2025/11/06 のログ
ご案内:「無名遺跡」にケストレルさんが現れました。
ケストレル > 王都近郊の森林地帯に突如顕現した遺跡
街道に点在するギルドの出張所からも近いという事もあり、駆け出しの冒険者たちが頻繁に挑戦する事が多い

しかし、幾ら王都に近いからとはいえ、その全てが冒険者になりたての者でも踏破出来るという訳では断じてない
中には想定の域を超えた罠や魔物の出現、パーティ内でのいざこざ等の要因から踏破を諦めたり、遺跡内で行動不能となる冒険者も少なくはない

「……ま、骨じゃなくて装備を拾って来てくれ、って程度なら良いか」

カンテラ片手に、苔生した石畳を歩きながらケストレルは独り言ちる
今現在、ケストレルが進んでいる遺跡も、初心者には少し難度が高かった遺跡の一つである
果敢にも挑戦し、強烈な歓迎を受けて這う這うの態で逃げて来た冒険者から、装備の回収を依頼されたのだ

「……回収した装備は流石に売れんとしてもだ、報酬が割に合わねえんだよなあ」

ぶちぶちと愚痴りながらも進んで行く
報酬が割に合わない依頼、ケストレルにとっては、馴染みのジャンルの依頼だ
先日、自分向きの依頼が無かったこともあってか、掲示板に貼り出されることなく、自分へと回って来た時は流石に乾いた笑いが出たが

ケストレル > 「にしても参った……流石に一人で来るのは止しときゃ良かったか
 黙々と歩いてると気が滅入ってくる……」

さほど深刻そうではない声音で愚痴るのは、一人だからと言う安心感からか
それとも軽口でも叩いていなければ本当に気が滅入るからなのか

「それか出発前に娼館でも行っときゃ良かったぜ……ムラムラする」

……多分前者のようだ
この依頼が無事に完了出来たら久々に娼館通おうっと、などと宣いながら、不意にこれまでの歩幅よりも大きく、石畳の一枚を跨ぎ越す
暗がりの為に判別付きづらいが、何らかの罠であった
作動させる気は無いので、罠の内容までは知らないケド、と肩越しに背後を確認した後、再びボヤキながら歩いていくケストレル

ケストレル > 「はぁ、別依頼とか迷い込んだりとかした別嬪さんでも居ねえもんかなあ……
 いやいや、こんなとこで出逢いなんて求めてどうすんだっつー話だけども」

世迷言をのたまいながら、ふと足を止める
近くの壁に手をつき、一歩、二歩、三歩と進んで再び停止

軽快な風切り音と共に目の前を矢が通過し、石畳に弾かれて足元に散らばる

「……それに、こんな危なっかしいとこで盛れって方が難題だよな」

散らばる矢を軽く足で払いつつ、再び歩みを進める
目的の地点までまだありそうだが、場所の目星は依頼主の証言のみだ
必死に逃げ出して来た人間の証言がどれだけ信ぴょう性があるかは分からない
実質、遺跡の中をアテも無く探索していることと大差無い

ケストレル > 「ここまで来た感じ、確かに初心者向けとするには罠の仕込まれ具合がエグい気はするな……
 けど、ある程度経験積んだパーティなら難しいって程でも無い、か」

所感を記録しつつ、遺跡の奥へ奥へと進んで行く
道中、アンデッド型の魔物が出たり、転移罠を発見したり、
宝箱を見つけたりしつつ、無事に目的の遺失物へと辿り着き
遺跡内の情報と共に、ギルドへと提出したのだった

「……家を出たら、トレハン業に本格的に取り組んでみんのも悪くねえかもなあ」

遺跡から王都へと帰る馬車の中で、ケストレルはそんな事を溢したのだった―――

ご案内:「無名遺跡」からケストレルさんが去りました。