2025/08/14 のログ
■影時 > 刀を収めてホールの内部を見回す。宝箱やら目ぼしいものは――ない。そういうこともある。
こういう場所には何かあることが多い、というだけのことだ。それも浅い層を巡るとなれば期待度は減る。
仕方がない。駆け出しが何らかの理由で踏み込み、結果事故に遭う等のトラブルを防ぐための依頼だ。
仔細に空間を見回し、目視できる限りの違和感の有無を確かめ、念のために地図も開く。
羽織の下に手を差し入れ、腰に別途下げたポーチから数枚の地図を取り出し、現在の層のものと見比べる。
覚えている限りの侵入経路と地図上の現在位置に、差異はない。ずれはない。
「下の層に進む際の順路は……真っ直ぐ進んでの右、と。んじゃァ、虱潰し的にやるか」
地図に記された進路、順路を読み解き、今回の仕事的に順路から外れる方角に進むことを選ぶ。
今すぐに下層へと向かうための動きではない。それに深い層に潜るなら、装備よりも食料がそもそも足りない。
この場に放り出した魔物の骸はそのまま捨て置きつつ、今いるホールの奥にある通路の入口へと向かう。
薄暗がりの中、触れる遺跡の内壁は奇妙に平滑で、天然の洞窟とはまた違った人工物としての雰囲気をよくよく感じさせてくれる。
出入口は侵入する魔物やら雨風等の影響で荒れはしていても、この場所は大半が誰かの手が入った風情が織り成している。
(深い層になら存外、あの時のような奴が残ってるかもしれンが……まァまたいずれ、だな?)
昔、一番弟子と潜った時のことを思い返す。深い層は隠し部屋的な構造がまだまだ埋もれている可能性がある。
誰が、いつ、どのようにしてそんな仕込みなどをしたのか。分からない。分かる筈もない。
経験を踏まえて思うのは、踏破し尽くしたと考えるのはまだ早いのではないか、ということ。
魔法的に調べるにしても万全ではない。盗賊、斥候などを動員し、綿密に確かめなければ分からないことも多い。
考えを巡らせていれば、十字路に差し掛かる。順路は右側。今回は左側。地図上の記載によると、幾つもの小部屋に繋がった処に出る。
構造的に見れば、さながら独房、ないし個室と共用スペースの組み合わせによる宿舎とも。何か巣食っている、或いは囚われている可能性もある。
■影時 > 【敵脅威度判定(1d5)⇒1:普通(単体) 2:普通(群れ) 3:そこそこ(単体) 4:そこそこ(群れ) 5:とても強い(単体)】 [1d5+0→1+(+0)=1]
■影時 > 進行方向の先で、僅かに――音がする。何か居る。誰かが居る。
ヒト、ではなさそうだ。淀んだ大気に鼻が曲がりそうな臭気が乗っている。
貌は動かないが、ただそのままで嗅ぎたいという類ではない。首に巻く襟巻を引き上げ、覆面よろしく顔の下半分を覆う。
いつものことではある。内心で閉口しながらも、慎重に気配を滅する。足音を消す。
真正面に立っても、相応の実力者でなければ気づかれず、魔法的な感知すらも避ける隠形は、待ち受けるモノに対しても良く効く。
(……――眠そうだなあ。んーよくわかるよくわかる。分かるぞぅ。こんなトコにほっぽかれたらそう思うよなァ?)
だが、殺す。独房か居住区か。それとも兼用か。
何処ぞから運び込んだように見えるテーブルが置かれ、穴居めいた部屋が幾つも見えるエリアに踏み込みながら、ぽつんと座すモノを見る。
先程、叫び声もしたはずなのに気づいてないのか、それともどうでもいいのか。
大きな欠伸すら噛み殺すような有様の小鬼を見据えれば、右手を振る。掌の中に一本、棒手裏剣が落ちる。
それを大きく振りかぶって――、投じる。実力差も相まって、大きな隙を晒しているものならば逃さない。外す気もない。
『――~~~~!』
当たる。小鬼の脳天を穿ち、後頭部を破砕しながら突き抜け、石床に突き刺さる。
悲鳴は――響くにしても弱々しく、何故死んだかすらも自覚していないよう。
残心しつつ貯めた息を覆面越しに吐き、内部に進む。すり足で倒した小鬼の状態を確かめ、血に塗れた手裏剣を見つける。
慎重に引き抜き、小鬼が纏う襤褸で拭っては羽織の下、雑嚢の中へと放り込む。投じたものは可能な限り回収しておく主義だ。
「さて、誰か……居ねェよなぁ? 居たら返事してくれると有難いがね」
念のため、囚われの何やら等が居ないか確認がてら声を放つ。一々穴居を覗き込むのも面倒だ。
■影時 > 返る声は――ない。否、あっても困る。
こんな表層から略取などが生じていれば、下の層はどんな魔窟と化しているやら。考えるだけでもぞっとしない。
春先から夏真っ盛りとなって、一部の魔物の類は動きが活発している可能性もあるとも聞く。
討伐、殲滅成功の報告の数にも負けず、失敗した、未帰還と計上された数もまた幾つもある。厄介この上ない。
若し万一、この場でそうした話などが挙がった、生じたならば直ぐにでも取って返す程のものだ。
「……流石に術を使うのもなァ。手間と結果が釣り合わん」
気配を探る、感知を拡げる術技もありはする。だが、最終的に確実を期して穴のひとつひとつを見るだろう。
分身を出して探るのもアリではあるが、まだ先がある。大技の類は極力使うのは控えたい。
そう思いつつ穴の一つ一つを丹念に、如何わしい何かが見掛ければ、腰から外した刀の鞘の先端で突いて確かめる。
この部屋にも、宝箱の類は無かった。今回の探索はきっと外れだろう。仕方がない。そういう時もある。
取り敢えず、この階層のすべての部屋、玄室を確かめ、巣食っているものを掃除して帰途に就くとしよう――。
ご案内:「無名遺跡」から影時さんが去りました。
ご案内:「無名遺跡 落とし穴の終着点」にルヴィエラさんが現れました。
■ルヴィエラ > 遺跡の中に点在する、多種多様な罠。
致命的な物もあれば、悪戯程度の物も多くあり
古代の文明から其の儘残っている物や、近代に誰かが仕掛けた物まで様々だ
そんな、数多の罠の内の、ひとつ。 とても端的に言えば、落とし穴。
落とし穴と言えば、底にスパイクだったり、ワニ池だったりが定番だが
この落とし穴は底が無く、深い深い暗闇の先は、滑り台の様に曲がりくねり
落ちた物を、散々に転がした挙句、遥か地下へと案内する
出口――と言えるほど整った物ではない穴から、突然広い空間へと投げ出されれば
其処に広がって居るのは、遺跡の、人工物の面影とは真逆の、有機的な何かに覆われた場所
天井からいくつもの、瘤のような物が垂れ下がり、粘体のような物に覆われた床や壁面が
常に、湿り気を帯びて居る、異様な場所
―――そんな場所に、男が、ひとり。
「――――――……ふむ、相変わらず、やる事が大掛かりで適当だね、我が父君は。」
其の場から動かず、天井を見上げながらに、呟いた一言。
――そう、落とし穴はあくまで、呼び込む為の入り口でしかない。
本当の罠こそが、この部屋なのだ。
夜魔たる己が父君の、きまぐれと悪辣さによって、暇潰しに作られた
――それは一種の、淫獄。 巨大な、繁殖場なのだから。
■ルヴィエラ > 「何時もの事とは言え、仕掛けた上で放置する悪癖は、如何にかならない物かね。」
――なんなら、此れを作った事さえも忘れて居そうなのが厄介だ。
規模が大きい為に、放って置けば社会にまで影響が出かねない
今は未だ良いのだ、被害に遭うのは、運の悪い盗賊か冒険者辺りで済むのだから
だが、これ以上誰にも気づかれずに放って置けば如何なるか
――繁殖場の真価を発揮して仕舞えば。 其の時は、大規模な災害だ。
よって、気が向いたなら、こうして後始末に動いて居る。
おのれもまた、其の悪戯の全てを把握して居る訳では無いし
あくまで気が付いた分を処理して居るだけでは在るが
大抵の場合、娼館の娘達にまで、将来的に被害が及ぶやも知れぬとなってからの事が多い
と言うか、そうでも無ければ、本来は己の役目でも何でも無いのだから。
「とは言え、これは少々骨が折れそうだ。 ……一度では無理だね、何度か足を運ばなければ。」
――今、己がこの場から動かないのは、この空間が、動く物に反応を示すからだ。
もしも今、罠にかかった誰かが転がり落ちて来たならば
頭上に垂れ下がった瘤が、生き物の様に其れへと襲い掛かり、捕らえるだろう
瘤の中へと捕えられた生き物は、他の瘤へと捕えられた、別の生き物と同室にされ、瘤の中で繁殖を強いられる
――種族を問わない、強引な掛け合わせと言う奴だ。
だが、其れよりも。 もし、同じ種族同士で捕らえられて仕舞った場合、の方が余程問題だ
何せ始まるのは際限の無い交尾と繁殖、誰にも知られる事無く、この場で始まる増産が
何時しか巨大な「巣」へと変貌する可能性だって在るのだ
■ルヴィエラ > 「―――――とりあえず、一旦機能だけは切って置こう。
上限さえ設けて置けば、永遠に囚われ続ける事は無い筈だ。」
―――取り敢えずの対処とばかりに、魔術へと干渉する。
如何にアレでも、己が父。 魔術を解除するのも、干渉するのも容易とは言えない。
精々、内容を書き換えて、罠としての機能を弱体化させるのが、今すぐに出来る所だろう
特定の期間を経れば、自動的に瘤から排出されるように組み換える
其の後は――、……まぁ、脱出に関しては、身体さえ自由ならばやり様は幾らでもあるだろう
最悪、穴を昇れば良いのだ、頑張って。
「……さて…、……では、今日の所は一旦退散しよう。
余り居ると、父君に見つかりそうだ。」
見切りをつけて、其の儘、ひょい、と飛ぶ。
そして、其の身体が地面に再び着地するよりも早く、闇へと融かして
其の儘、この場から立ち消えてしまうのだ――
ご案内:「無名遺跡 落とし穴の終着点」からルヴィエラさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」にトリシャさんが現れました。
■トリシャ > 九頭龍山脈に点在する名もない遺跡の一つ。
もう探索しつくされたある遺跡で新しい通路が発見されたと言う事で出た調査依頼。
丁度、その依頼が出た所に出くわしすぐさま名乗り出て引き受けることに。
そして万全の準備を整え遺跡に向かい潜り、問題の通路の発見された場所にまでたどり着き。
「ここからが本番ね。何が出てくるか気を付けないと」
ここに来るまでは既に作られた地図もあったので道中に危険はなく。
しかしこの先は未開のエリア、地図もなければ罠の有無もわからない。
発見されるまでは封鎖されていたようなので生き物は居ないはずであるが、警戒は必要。
本格的な遺跡探索は初めてなので気合を入れ、明かりとメイスを手にして未開の通路へと足を踏み入れ、探索を始めていく。
■トリシャ > どんな危険があるか、そんな意気込みで通路を進み、明かりに照らされないくらい通路の先を警戒して歩く。
しかし何かが起きる訳でもなく、石畳の通路が続くのみ。
時折に部屋のような空間や脇道はあるが、先ずはメインと思われる通路を歩くことにして。
「特に何もいないし居ませんね。何も住めない環境みたいですから当然といえば当然ですけど」
広い空間に出れば簡単に調べはするが、目ぼしいものはなく。
途中に通路の壁に空いた穴、そこを覗けば天井から水が流れ込み、半ば湖のようになっている場所もあり。
「倒壊はないですよね」
こんな部屋を見るとついそれを心配してしまうが、たぶん大丈夫と考え。
もう少し通路を進んでいくか、ここで休憩をするか、どちらにするかと壁の穴の前で足を止めて考えて。
ご案内:「無名遺跡」からトリシャさんが去りました。