2025/06/28 のログ
ご案内:「無名遺跡」にドリィさんが現れました。
■ドリィ > 無名遺跡――中階層。
闇を刳り貫いたような深い縦穴の中、
壁に寄り掛かりながらに場違いに寛いで、煉瓦色の髪の女は天を仰いでいた。
伸ばした流麗なる片脚、その足首部。
獣革で誂えたボディスーツは無惨に裂け、流血の痕跡を滲ませる布が巻かれている。
傷は既に酒で洗い、ペースト状に練った薬草を塗り込んである。
応急処置済、というやつだ。
失態である。トラップを避けた上での、二重トラップ。
つまりは落とし穴に落下し、穴の先住者たる魔物を排除する最中、負傷した。
お手上げ――…とまではいかないが、喜ばしい状況では無い。
一先ず、術符を焚いて人の気配に翔んでゆく煙鳥を飛ばしたから、
誰ぞが見つけてくれれば有難いところ。救助待ち、とするには運任せだけれども。
「ンー……跳べなくもー… ないけれどぉー………」
薬草の麻酔的効能にて痛みが和らぎ、相当に頑張れば跳躍でどうにかなる。多分。
ただ、直ぐに頑張りたいかといえば、否。何気に――結構負傷しているもので。
ゆえに、暫くの不幸な小休止と相成っているわけであり。
ちゃぷちゃぷと残量僅かなスキットルを片手で揺らした。
「イイ酒使っちゃったなァ…」
南方の炎熱地帯に自生する竜涎の草から醸した火酒である。半分以上が処置で消えた。
女にはそれが地味に悔しい。形良い眉が渋面を刻み。
■ドリィ > 暫くを穴底で無為に過ごした、後。
数刻が過ぎた頃、女の姿は其処になく――。
ご案内:「無名遺跡」からドリィさんが去りました。