドレスを身に纏い、白銀の髪と特徴的な姿。
そして人によっては更なる異常さを感じるのは、彼女の体から漏れ出る魔力が可視化されてしまっている事だろう。
ただ、今はまだそれを見るような相手が居ない為か、本人はそれを分かっていない。

「ん…また変な場所に来ちゃったみたいね、ここは何処かしら?
って、真っ暗で何も見えないんじゃ、何処も何もないわよね」

真っ暗な空間の中、小さな溜息を洩らす。
ゆっくりと広げられる本、パラパラと頁が一人でに捲れていき、何処かの頁でそれが止まる。
次いで起こるのは、その頁の一部の文字が順に薄っすらと輝いていき。

『光よ』

ポツリと零す少女の呟き。
その力ある言葉によって、少女から少し前方の空間に魔法の灯りが現れた。
周囲を照らす魔法の灯りによって、周囲の状況がはっきりと目に映る。

グリモワール > 「えっと…天井、床、壁、壁、壁、壁…あれ?」

灯りで見える事となった部屋を、上から下、前後左右と目を向けてゆくのだけれども。
ぱっと見では確かめられぬ、この部屋からの出入り口に小さく首を傾げてしまう。

「ナニコレ、何を考えたらこんな部屋を作ろうって気になるの?馬鹿なの?」

改めて見回してみても、特にコレといったものは見付らない。
作っただけで放置されたらしい、家具一つ置かれていない、本当に何もない部屋。
もしかしたら何かしら目的があって作ったのかもしれないが、今は確かめ様もないものだ。

今度は長く深い溜息を吐くと、広げたままの本の頁が、パラパラとまた違う頁へと捲れて止まる。
ここからは同じ流れだ、広げられた頁の一部の文字が順に薄っすらと輝けば。

『見通せ』

再び発する力ある言葉、本に向けていた視線を正面へと向けると、その視線がピタリと止まり。
ユラユラと僅かに床から浮かんだまま、視線を向けたままの壁へと向かって行けば、伸ばす右手が壁に触れ。
またも本の頁が何頁かに渡って捲れ、文字が輝く。

『瓦礫と化せ』

次々と発せられる力ある言葉、次に起こしたのは、触れていた壁をガラガラと音を立てて崩れ落ちさせるもの。
これで、この先に見えた別の部屋への通路が出来上がった訳だ。

グリモワール > ジッと部屋に空いた口を見る。
此処に居てもどうしようもないし、場所を移動した方が何かあるだろう。
少し思案した後にパタンと開いていた本を閉じれば、其処を抜けて先へと向かって進んで行くのだ。

そうして取り敢えずは一歩前進した少女であった。

ご案内:「無名遺跡」からグリモワールさんが去りました。