2026/02/02 のログ
■オズワルド > 受け答えから考えるに、向こうさんは現在位置がわかってないし、現状周囲にお仲間も居なさそう。
戦闘能力を否定する要素はなし。
加えて、おみ足に靴はなく、何なら浮いてる。
精霊の類か、或いは魔族か。はて、と少し考えるも。
「オレは冒険者で、この場所は冒険に来るような場所ですしね。」
そうも見えます、と頷いて。
「街からはけっこう離れてるんで、送りますよ。馬の脚でもそこそこかかりますし…空を飛んでいく場合どういうルートで行けばとか話しづらいですから。方角間違われて、魔族の国に行ってしまったら目覚め悪いですし。」
その辺はさすがに、気を遣わせてくださいよ、と片手で拝むような仕草をはさみ。
「ま、私のお仕事終わってからですけど。ちょうど、山賊探すお仕事真っ最中だったんですが、そいつらの顔を拝見しても良いです?」
ちょいちょい、と指さして見せたのは、貴女の周囲にぶっ倒れている男たち。
その後、馬に乗せているバッグから羊皮紙の束を取り出した。羊皮紙の内容は、まあ指名手配者のリストである。
■グリモア > なるほど、警戒は自分がどんな相手かも分からないから、それは当然の事。
その受け答えから、さっきの山賊達とは違って話せる相手だという事はよく分かった。
浮いている自分の姿を見ても、そこをあえて追及はしないのも悪くはない。
「……ま、少なくとも私は人間ではないわ?
貴方に害を与えるような存在ではないから、そこは理解してくれるかしら?
今のところは…だけど」
そう、今のところは。
この先、今のまま友好的に接してくれるかは分からないから、それを断定するような事はしない。
「うわ、そんなに離れているのね…まったく、どんな場所に遺跡を作っているのよ…あ、いや、遺跡だからかしら?
とりあえず、案内があるのは助かるのだけど…そう、魔族?とは対立している感じなのね、覚えておくわ」
現状の理解、少しとはいえこの土地に関する種族間の関係に頷いてから。
彼の続く言葉にも、もう一度頷いて。
「山賊退治…捕縛?それが、貴方の今の仕事だったのね。
ちょっと対処に困ってたし、貴方がどうにかしてくれるのなら任せようかしら。
それじゃ、確認ね?ちょっと待ってて」
そう伝えれば、胸元に抱えていた分厚い本を両手で持ち直し開いてみせる。
一見すれば適当な頁を開いたように見えるのだが、その頁に視線を落とし…そこに書かれた文字が、薄っすらと光り輝けば。
『立ち上がれ、彼の前に一列に並べ』
呟く言葉は、魔法を発動する際に使われる古代語を使用したもの。
彼が言語にまで通じているのならば、その呟きは理解出来るだろう。
そして、その言葉にまるで操られたかのように倒れていた山賊達はゆっくりと立ち上がる。
言われた通りに、彼の前に一列に並んでみせるのだった。
「はい、これで楽に確認出来るでしょ?」
という、彼女の言葉と共に。
ちなみに山賊の誰もがどこか呆けたような、まるで夢遊病者のような様子を見せていた。
■オズワルド > 「その辺はお互い様でしょう。私…もういいか。オレとしても、害を与える気はないよ。
会話のできる相手だし、良識的なお付き合いができればいいと思ってる。まあ、美人さんに縁を持ちたいくらいの考えは許してほしいね。」
にっ、て友好の意識も合わせて笑いかけて見せる。
向こうがどこまで応えるかは知らないが、ある程度の警戒を解いた証の一つだ。
二つ目としては、張り巡らせている感知の魔法の方向性が、外側へと向いたこと。魔法自体は維持しているが、注目の方向が貴女からそれ以外に振り分けられたかたちだ。
「ああ、国外か何かから来た感じか。いや、人じゃなくて遺跡からなら…おっと、藪蛇かな。」
今は追求すまいと、そっと口元をおさえて。
「魔族とは関わらないように忠告はしておきますよ。特に今は戦時中なんで、近づくのも危ないかと。
王国の方がマシですよ、きっと。飯も美味いし。」
おすすめ、はしておきつつ。片手に羊皮紙の束を持ったまま馬上から降り――
「正確には山賊探しだったんですけど、始末できるならさっさと始末した方が楽なので――お?」
さっさと確認させてもらおうと歩み寄ろうとした足が、止まる。
貴女の胸元で開かれた本。そこからうっすらと見える輝きと、聞こえた古代語に一瞬目を細めた。
なるほど、あの本を媒体に…と、そこまで考えた後に、貴女の向けていた視線を一度切って、ゆっくりと立ち上がって並んで見せる山賊たちに目を向ける。
「だいぶ楽させてもらってますね! 心術かなこれ。うわぁー。敵対したくないなぁー。
あー、じゃあ楽させてもらってる間に、こいつに乗っててもらっていいです?」
ぽんっ、と先ほどまで自分が跨っていた黒い馬の首を叩く。
「移動はこいつに乗ってになるんで。 あ、馬に乗ったことなかったら言ってくださいね。」
では、と一声かけてから。羊皮紙の束を手に、やることはほぼ首検分。
あ、こいつ手配犯だ。賞金かかってる。あ、こいつが持ってる武器、貴族の印章付じゃん窃盗犯かよ…。等等。確認を進めつつ、剣を抜き。極力返り血がつかないように気を付けながら、順番に首を落していく。
山賊は死罪が常であるし、ここから連れ帰るという選択肢はあんまりにも街から遠すぎるのだ。
■グリモア > 「ん、なら良いわ。そういった考え方も、よく聞いてたから分かっているしね」
一人称の切り替え、その変化に少なからず警戒心は解いた、とは認識出来る。
さすがに笑顔で返す、みたいな事はしないけど、男性の女性に対する考え方の一つも理解していると伝えておく。
勿論、感じていた感知の魔法の方向性も認知したからだが。
次いで自分への認識の確認を口にするも、途中で口を噤めばこちらからは何も言う事はしない。
もっとも、追及されたところで答えたくなければ答えなければ良いだけの話なので、そもそも問題ともしないのだが。
「そう、その辺りは道中にでも、色々と聞かせて貰おうかしら?」
街までの案内は確定しているのだからと、それについては後で聞く事にしたらしい。
そう答えながらも行使する魔術に、感嘆と感想を述べる彼の言葉に小首を傾げ。
「ちょっと違うけど、似たようなものかしら?…大丈夫よ、変な気を起こさなければ何もしないから。
そうね、馬には乗った事がないわ、いつも飛んでるもの。でも後ろに乗るぐらいは出来るでしょ」
馬の乗り方を考えて、前に自分が乗って後ろに彼が…は、ちょっと油断し過ぎな感じを受ける。
幾つかの可能性を考えれば後ろの方が安全だろうと、そんな提案を出しておいた。
落馬しないのかを心配されそうだが、そもそも自分で浮けるのだから問題がないのもある。
それに、そもそも落馬しないようにしてしまえば良いという考え方もあったから。
そんな言葉の遣り取りをした後に、フワッと浮かび上がって提示した首元ではなく後ろの方へと腰掛けた。
後はのんびりと彼の作業が終わるのを待つだけで。
■オズワルド > 「じゃ、その辺りはおいおい、移動しながらで。」
今はさっくりと、始末を終えてしまおう。
山賊全員に首を落し、懸賞金がかかっている輩の首と、金になりそうな一部の武具だけを確保。首は魔法で血を抜いて、皮袋に突っ込んだら、馬の荷に括りつける。羊皮紙の束と武具の類も、荷物に突っ込んで、それで始末はお終い。
血を払った後に、布で剣の血を拭ってから、鞘に納めて。
ふ、と思い立って、荷物の中から丸められた1枚の羊皮紙を取り出した。
「お待たせしました。
…身長差考えると、前に乗ってもらった方が楽なんだけどね。
後ろに乗るなら、しっかり捕まってくださいよ?」
浮いていればバランスはまあ大丈夫だろうけれど。馬からも浮いてしまえばおいてけぼりだ。
まあ、流石にそんなことにはならないだろうとは思う。あれだけの魔法が使えるなら、その位は想定しているはず…たぶん…。
まあ、ダメだったらその時だな。
そう思いながら、鐙を踏んでひらりと馬上に上がる。
「じゃ、出発しますよ。しっかり捕まっててくださいね。」
そう告げて、まずは鳴らすように、ゆっくりと馬を歩かせて。血の匂いから離れていく。
「で――ひとまずは近くの国の名前から行きましょうか。この辺りはマグメール王国、別名まれびとの国、と言われている国の領内です。
現在地は王都の東側…九頭龍山脈のふもと近くですね。別名山賊街道。意味は言葉の通り。
王都まではけっこう距離があるんで…ここからだと一番近いのは港湾都市、ダイラス。 まずはそこに向かいます。
あ、聞いておきたいことがあったら、ばんばん質問飛ばしてくれていいですよ?」
特になかったら語りやすいように語ります、と言いつつ。背後の貴女に丸められた羊皮紙を差し出した。開けばわかるが、大雑把に位置関係をまとめてある地図だ。主に、山や海の位置から方角を割り出す用途のものである。
■グリモア > 「ええ、分かったわ」
とりあえず、後の話は移動中。
それまでは何かする事もないのだけれど、待つついでに彼の動きに目を向ける。
全員の首を落とさないのは賞金首かどうかの違いだろう、装備品を回収したのは…誰かの持ち物だったから?
そうした考えを浮かべながら、彼の作業が終わるのを馬上でのんびりと待つ事となる。
「前だと私にも気を遣うでしょ?
えっと…こことここ、離れないようにしてるから落ちないって感じになっているのだけど、分かる?
まあでも、何かあったら前でも後ろでも何かあるだろうし、大丈夫よ」
多分、彼は後ろから抱き付くような感じになるから安全かどうかの不安があるのだろう、と予想をするも。
こちらが行うのは座っている接触部分を離れないようにする細工を魔術で行ったもの、とは説明しておく。
落ちる事はなくなるけれど、結局は馬の方で何かあれば危なくなるのだから、そこは細かく言う事もないだろう。
もっとも、落ちないようにするだけでは揺れる動きの影響を受けるだろうから、掴まる事はしておこうとは思う。
彼も馬に乗り、動き始めれば、普通に進んでいるのなら大丈夫な事は分かるだろうか。
「……えっと…うん、分かったわ。
とりあえず、一緒に居る間は行く先々で教えてくれれば良いかと思う?」
受け取った地図を広げながら、説明も聞けば、ここがこうと場所と名前を合わせてゆく。
本当は彼の頭の中を覗き地図と照らし合わせれば楽なのだけど、さすがにそれが失礼な事ぐらいは分かってる。
友好的な相手みたいなので無駄に関係を歪める必要もないし、ここは素直に覚えていこう。
進みながら、要所要所で説明を聞いて、目的の場所へと向かう事となるのだろう。
■オズワルド > 「んー。少し待って。 La,Ra,Ia,」
音3つで発動される、歌唱にも似た音声発動の魔法。内容は単純、詳細な魔力感知だ。
馬をぽくぽく歩かせながらに、貴女の使っている魔術を確認する…と言っても、示された場所に魔力があるか、どんな効果か…程度の確認だが。隠ぺいでもされてなければわかるはず。
「ああ…なるほど。磁石みたいな感じですかね。それなら多少揺れても大丈夫そうかな。
ちょっと足早めてみますね。
しかし、さっきの魔法といい、今のその魔法といい。小技から怖いのまで収めてるとなると、結構な魔法使いさんですね?」
しっかりついてこれているかどうか、つながりの強度確認もかねて。黒馬の足を速めさせる。
もっとも、会話には支障がない範囲で、だけど。
とはいえ、普通に進んでいる範囲では特に問題はなさそうだ。それなら、このペースで進むのが一番都合がいいだろう。
するっと、警戒されない程度に探りの質問は入れつつ、馬を進ませて。
「じゃ、さくさくと説明しながら行きましょうか。
地図で見た通り、山賊街道を北に進んでいって、更に東に向かうとタナール砦があります。そこからさらに北に行った場所に、魔族の国があるって言われてますね。タナール砦が今の前線なんで、近づかないのを強くお勧めしておきます。」
戦地がどこか、までは地図には書いていないので、そこは今のうちに教えておきつつ。ぽこぽこと馬を進ませていけば、森を出て街道へ。
そのまま、しばらくは街道沿いを進んでいき――、ある程度進んだところで、街道周辺から木が無くなり、ぱっと視界が広がる。
「――ここからなら見えるかな。あっちが海です。」
馬上から西の方を指させば。遠目に見える青い海。
眼が良ければ、遠目に船が航海しているのも見えるだろう。
開けた場所に出たおかげで、ふわりと吹き込み潮風の匂い。
「海岸線沿いを少し南に行けば、港湾都市ダイラス。船乗りの街ですね。荒くれ者が多いんで…服装とか少し気を付けた方が良いかも?今の姿だと、荒くれ水夫に延々絡まれるかも。
…替えの服とか、或いは服を買うお金とかは持ってます?」
■グリモア > 待つように言う彼の言葉に、不思議そうに視線を向けるも。
発動する彼の魔法に、向けていたその瞳が薄っすらとした輝きを浮かべるのが見えるだろうか?
そうであるのなら、本を開いた際に見えたあの輝きに似ているのを、それを目にしていた彼なら分かるかもしれない。
ちなみに魔力感知を向けられているものの、それを阻害する力は働いていない。
本が輝いた時とは別の、彼女が浮遊している際に感じる魔力に近いものがあるのを感じ取れるだろう。
浮遊する、そのまま移動する、その体を何かしらする際に働く魔力…との予想に到るのは難しくはないか。
「磁石…そうね、今やってるのは似たようなものだとぐらいは教えておいてあげる。
魔法使い…ううん、ちょっと違うわ?でも、使えるのは変わらないんだから、認識的にはそう考えても良い…のかしら?」
細かく言えば本に記された魔法を自分が使う感じになるのだけど、それを魔法使いと言って良いのかは疑問だが。
下手に説明をする事もないと判断すれば、彼の考えている通りに魔法使いと理解して貰う事にした。
変なところでぼかしてしまったから、余計に混乱させてしまうかもしれないが…今更かもしれない。
説明を受けながら馬を走らせて行けば、山中を抜けて街道へと到達する。
進んでいた方向から、少しばかり横にずれれば辿り着けたかもしれないのだが、それも今更言っても仕方がない。
そこから更に進んで行けば山中を覆っていた木々も途切れ、目の前に広がったのは水平線、海であるのはすぐ分かる。
その光景を眺めながら、どこの世界にも海は存在するものだと思いを馳せていれば。
「私は大丈夫だけど、相手はどうなのかって事の方が心配かもしれないわね。
ちょっと脅せば黙ってくれると一番楽なんだけど……止めた方が良さそう?」
彼の言葉に答える彼女の言葉は、予防策というよりも下手な問題を起こしそうなものを強く感じるか。
少し考えた後に。
「お金はないけど、作れば…も、問題そうね。
面倒だけど服を変えるしかないのかしら…出来なくはないけど、何か参考になるようなものが見たいわ?」
ポツリと呟いたのは、これはこれで危険な発想。
そこは認識しているから自らの意見を自らで却下するが、服を変えるのも不安要素が少しばかり。
変えたは良いけど、結局目を付けられるような服装にしてしまっては意味がないので、そこはちょっと聞いてみた。
どんなのが目立たないかさえ分かれば、後は今の服をそれに合わせて変えてしまえば良いのだから。
■オズワルド > 一瞬、伺いみることのできた貴女の瞳。その輝きは、魔法を発動する際に本に浮かんだ光に似ていた。
このことから推察できるのは、恐らく貴女と本…おそらく魔導書は深いつながりがあるだろう、という事。
果たして魔導書の精霊か、或いは本に封じられた精霊か。物語を愛する者としては、色々と推察できることもあるが。
「まるで、物語の中から飛び出て来たような存在だね。
――魔法使い、という事にしておいた方が、世の中を渡るには丁度いいと思うよ。えーと…しまった、名乗ってなかったな。」
ぱしり、と片手でおでこを叩いて。
「オレはオズワルド。冒険者のオズワルドだ。良ければ名前を教えてほしいな。」
そんな言葉が、馬の駆ける音と一緒に貴女の耳に届く。
そうして、海の見える街道を黒馬が進む。街道となれば、そこを進む馬車なども目に入り始めるだろう。つまるところ、時代的には馬車が使われている時代だ。
「君は、あー…たいそう美人だし、目立つから、脅して黙らせた後別の水夫が絡んでくると思うね。
で、そうやって騒ぎになれば、金と暇を持っている奴らが目をつけ始めるだろう。…ダイラスは国内でも有数の賭博場がある。で、そういうところで遊んでいる層は珍しいものを求めるものだ。一番最悪なのは、身柄を押えられて奴隷にされることかな。」
悪目立ちはお勧めしない、と。そこは素直に言う。だって、オレだってこんなドレス姿の美少女が居たらナンパするし。
今の状況もほぼナンパである。
「贋金はやめておいた方がいいなぁ~。役人の中にはそう言うのを見破る魔法使いが居るって言うし。
ん~…じゃあ、そうだな。少しの間、オレと一緒に行動する?
衣服のサンプルが見れるように服屋に行っても良いし、金の稼ぎ方、買い物の仕方や相場、そのほか色々教えられると思うけど。」
どうよ?って。今は馬の後ろに乗せているから顔は見れないけれど。 かくん、と伺うように首が傾いで。
「ついでにオレの仕事を手伝ってくれたら、利益は山分けできるよ。この国じゃ、金があるに越したことはない。」
■グリモア > 目視した魔法を自動解析して本に刻む、この現象だけは止められない。
とはいってもこうした魔法の収集もまた自分の目的の一つなのだから、隠す気もないのだけれど。
見られて知られたかどうかは分からないが、特に言に出して示さないところを見ると気にしなかったのか。
それとも、推測の域で止まっているので言わずにいるのか。
どちらにしても聞かれたところで事細かく答える事は出来ないのだから気にしても仕方が無いか。
だが色々と教えられた身である事は確かなのだから、何もかも答えないのも悪いだろう。
「グリモワール…まあ、今まで会った人にはグリモアって呼ばれていたわ。
で、これも私。今はそれだけ教えてあげる事にするわね」
だから、名前と、その存在を大雑把にだけど答えてあげた。
これが何かを示すかのように、彼の背に両手で抱えていた本…自分と繋がりを持つ魔導書を、押し付けながら。
「物凄く面倒そう…」
進み続けて行けば、チラホラと街道に他の馬車等も見え始める。
そんな光景を眺めながら、彼の言葉にポツリと呟く心底面倒そうな呟き。
人に紛れるのは難しくない、体から漂う魔力を抑える事は出来るし、その姿を服装ごと変化させる事も可能だから。
だけど性格や性質を変える事は出来ない、何かあってバレたりすれば彼のいう事態も想定しなければいけない。
もっとも、本気を出した彼女であれば対応も出来るだろうが、間違いなく色々と別の問題が発生してしまう。
だから結局は彼の言う通りに行動する方が、少なからず単独行動するよりは問題も起き難いと思われる。
色々と頭を悩ませてはいるも、彼の意見を最後まで聞けば。
深い深い溜息を、また吐いてみせながら。
「分かったわ、それじゃ、慣れるまでは一緒に居てあげる。手伝ってもあげる。
でも、変な気は起こさないでね?」
誉め言葉を混ぜるのは、少しでも気を持っている証拠だ…と、彼女は考えている。
それが素直な意見であっても、そこは注意しておくに限る事をよく知っているから。
今はまだ…そう、先の事は分からないけど、まだお互いの事を多くは知らない。
だから協力は頼むし、その対価にこちらの出来る協力で返すのだと、今はそれだけを答えておいた。
■オズワルド > 今はまだ、深く踏み込むつもりはなかった。踏み込み過ぎて、ここでお別れ…という流れが一番、もったいない。そう思っていたから。
とはいえ好奇心はある。冒険者なんて、好奇心に突き動かされるものなのだ。そんな自論。
そんな内心であったから…教えられた一つ。 これも、と示された言葉と本を押し付ける行動に、おお、と嬉し気に声を上げた。
「秘密一つゲット、なんてね。じゃあ、グリモアって呼ばせてもらう。
オレのことは、まあオズワルドなり、オズなり。好きに呼んでくれれば。」
そう告げる声は、楽し気に弾んでいる。
これはきっと…一つの冒険の始まりだ。たぶん。
「人間社会は面倒くさいことが付きものなんだよね。
それこそ、冒険者にでもなっておく?身分証明が何もないよりは、門を通るのが楽になると思うよ。」
どうしても、とまでは言わない。オレが一緒に居る分には、人ひとり連れて出入りするくらいならオレが保証できるし。
多分グリモアなら、魔法でごまかすのも何とか出来るだろう。そう思う位には、山賊たちを操った魔法は強烈な印象があった。
しかして、彼女が思い悩むのも解るので。すぐには返答を求めずにのんびりと答えを待って…深い深いため息に、なるほど。と一つうなずく。
「やっぱり、だいぶ遠くから来たんだね。距離か、時間かはわからないけど。」
出会ったばかりの自分の提案に頷くくらいには、頼るすべがないのだろうと理解してしまった。
どこか遠い場所から来た、魔導書とつながった美少女。こいつは中々の大冒険だ!
「だいじょうぶ、安心して。変なことはしないから。」
きりっと顔を引き締めて告げたところで、今は馬の上。後ろに乗っている貴女には顔が見えないだろうけれど。
「それじゃ、しばらくの間はよろしく、グリモア。
この協力関係が終わった頃には、友人くらいには慣れていると嬉しいね。」
さて…そんな風に語っている間にも、馬の脚は進んでいき。遠目に見えてきたのは湾口都市、ダイラス。
幾つもの船が出入りするその都市まではもうすぐにたどり着く。
「さーて、ダイラスに着いたら色々やらないと。首の換金と、ぶんどった装備の処理と…あ、一番最初にやらないといけないことがあった。」
ぽん、と手を叩いて。
「まずは靴屋に行こうか。 裸足で浮いてる女の子は、たぶん、すごく目立つから。」
けら、と笑って告げながら、黒馬はダイラスへと向かっていくのでした。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からオズワルドさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からグリモアさんが去りました。