2025/08/13 のログ
ご案内:「無名遺跡」に黒仮面さんが現れました。
■黒仮面 > 薄暗い遺跡の中の一室、まるで中の闇が形となって現れたかのような人影が一つ姿を見せる。
その名を誰も知らぬ事から、その見た目から黒仮面と呼ばれる暗殺者。
そんな彼がどうしてこんな場所に居るのかといえば、依頼以外には何もないだろう。
とある冒険者、なかなかに正義感強く、名声もあり、人気も高いと名の通った男だったらしい。
それだけに様々な相手からのやっかみもあるようで、そうした相手の一人からの依頼でやって来たのが彼だ。
勿論、本来の依頼を遂行するのが目的ではあったのだが…
「期待してたんだがなぁ…女の一人も連れてねぇ男ばっかのパーティーとか、どんなだよ」
部屋から離れる前に、フード越しの闇に紛れた仮面が室内を一瞥する。
消えかけの灯に照らされる室内には、数体の横たわった骸。
軽く肩を竦めるような仕草をすれば、その場を後にして出口へと向かおうとするだろう。
■黒仮面 > 灯りも無い暗闇の中、まるで見えているように通路を歩む。
…いや、実際に見えているのだから当然だ。
彼にとっては昼も夜も変わらない、それこそ、真っ暗な闇の中であろうとも関係ない。
なのに、相手からすれば完全に闇に溶け込んだ彼を見付ける事は困難な事だろう。
普通ならば相手を見通すべき目も、素肌の一切も、何もかもが何かしらに覆われて隠れているのだから。
そうした要因が絡み合い、彼は同業者が相手であろうとも有利性を確保する。
もっとも、そこまで優位な条件を持っているにも関わらず、条件次第では彼自身でそれ等全てを台無しにする。
そうした点は色々とあるのだが…そこは、あえて伏せておこう。
彼としては、いつものように依頼を終えて普通に出口へと向かっているだけだ。
しかし、もし他の誰かがこの場に現れたのならば、彼の存在に気付く事は難しい、それほどに周りに溶け込んでいる。
興味を抱かれる事がなければ何事もなく終わるだろうが、現れた相手次第では間違いなく不意打ち案件となるだろう。
ご案内:「無名遺跡」から黒仮面さんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」に影時さんが現れました。
■影時 > ――この時期だからこそ、ということがある。
気付いた時にその都度そうすればいいのだろう。死者を思い返すことは、誰にでもある。
意識してとなると、夏の特定の時期だろうか。己が故郷ではその時期、死者の魂が戻ってくるという。
それと同じ風習がこの地にはないとは理解していても、夏が来たらついつい思ってしまう。
例えそれが顔を合わせたこともない誰かさんであったとしても、期せずして引き継いだものがあればこそ。
「やぁ、すまんね。ちと差し入れに寄り道をしていたら、昼になっちまった」
そんな声が響くのは、九頭龍山脈の麓に存在する古い遺跡の一つ。その入り口の近く。
既に浅層は粗方踏破され尽くしたとも思われるそこの入口から離れた辺りに、幾つかの石積みが並ぶ。
さながら墓のよう。間違いではない。墓、である。
何者であるかという証も立てられない程損壊した遺体、その遺体の一部を持ち帰り、こうして土に埋めた。
その内の一つに、黒装束に柿渋色の羽織を纏った男が手を合わせる。
積まれた石が何か浴びせたように湿り濡れて、つん、と匂いが立つのは水ではない。酒をかけたのだ。
果たして、その者が酒が好きかどうかは知らない。知己の鍛冶師は知っているかもしれないが、聞くのは野暮が過ぎる。
それでもなお、声も何も知らぬ誰かの残骸同然の遺体を地上に持ち帰り、こうして葬ったのだ。
その誰かさんが使っていた刀を、己が左腰に帯びているのだから、ついついこの時期は気に掛けずにはいられない。
「……――ん、さて」
行くかと思ったのは数日前。
出立前に思い立って牡丹餅を仕込み、そのうちの数個を宿部屋の冷蔵庫に「食べていい」と弟子に書置きして残し。
朝にひとっ走り向かうは知己の鍛冶師の工房。そこに牡丹餅と共に物資の差し入れをして、さらに走る。
忍者とは千里を走破しうるもの。それでもあれこれとやっていれば、この日の最終目的地に至るのは昼過ぎの刻限であった。
用が済めば、顔が向く先は遺跡の入口。
踏破され尽くしたと思うのは、どのような構造、傾向までも詳らかにした――と、思っていてのことだろう。
だが、常に監視されていない場所である以上、何が起こるか分かったものではない。
腕試しがてら潜った初心者が、思わぬ事態に遭う、という事も起こり得る。
故に属するギルドからは浅層に限定して探索、確認するよう依頼を取り付け、こなしたい用事がてらこうしてやってきた訳だ。
荷物を、装備を確かめる。強い日差しが嫌だったのか、避難したげな毛玉達は魔法の雑嚢の中。まぁ、大丈夫だろう。
■影時 > 装備は問題ない。腰の刀に柄巻や目釘のゆるみはなく、がたつきもない。
身に仕込んだ手裏剣類、雑嚢の隠しに差し込んだ短刀も善し。問題ない。
腰裏の雑嚢の中に手を入れる。意識すれば触れるふかふかを指先で撫でてやった後に、携行食のストックを意識する。
此れは出立前にも確認した。飲み水と非常食枠以外は約一日分。三回食える程度の分量であることを、確認する。
浅層から深層に放り込まれるなど、不慮の罠等がない限り、一回か二回、腹を満たした後は戻る。
――余力があっても戻る。
其れを再度、自分に言い聞かせる。遊びが過ぎるのは悪い癖だ。弟子達に説くものが思慮なく突き進むのは愚の骨頂。
ではまた、と。石積みに会釈をして動き出す。遺跡の入口を何気ない気楽な、だが、影のように静謐な足取りで進んで――。
「……――なーンか、多いな。知らぬうちに沸いたか、住み着いたか」
暫くしないうちに、巡回なのだろうか。外には出ずとも内部を警邏するように蠢く魔物の幾つかを、やり過ごす。
物陰に潜み、気配を滅して。何を喋っているのか分からぬ小鬼や豚鬼たちが過ぎた頃に、ぽつりと零す。
存外、先に誰かが入っている、潜っている可能性もあるかもしれない。
無数の足跡が残る一角があれば、そこにはまだ真新しい具足やら靴めいた痕跡も垣間見えた。
■影時 > 【敵脅威度判定(1d5)⇒1:普通(単体) 2:普通(群れ) 3:そこそこ(単体) 4:そこそこ(群れ) 5:とても強い(単体)】 [1d5+0→2+(+0)=2]
■影時 > 肌に感じる脅威としては――普通ではある。だが、それは侮れる程度であることを意味しない。
弱敵であると断じられる者が、駆け出し同然のものにもそうであるとは云わない。云えない。
思いのほか時間がかかり、尚且つ予期せぬ消耗、事故すらも招きうることだってあり得る。そういうものだ。
暫く息を潜め、動きを測っていれば、今しばらく見遣る魔物の群れはこの先の玄室を中心に動いているように見える。
(……つけるか)
では、どうするか。彼らの背後を取る。騒々しく喋る彼らは、「腹減った」やら「美味い女いねぇなぁ」とかいった処か。
嘆きとも愚痴にも聞こえる会話に意を向けていれば、其処に付け入る余地が出る。
ひたりと真後ろに付きつつ進む。気配を調節し、足音を消して周囲と同化したかのような隠形を為しながら、進む。
記憶している限りの内部構造自体には、見える限りで変化がない。
天井の高いホールのような石造の空間に出れば、一際大きい体躯の豚鬼――オークが待ち受けている。
得物らしい棍棒や斧を放り出しつつ、ぐちゃぐちゃと齧るのは何物かとも知れぬ生肉だ。
今つけている小鬼や豚鬼たちは、巡回がてらの使い走りと言ったところだろう。そう思いながら。
「よっ。やってるなァ?」
隠形を止め、気配を露にしながら友達にでもするように手を上げ、アイサツめいた声を投げ掛けよう。
ふっと湧いた人間の気配に、この場に集う魔物達はそれぞれ胡乱な叫びを放つ。
己とボスらしい大きな豚鬼との間を、視線を右往左往させるのはどうしたらいいのか?という処だろうか。
分かりはするまい。分かる気もない。ただ、己が仕事を為すのみ。殺すのみだ。
挙げた右手を静かに下ろし、腰に帯びた刀の柄に回す。
左手を鞘にかけ親指で鍔を弾く――抜刀。抜き打ちざまの一閃を為す刃圏の半径に、追跡した魔物達の殆どが入っている。
薄らと篭めた氣と。刃自体の切れ味と。そして刃を立てる業と。
それらの合算を以て分厚い皮と脂、太い骨を断ち切り、前に。何か叫びつつ、食べかけを放り出す大きな豚鬼に肉薄して刃を返す。
斬り下ろす。右肩から左腰までを真っ直ぐに繋ぐ逆袈裟の斬線を描く刃が奔り、抜ける。
最終的に幾つもの水袋を地面に叩きつけたような音を聞きつつ、血振り。