2025/11/28 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山中/自然温泉」にアルジェントさんが現れました。
アルジェント > 山中、硫黄の香りが鼻腔を擽る温泉地帯。
湧き上がる源泉から少し離れた場所、川辺と交じり合う場所でちょうどいい温度を保つ自然温泉。

湯気がけぶる中を、傍の川で浴びた血潮を洗い流した女がゆっくりと身を沈めた。

「あ゛ー………」

衣類は適当に高くなった岩場に。その傍らには仕留めたらしい魔物の躯。
硫黄の香りは鼻につくが、それよりも鬱陶しい血生臭さが押し流されていくのに目を細めた。

ついでに水で冷えた体もじわりと温もりを取り戻す。

蒼鈍色の毛並みを濡れた手でかきやり、ついで少し鼻を鳴らす。
まだ少し残る血の匂いに、ざぶりと、顔の半ばまで浸かり。

アルジェント > 天然の湯船とそう表現するには少々狭くはあるが、体を沈められる程度には深いし、足は延ばせる。

ざぱ、と体を半分引き上げて、湯のしぶきを散らす。
今度こそ薄まった血の匂いに一息ついて、濡れた手でいい加減に髪を後ろに梳きやった。
中途半端な長さの毛先から湯が滴り、濡れた肌の上を滑り落ちてゆく。

大取物というわけではないが──、駆除指定の魔物だった。
落ち着いた後でギルドにもっていけば、とりあえずは依頼達成ということにはなるだろう。

───特に急く様な期限が設けられていたわけではない。
予想より流れた血を洗い流す程度の時間くらいはあるからこうして湯に身を浸す。

山中に点在している温泉宿を訪れなかったのは単に場所の問題だった。
わざわざそうしなくとも、多少の不便に目を瞑れば、この辺りはこうして勝手に湧いてたまった湯だまりがそれなりにあるから、というのも理由の一つ。

アルジェント > ───ふわ、とため息にも似た欠伸を一つ。
一度冷えた体を温め直すまで、もう少しこうしていよう──。

ご案内:「九頭龍山脈 山中/自然温泉」からアルジェントさんが去りました。