2025/09/19 のログ
■ラファル > 「うん、だって、たまには構ってほしいしー?
篝ちゃんだって、絡んでみたいしー?」
つまり、自由に遊んでいて、寂しくなったからという事で。
時折、一緒に冒険に行くこともあるし、そういう事をしたいな、という所だ。
師匠の呆れた表情、そして―――新しい修行の提案が発生した。
師匠の手に水の玉。師匠の手が濡れることもなく、手のひらから零れ落ちるわけでもなく。
唯々、水の玉となって、ころころと転がっている。
氣を使いそれを行っているようで。
ラファルも小さな手に水を救い、氣でコーディングして水玉を作って見せる。
「これで、良いの?」
氣に関しては普段から行っているとか言うか。
108匹分身であちらこちらに遊びまわってたりもするから。
細かな操作もお手の物でもあった。
「だって、篝ちゃん、修行だったんでしょ?
邪魔したら悪いじゃん?
終わるまで待ってよーって、思ったんだよ?」
思ってたけれど、結局は邪魔になっている。
とはいえ、師匠の出した新な課題があるから、邪魔にはなってない、と思いたい。
まあ、何もかも、ようぢょは幼女でしかなかった。
それでも、篝の言葉に、ぽむ、と手を叩く。
「それもありかも!」
とかいっても。
今はさすがにそれをするときじゃぁないという事は理解している。
冗談は冗談にはならないのかもしれない。
にひぃ、と口角上げて笑って見せる。
「篝ちゃんもする?」
ことんと首を傾げる、年上の妹弟子にお誘いをかける系幼女。
■影時 > 「おお、知ってたか。なら話は早い。
――学者に言わせれば、もっと細かく深い理屈があるそうだが、水を撥ねる有様は応用が利く。
足裏に利かせ、体重を支える位に強め、均衡を保てるよう出来るなら……」
蓮葉は何故に水に濡れずして玉を作るか。水を撥ねるからだ。蓮の葉は濡れることがないのである。
どのような分野でも、いきなり大きな目標、重い課題を課して上手く行く試しはない。
であれば、もっと細かく、今すぐ出来そうなことに小さくしていく。フォーカスを当ててゆく。
何より、氣を細かくコントロールしていくということは、どれだけ練習しても困らない事項である。
水遊びは丁度良い。氣を用いて水で遊び、親しむのは精妙な制御を掴むにうってつけと言える。
云いつつ、掌の水に氣を通す。氣を巡らせる流れに乗せて、躍らせる。
大玉になり。小玉の群れになり。小玉の群れが数珠繋ぎになって、龍蛇めいたカタチを取ってくねる。
「その点すまんなぁ。色々かかりっきりだったもんでよう。
悪くないが、ちとトバしてンなぁ。
掌で水を撥ねて玉に転がす処から、だ。氣を通す遣り口はあるが、今回の行は水に浮くための細かい感覚作りだ。
――氣の上で水を遊ばせ、手玉に取れ。此れは余分な氣を使わずに事を為すことにも通じる」
一番弟子の幼女が小さな手に水を掬い、氣で包んだ水玉を作る。その様を謝りつつ見やり、指導の句を紡ぐ。
それも手法としては悪くない。強い氣量を持ちうるなら、そうやって事を為すのも悪くはない。
最終的に目的を果たせればいい。だが、修行の勘所としたいのは、精妙な制御の面。
しかし、毎度ながら思うことはある。大いにある。服を着させるべきか。此処ならばいいか、と思うのは己が甘さゆえか。
「うんうん……て、おいおい。
さりげに茹だったこと云ってねぇかね篝よ、って、ラファルも乗り気かい!?」
どちらが姉弟子やら。諭すような言葉が――あれ。ストレートに素っ頓狂なことになっていないだろうか。
水滴と共にぽむと手を叩くような有様に、思わず制御を失う。
ばしゃっと掌を濡らしつつ、二人の弟子を見る。
一人は野性。もう一人は理性……とでも思いたいが、先刻の言葉はいやいや。まさか。
テントの庇の下、傍観者たるけだまーずが、呆れたように肩を竦めた気がした。
■篝 > 「うん、足の裏に……蓮がある感じ。身体を支える強い葉、バランスよく……」
与えられた助言を聞きながら、返事をするように呟く度に頭の上の耳をパタパタと揺らして。
その隣で、二つ返事でいとも簡単に水を球体にして扱うラファルの様に気圧される。
より長く訓練を受けてきた姉弟子は、元来の才も合わさり氣を扱うセンスは圧倒的。
真似て同じように手で水を掬ってみるが、此方は安定せず、掌の上で水は震えて波打つばかりで。
二人のように安定して水の玉を保てなければ、水上に長く立つことはきっと難しいのだろう。
一度手の水を捨てて、今度は足元の水蜘蛛に氣を集中させ、板を蓮の葉に見立てその上に立つようなイメージを固めていく。
その最中、姉弟子の話に耳を傾けていた。
「修行だけど、ラファルが一緒でも修行は出来る。
……ラファルには、物足りない……内容かも、だけど。
遊びは……水の上に立てるようになったら、私も一緒にする。ので、それまでは先生と待ってて欲しい」
出来るだけ、姉弟子を退屈させないように早く目標を達成しよう。
そう思いつつ。いざ、実践――川の上へと一歩を踏み出し、そーっと右足を置き、反発するような感触を足で確かめて。
左足も踏み出したところで、ぽんっと手を叩き嬉しそうな姉弟子に首を傾げる。
「――わ、私は……まだできてない、から。出来るまで修行してる……ので。
何故ですか? 私は茹だっていません。
先生とラファルが互いに望むのなら、外野の私が止めるのはお門違い……? なのではないでしょうか。
私は先生の所有物ですが、先生は先生のものなので……」
揶揄い遊ぼうと誘うような姉弟子を、キョトンと目を丸めて見返し。一緒に出来ない言い訳を上げて視線を逸らす。
傍で驚き手の中の水を落とす師の方にも、同じように首を傾げて困惑気味に淡々と言葉を返した。
冷静沈着、淡々とした声音だが、足元の氣は言葉を重ねるごとにブレて、忽ち不安定になり。
「うぁ……っ」
間抜けな悲鳴と共に、また白猫はドボン。と川に沈むのだった。
■ラファル > 「篝ちゃんの方が、なんか色々あったもんねー。
え、手のひらの方をコーティングするの?」
ラファルにとって氣は、己の生体エネルギーのようなものだという認識があるから。
自分の身に纏っている所が自然な状態で、放出したりする方が応用だと考えていた。
だから、原点に返って、手のひらに、氣をまとい直し、そっと水を手の上に。
氣で身を弾きながら、丸っこい球へとなる水玉をみやり、ころころころころ、と。
「あ、そーゆー。」
そして、理解する。大量の素材をふんだんに使うのではなくて、最低限の氣で、という事か、と。
掌に纏った氣は薄く、小さくなって、水玉が乗る分だけの薄い板のような状態に。こういう事?と確認するように、首を傾ぐ。
「え?だって、雄と雌が居たら、子作りするでしょ?」
当然の事じゃないの?
師匠の突込みに対して、ラファルは違うの?と驚きの表情。
零れ落ちた水を拾いなおして、再度の掌の上。
水球が掌を動かさずにその場でグルグルサイクロンしてるのは、なんと言うか手持無沙汰なお遊びだ。
「篝ちゃん、ちがうよ?
物足りないじゃないんだ、基本こそがいつの世だって、奥義だし。
基本が無いと、応用ができないんだ。
物足りないと感じるのは、学ぶ気が減ってるというだけの、危険な状態、だよ。」
理解と言うのは人それぞれ、把握と言うのも。
だから、知っている=すべて、では無いと、ラファルは考えている。
退屈を感じるのは、知的生命体の業だが、それにとらわれてはいけない。
出来るから凄い、出来ないからいけない、と言う物じゃないとも、考えている。
「じゃあ、後で一緒にしようね!」
出来るまで修行する。
つまり、彼女はこの修業が終わったならOKという事だと、ラファルは理解した。
うむうむ、と嬉しそうに頷いて。にっこーと笑って見せる。
そして、ドボンと水に堕ちる彼女。
あれ?と首を傾げる。
まずは、水の上じゃなくて、水玉を作れるようになってから、次に水の上じゃないんだっけ?と。
■影時 > 「要点を纏めちまえばそうだ。
至極当然ではあるが、使い手自身の体重自体は無に出来ん。
――……であるならば、今は見かけ上は無になればいい。篝が作る浮力と均衡を保てればいい。
最終的な軽身の技は篝よ。色々なものを見ながら、お前さんなりに練り上げてゆけりゃ何の問題もない」
ようは回り道だ。急がば回れ。導入は軽く。積み上げるように至れば良い。
師としてそう諭す。この手の術のキモとしてそもそもの術者の体重自体をなかったことにする訳ではない。
軽業としての氣の運行、蓮の葉に着想させた技も、最終的なアウトプットは水に浮く目的を為すため。
まずは後者で良い。ゆくゆくは前者の境地に至れるなら、さらなる奥義、境地に目を向けられるだろう。
妹弟子の方の手による水遊び波打ち、震えるばかり。その逆とばかりに水蜘蛛に挑む姿を見る。
そうした試行錯誤を男は嗤わない。
試すことで得られるものを何よりも貴ぶ。試行の繰り返しにこそ、得られるものがあるのだから。
「一区切りはついたが、まだまだ終わり切ってねェ気がするからなあ。
気分転換がてらの修行、って奴だな。
おうよ、掌の方な。同じことをより少ないチカラで為せるようにする……これは攻撃にも防御にも通ずることだ」
妹弟子の懸案は区切りはついても、未だ知り得ぬ、得心に至らぬことがある。
それが諸々次の動きを考え、備えるための所以でもある。引っ越しというある意味いい機会と言えることもあるが。
そんな姉弟子たる幼女の言葉に頷き、改めて遣ってみせる姿に、そうそれ、とばかりに小さく笑う。
氣を篭めて変化を仕向けるのではなく、より少ない方向で変化を促す。それは色々と恩恵を見込めるもの。
「……――陰陽合わされば和合する、なトコは否定しねえがよう。
お門違いというか、まぁ、そこは、待て。待つんだ。
さっきも言ったろう。今日必ず立てるようになれ、とは言わんぞ、と。
遊びがてら水の転がし方、御し方に慣れるだけでも、俺としちゃあ全く構わん。意義があることだ。
…………後で一緒にって、こたぁ、あー……あ。こりゃまずいか!?」
存外向きになり易い性質だろうか。
出来るまでやる気満々な素振りの妹弟子が返す言葉に、どういうべきか。どう答えるべきか。
それを考えつつも、重ねて響く姉弟子の言葉と理解に一瞬虚空を仰ぐ。
ああ、それもありか――とか煩悩が囁いたのは、どうしたものか。だが、いやいや。先ずは修行である。
そう思っていれば再度、どぼん。さもありなん。
盛大な水音とともに沈んだ姿に、併せてて男は川に踊り込み、沈んだ弟子を掬い上げにいこう。
掬って一休みなどして、姉弟子のある意味ストレートな欲な提案を宥め。
教えを垂れたり、休みがてら罠に引っかかった魚を食べて――落ち着きに掛かろうか。
■篝 > 「……はい、先生」
師の教えは弟子の背を押す。
理論や成り立ちを教えることも重要ではあるが、それ以上に大切なのは導き手として道を示し、時に手を引き、時に見守ること。
嗤うことなく真剣に掛けられた言葉をしっかりと最後まで聞きとげ、娘は深く頷き言葉よりもはっきりと意思を見せる緋色の瞳が物語る。
この教え、技を習得して、必ずや師を驚かせるような成長をして見せようと――
雄と雌が居る=子作り! と言うのは極端な考えだが、概ね間違ってはいないなと何度か頷きつつ。
早速理解に及んだ様子の姉弟子は、グルグルすごい勢いで掌の上で水玉を捏ね回す。
目で追っていたらあっと言う間に目を回してしまいそうなそれから視線をずらし、幼いながら真剣に語る彼女の貌を見下ろして、何度か目を瞬かせた。
「なるほど、基礎が奥義……。学習欲の減退は危険の知らせ。
ラファルの言うことは最もであると同意します。
……意外、と言うのは失礼かもしれないけど。
才能に溢れる者から、謙遜でなくそのような理論が出るとは思わなかった。
これまで、良い学びを繰り返してきたことが想像できる。ラファルは、もっと凄くなる……と、思う」
思ったことを素直に言葉にして、己よりずっと先を走っている姉弟子の背を追う気持ちになる。
殆ど見えないくらい遠い背中な気もしなくはないが、いつかその背中に手が届くことを夢見ておくことにしよう。
くるりと尾を翻しながら、待て待てと言い募る師の声を背で聞いて、ろくに返事も寄こさずに水の底へと一度沈む。
ぶくぶくぶくと、吐いた息が泡になって昇って行くのを見上げながら、のろのろと水面から顔を出し。
「んぅー? うぅー……」
後で一緒にと誘う幼女と、天を仰ぎ煩悩と理性がせめぎ合っている様子の師。
二人の様子を眺めては、どうしたものかと頭を悩ませ、またぶくぶくと水の中に引っ込んでいくのだった。
その後、引き上げに来た師との攻防戦があったとか無かったとか。
わかっているのは、休憩がてら食べた川魚は美味かったと言うことくらいだ。
■ラファル > 「免許皆伝を貰っても、学びはあるし。
確か、東方は、師匠が、弟子から教わることも有ると言ってたし。
ボクも、経験値貯めないといけないし、ね!」
そう、出来る=マスターでは無いのだ、其処には、必ず学びがある。
出来る事を、やって覚えることも有るし。
石を投げることができたとして、効率よくするとか、早く投げるとか、様々な学習があるのだ。
それを考えれば、まだまだ、学べると、ラファルは考える。
「篝ちゃんだって、才能は有るんだよ。
師匠が見出してるんだもの。
ふふふー、立派なドラゴンになるからね!」
其処は忍者では無いのかと言うツッコみは、きっと師匠のものなのだろう。
篝ちゃんを師匠が気にるのもわかる気がする。
ラファルと、彼女は似通っている。
野生と言う意味での話だ、性格とか性質ではなく、根本的に、動物なのだ。
それを理性で抑えるのが、篝。理性を持たず野生なのが、ラファル。
鏡のような姉弟子と妹弟子。
ただ、性的な事に関しては、一つの理解があるともいえる。
今回は、修行の場だし。
美味しいお魚を食べて、訓練して。
そんな楽しい一日だったのは、間違いはないだろう―――
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