2025/08/05 のログ
ご案内:「無名遺跡」にティアフェルさんが現れました。
ティアフェル >  ――っはあ、っはあ。
 荒い呼吸を繰り返し、どくどくと胸を弾ませながら目の前の敵と対峙し、

「せあぁぁ!!」

 裂帛を放ちながら魔物の脳天に戦棍を振り下ろす勇ましいアタッカー――…かと思いきや、スタッフで威勢よくカチ込んでいる――ヒーラー。パーティで編成を組んで入ったダンジョンと化した遺跡だったが……、分岐点で魔物の襲撃に遭い後方にいたヒーラーは一行と引き離されてそのままはぐれてしまい。今は2階層辺りでゴブリンに囲まれて、奮戦していた。
 先ほど迷い込んだこの狭い部屋にはゴブリンが数匹たむろしていて、倒さなければ前にも後ろにも進むことができず。破れかぶれ気味で孤軍奮闘。
 不幸中の幸いか、ホブゴブリンやゴブリンロードなど強化タイプはおらず、数は多いがどうにかこうにか地道に倒すことはできていたが。

「っは、――っふう! んぁ…!」

 無傷という訳にはいかない。打撲やら裂傷を負いながらも、斜めから躍りかかって来るゴブリンを蹴飛ばし、正面から飛びかかって来る一匹をスタッフの一撃で薙ぎ払い――一人ではさすがにかなり苦戦を強いられ。残り三匹となったところで、腕や足ががくがくと震えて来て、正直かなり――

「ツライ…!!」

 汗を滲ませながら、それでも膝を折る訳に行かず、一歩前に踏み込んできたすばしっこそうなゴブリンにスタッフをスイングさせるが、避けられ。

「――っひ、っぐ……!」

 肉薄されて右腹に棍棒の一撃を食らって身体を折った。

ご案内:「無名遺跡」にシルニアさんが現れました。
シルニア > .
無名遺跡群のダンジョンの中からの救難要請。私はそれに応えるべきかどうか迷っていた。
狼煙などではなく、魔力伝達による救難要請はその認識には魔法の素質が関わる。つまり、魔力に敏感な私がその要請を受け取りやすかった、ということ。

でも、私とて討伐依頼の帰還途中。魔力的な問題はなくとも、体力に少し不安がある。

……そんな葛藤に見舞われつつも、助けを求める人を見逃せまい、とダンジョンを潜ることにした。
探知を張り巡らせれば、感じられる魔力の反応はふたつ。ひとつは複数人、ひとつは1人。つまり、分断によるものだということも容易に想像出来た。
私が向かうべき先は単体の魔力反応。

―――――――――――
そして、その源へとたどり着けば、今まさにゴブリンから殴打を受けている女性の姿。

私は咄嗟に魔物と女性の間に緑色の魔法陣を展開。陣を中心に暴風を巻き起こして、魔物と女性を突き放そうと試みた。

「大丈夫ですかっ!?って、ティアフェルさんっ!?」

すかさず女性のもとへ駆け寄る。それが見知った顔であることに驚愕している場合ではない。
こちらは後衛二人──彼女はフィジカルはあるが、消耗している様子から前に立たせることが出来ないだろう──低級の魔物3体といえど、油断はできない。

まずは立て直すことが先決。私は地下空間に湿気が充満していることを利用して、水色の魔法陣を展開。
洞窟の壁から壁を分断するほどの大きな氷の壁を展開した。

ご案内:「無名遺跡」からシルニアさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」にシルニアさんが現れました。
ティアフェル >  やばい……やばいやばいやばいやばい……!

 このままじゃマジ死ぬ……、と体勢を崩したところを幸いと追撃に飛びっかって来ようとする魔物に咄嗟に頭を抱えて身を屈めたその時。

「――…っ!? えっ、っぶ……わっ!? な……え…、し、しーちゃん……!?」

 予想していた追撃ではなく――不意に目の前にカッと緑光が奔ったかと思えば、吹きすさぶ暴風にこちらも押されながらもゴブリンの矮躯は木の葉のようにふっ飛んで。
 そしてその陣を展開したと思しき小さな魔法使いがこちらへ駆け寄ってくると、その姿を認めて目を見開いた。

 しかし、暢気に再会を喜んでいる場合でもなく――一体は暴風に吹っ飛ばされて倒れて唸っているが後二体はぼろぼろの粗末な得物を手ににじり寄っていて。
 無意識にぎゅ…とスタッフを握りしめるが、真っ先に行動したのは魔法使いで今度は連中とこちらを阻む様に氷壁が空間を割った。

 目まぐるしく展開していく状況。取りあえず一旦は氷壁を突き破られない限りは息つく間くらいはありそうで、痛む右腹を抑えながら大きく息を吐いて額の汗を拭い。

「…ぅーぁ……やっばぁ……あ、ヒールヒール……」

 ともかくもこの隙にまずはとっとと回復せねば……と音階に似た詠唱を口ずさむと、ゴブをボコってたスタッフの先から淡い光を生み出して負傷箇所へと宿らせ。癒していき。
 ――で、改めて。

「ってか、なんで…?! なんでしーちゃん!? どうしてここに……!?」

 懐かしい顔過ぎて一瞬誰と思ったが、ちゃんと見たら間違いなく良く知った女の子だったので、思わず素っ頓狂な声で問いかけた。

シルニア > .
「見たところ逸れたと察するのです。恐らくティアフェルさんのパーティの人から魔法で救難要請を受け取ったのでして…
と、長々説明する暇はないかもです。アレは所詮は氷なので、きっとあまりもたないです!」

魔物は一体は怯み、一体は氷の壁を警戒し、一体はなりふり構わず氷の壁を棍棒で叩く。
私の言葉通り、ただの氷でしか無い壁は、その厚みにより一定の強度はあるものの…
無闇矢鱈に大きな壁を作った事が仇になっている。一箇所にヒビが入れば、その亀裂は大きな氷壁全体にまたたく間に広がった。

「地下の湿度を利用して作った氷ですから、次はすぐに同じ壁は作れないです。ですから、もって数秒。あと2,3回も殴られたら壊れるです。
策はあるですが、一体を確実に削る策しかないです。
その後は臨機応変に…ですが、ティアフェルさん、動けそうですか…?」

氷壁の殴られた箇所に魔法陣を展開。わずかに残った洞窟の湿気をヒビの中心の修復に費やすが…全体に及ぶヒビは残ったまま。
私は今後の戦闘に備えて彼女に確認を取った。場合によっては私が前に立つ…!

ティアフェル > 「なーるほど……? それでこっち来てくれたって訳かぁ。
 はは、それは奇遇だ。――おっとぉ……まだやる気満々だなあ……しつっこ」

 もう諦めてくれりゃいいのにめんどくさいなぁ、と舌打ちをかまし。
 氷壁をめったやたらと打つ打音に眉を寄せて。
 しかし、その知性の欠片も感じない力押しは正解で、ぴし…っと壁に入った罅が叩かれる度に大きく広がって壁を崩し始めるのが、透明な壁の向こう側から見えた。

「ぅは、やべーじゃん……えーと……つーまーり、一体は負かしちゃっていってこと?
 そんなら一体はこっちで叩くわ。ただ二体同時だと隙を打たれかねないから……念のためもう一体は足止めとかできる? 駄目なら――目に辛子でもぶっつけてみるわ……外すかもだけど……」

 ただの調味料だが、命中すれば足止めくらいはできるだろう。
 お陰で回復できたので、全然動けると肯いて。
 スタッフを握りしめ、ガン!と大きく混合が打ち付けられて、割れ欠けた壁の前に立つ。

シルニア > .
「良かった、元気そうですね。辛子…?
と、まあ、もう1体への対処は…自信はないですが、やってみるですっ!
繰り返しますが、確実性はないので無理に前に出ちゃダメですよ?」

彼女が自己回復で十分に動けるようになっていることに感情的な安堵と、戦略的な安堵があった。
遠征に不向きな調味料を持ち歩いていることに疑念を抱きつつも、ばりん、と更にヒビが入る音で我に返った。

「じゃあいくですよっ!そっ、りゃあ!」

私の身長よりも大きな杖を全力で振るった。氷の壁を挟んで、氷の壁を叩くゴブリンの前で。
氷壁は私の杖の打点を中心に砕けて、大小多数の氷の破片になる。
同時に振るった杖から、杖を振る勢いに乗せて放っていたのは"印弾"。棍棒を振りかぶっているのを見てから杖をふるった故に、それが着弾するのは確実。

そしてそれがゴブリンの体に当たれば…
氷の壁の破片が次々にゴブリンに向かって誘引され、あるものは突き刺さり、あるものは付着し…
絶命まで追い込むことが出来るかは定かではないが、少なくとも氷漬けにすることはできるはず。



問題はその後。彼女に任されたもう1体の足止めの役割を果たさないといけない。
氷壁の崩壊や同族の損傷に憤るか、怯むか定かではないが…それを確認するより先に私は行動に移るっ。

ふるった杖のフォロースルーの勢いをそのままに、回転するように杖をもう一振り。
私の目前に現れた魔法陣を杖で叩くようにすれば、それによって推進力を得た魔法の火球が魔法陣から放たれる。
火球は攻撃を目的としたものではなく、数瞬の後に爆発するもの。幸いこの空間の水分を使い果たした故に、乾燥していて発火の勢いも良い。
この爆発も攻撃目的ではなく、閃光による目眩ましを目的としたもの。できるだけゴブリンの目前で閃光を発するように調整して、彼女への影響を及ぼさないように…。

ゴブリン >  氷壁に怯んでいた一体のゴブリン。しかし血気盛んな仲間が氷を打ち砕き壁を崩すとそれを好機と判断し、先程まで逡巡していたのが嘘のように奇声を上げてぼろぼろに錆びた短剣を振り翳してでたらめに斬りかかっていくが、魔法で足止めを仕掛けられ真っ直ぐに向かってくる爆発の閃光でその攻勢は止まるのか―― [1D6+1→5+(+1)=6]
シルニア > [1d6+1→1+(+1)=2]
シルニア > (失敗!)
シルニア > .
「しまっ…!」

デタラメに、しかし勢いよくこちらに迫ってくるゴブリン。その動きは想定外で、私の放った火球はゴブリンとすれ違った後に爆発してしまう。
背後で発光しても目眩ましの効果は顕れず、その勢いは止まらない…!

ティアフェル > 「お陰様でー。目に当たれば足止めくらいにはなるっしょ。食べれるし目つぶしにもなるからマストよね。
 おっけ、じゃ、よろしくね。――てか、しーちゃんこそ無理は禁物、ね?」

 自分より小柄で物理的打撃には弱そうである。微苦笑気味に告げると、そんな悠長にしてる暇はないと氷の割れる音が促してるようで。はっとすると、

「――こっちもぼけっとしてる間はないかー…っ、はあい、勝ち割ってやるからヘイカモン!」

 一匹ならどうってことはない。敵の得物もリーチは短い棍棒だったから。さっきど突かれた恨み!とばかりに強く握りしめたスタッフを振りかぶり、挑発ながら軽くステップを踏み迎え撃つ。
 攻撃パターンはすっかり読めていたので、そうそうそうやって回避しづらい低い場所を狙ってくんのよね――とキエェエと奇声を上げながら素早いだけの突進で足元を狙って棍棒をスイングさせるゴブリンの小さな脳天へどごっと鈍い音を発して一撃させる。
 おーし、仕留めた!と頭頂をぱっくりと割られぴくぴくと痙攣するばかりのゴブリンにはもう目をくれている暇もなく……

「いっちょあーがりっ――て、おわっ! ちょ、ちょ、足止められなかったかあぁぁっ、しーちゃん!!」

 一体は氷撃を食らって半ば凍って斃れ絶命しているように見えた。少なくとも致命傷。
 とても動けまい。
 だけど、もう一体、足止めを試みてくれたものの惜しくも狙い外れたらしく火球が虚空で爆散する音がして、無傷であったゴブリンが短剣を振り翳して魔法使いへと猛進していくのをその背後から一足跳びに肉薄するとスタッフを大きくスイングさせその背を狙い打つが――

シルニア > [1d6+1→1+(+1)=2]
ゴブリン >  背後で爆ぜた火球に構わず魔法使いへ錆びた短剣で正面から斬りかかっていく――
 出鱈目で粗末な剣戟ではあるが素早さだけは並じゃない……その凶刃が達するか――
[1D6+2→4+(+2)=6]
ティアフェル > [1d6+1→5+(+1)=6]
ティアフェル > 「っの――! させるかあぁぁ!!」

 目の前で少女に躍りかかっていくゴブリンの背後からスタッフを強く横振りし直撃させ。
 その緑の頸動脈付近を強打するとどおっと前のめりに倒れるその背面へ躊躇なく体重をかけて踏みつけ、転がる後頭部をさらにガンガンと情け容赦なく動かなくなるまで打ちのめして。

「大丈夫!? しーちゃん…!?」

 頭蓋骨を割って飛び散った返り血で頬を汚しながら振り返る女。……ゴブリンより余裕でおっかない。

シルニア > .
猫のミレーである私はある程度身のこなしや素早さに自信がある。
が、大きな杖を大振りで振るってしまった隙に漬け込まれてしまえばその素早さは発揮されない。

私に出来るのは精々急所を突かれないよう、杖を手放して手で防御を試みることだけ。
襲い来るであろう痛みに備えて目をぎゅっと瞑った。

「……?
ティアフェルさんっ!ふぉ、フォローありがとなのです…!」

恐る恐る目を開ければ、脅威は取り払われていて。代わりに目に映るのはある意味別の脅威。
へなへなと腰を抜かして、尻もちをついてしまう。

「あの、ティアフェルさんのフィジカルは知ってはいたのですが…
想像以上なのです。……褒めてるですからね?」

念の為、死亡確認を取っていなかった氷漬けにされたゴブリンを視界に収めつつ、もう生きていないと判断した私はそのまま座り込んだ。

「もー……どーなるかとおもったです…。」

ティアフェル >  咄嗟に防御する少女前で撲殺撃が繰り広げられていました。
 骨の砕けるいやぁ~な音がしていました。
 目を開けたら開けたで返り血で血みどろな恐ろしい雌ゴリラが立っていたので多分二重に怖い。

「無事、かな? 良かったぁ……
 まったくうちのかわいいしーちゃんになんてことしようとしてくれたのか、苦しみが短いだけ感謝しなさいよ!……あぁ、もう聞こえないか」

 もうただの床の沁みと化したゴブリンを見下ろし踏みつけていた足を退けてと呟くTHE血みどろ顔。
 その場で頽れてしまう少女に近づくとその真っ赤に濡れた顔のまま屈みこんで覗き込み。

「へーき? ヒール要る?
 あは、フィジカル~? いや、そんなフツーよ、ふ・つ・う。ちょっぴりタフな19さ~い」

 てへっとわざとらしく作ったような無駄に明るい笑みを浮かべてこめかみ辺りにそろえた人差し指と中指をかざしておどける。
 そして、氷塊のようになったゴブリンと撲殺されたゴブリン二体。
 それぞれに目を向け。急にしーんと静まり返り、少なくとも新手の気配はない様子に。
 ふうっと息を吐いて一度警戒を緩め。

「やー……ごめんね、怖い思いさせちゃったね。せっかく駆けつけてくれたのに……ありがとう。もう大丈夫だよー」

 へたり込んでいるような姿勢の正面を気づかわし気に覗き込んで、そっと手を伸ばす。
 特に拒まれないならそのままきゅ、と小さな体を包む様にハグしようと。