2025/08/06 のログ
シルニア > .
「……。」

言葉を失った。彼女に犬をけしかけ、ひどく怒られた事があったけれど、もしかしたら私もこの目前のゴブリンのようになっていたのかもしれない…。
けど、その血みどろの顔に浮かぶ表情は優しいもの。そのやさしさだけは血に濡れても隠れない。

「回復は大丈夫です。おかげさまでどこも負傷してないのですよ。
ちょっぴり、ですかねえー…。」

なんて小さく首を傾げるが…あまりツッコミを入れて怒られても怖い。
……もうすでに、私は彼女の支配下になってしまったのかも、などと思いつつも。

続く言葉はとても優しいものだった。
私は彼女の手を握り、ぐい、と積極的に彼女の体を引き寄せて。その勢いのままに彼女の胸に飛び込んだ。
洞窟で派手に氷魔法を使ったのもあって少し寒い。それを打ち消す人肌の暖かさや、抱擁による安心感が私を癒やした。

「んーん、ティアフェルさんこそ無事で良かったのです。こちらこそ、ありがとうなのでした。」

きっとアメとムチじゃない、はず。うん。

ティアフェル >  犬に関しては一切冗談が通じない女。……まあ、恐怖症の人間に恐怖の源を押し付けたら……大体は許されない。
 ただ、知らなかったのとその後の彼女のフォローで今はもう忘れたけれど。
 見た目には無事そうだけど、衣服の下なんかはうかがえないので尋ねたが。
 大丈夫そうで改めてほっと安堵し。

「そっか、無事で何より。
 冒険者たるものこのくらいの腕力(ストロング)はないとだってば。わたしソロもやるしさ」

 そんな理由。もともとのポテンシャルがゴリラと云う点に関しては……今自白する気なんかさらさらない。

 抱擁しようと伸ばした手はむしろその小さな手に握られ「ぉ?」とどこか楽し気な一音を洩らすと胸に飛び込んでくるちっちゃな身体をきゅーっと両手で包み込むように抱き締め。
 背中に手を回してよしよしとさすり。小さな身体は柔らかくて暖かくてなんだかいい匂いがする。
 ぁー…女の子ぉーとその高い女子性を堪能しながら、目をうっとり細めて。

「あは、お陰様だよー。しーちゃんが来てくれなかったら危うくロストするとこだったし……全然全然。すっかりこっちがお世話かけちゃって。
 ってゆーか超久しぶり! 元気だったー? うぅんん相変わらずちっちゃくってかあわいぃ~」

 ハートを頭からぽっぽっと無数に飛ばしながらむきゅむきゅなでなで。かいぐりまくる。

シルニア > .
胸に顔をうずめ…我に返れば少し恥ずかしくなって、顔を上げた。
代わりに彼女の方に顎を乗せることにする。

「うん、元気にやってるですよー?私もソロで討伐依頼を受けられるくらいには、です。
ちょっと剣の練習をしたりですとか、お店の運営だとか、色々あったのです。
ティアフェルさんは相変わらず…に見えるですがっ、最近なにかあったですかっ?」

「って、ちっちゃいって言うなーなのです!かわいいは…いいですが…照れちゃうのですよ…。」

なんて付け足しつつ。

「っと、いけないいけない、です。積もる話はあるですが、動かないと。
ティアフェルさん、仲間に心配されているみたいですよう?救難信号もティアフェルさんのために発信したのでしょうから。」

まったり話したい気持ちはあれど…それは移動しながらでも出来るだろう。
だから、ちょっとノリが悪いけれど、次の行動を提案する。

「私はここに来る時に、ふたつの魔力源を察知してましたです。ひとつは単独だったティアフェルさん、もうひとつは複数人いた誰かさん。
で、今もう一度探知してみると、複数人の誰かさん、はこのダンジョンの入口で待っているみたいなのです。

…ですから、お話は引き返しながら…でどうでしょうかっ?」

ティアフェル > 「そかそか、良かった。元気で何より。
 ふーむ……でも後衛じゃちょっと危ないねぇ。わたしが云うことではないが。
 ま、そうだよね。忙しかったのねえ……あー、まあそうねぇ。代り映えせず……そこそこ面白おかしくやってるよ。最近かぁ……相変わらず犬に脅かされてるよ……ゴブリンのが大っっ分マシだわ、ほんと」

 魔物よりも魔獣よりもなによりお犬様が怖い。あんなにかわいい毛むくじゃらが怖い。
 恐怖症の心理なんて誰に理解できないのだから仕方ない。
 ふう、と肩を竦めていたが、その大きさで小さいと云われて立腹する様子を、っは…と鼻で笑い。

「もうちょーとおっきくなったら……いいねえぇ?」

 ちょっと意地悪を云って、もっと怒りそうなんで、なんてね、ごめんごめんなんて付け足すように詫びて。

「あーね。行くかーぁ。……救難信号…? そんな気の利いたもの出してくれてたんかあ……見直すわ。
 お礼云わなきゃね、そのおかげで助かったし……」

 うんうんと同感して抱擁していた腕を解き、先に立ち上がって、立てる?と手を出して。
 ところでわたしの顔は生臭いな…とそこでようやく返り血を構って、顔をポケットのハンカチで拭い。

「ふむふむ……救難は出してくれたものの……お先にさらっと引き返したか……ま、間違っちゃいないけどさ…情ってもんは……あ、うんうん、そだね。帰り道くらいは分かるから……そうしよっか。
 いっぱい聞きたいことあるし。んで街に戻ったらどっか入ろうよ。お茶でもしばこー」

 その提案に同意して潜った遺跡の入り口まで引き返していくこととなり。
 道中索敵しつつ、無用なエンカを避けつつ無事二人そろって生還となるのだった。
 その後、お茶しよーぜーと街へ帰投して誘うことだろう。

シルニア > .

「救難到着のお伝えもしたので、それもあって出ていたのかもしれません。
…ですから、彼らとの関係は私にはわかりませんが、少なくとも今回の件はティアフェルさんのことを探していなかったワケじゃないと思いますよ…?
…ん。」

彼女の手を借りて立った。十分リラックスも出来た故に、腰が抜けたりと言ったこともせず、まっすぐと。
顔の血を払拭する彼女を見て、今までの暴力的なシーンを想起させるけれど、首を振ってその記憶を追い払った。

「うんっ、またお洋服も一緒に選びたいのです!
……けど、まずはきゅーけー、ですね。私、最近フレーバーティーがまいぶーむなのです。」

歩き出しながら、もう帰った後の話まで始める呑気。幸い、その呑気さが災いすることもなく、無事王都へと帰還して……

ご案内:「無名遺跡」からティアフェルさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」からシルニアさんが去りました。