2025/07/02 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山中」にティアフェルさんが現れました。
■ティアフェル > 「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!!」
例のごとく、悲鳴を上げて逃げ回る女。その背後には野犬が数頭。断末魔かというような絶叫の尾を引いて山中を駆けまわり―――、最終的に。
「………降りれない……」
犬の追って来れない場所――と、夢中で高い樹によじ登ったはいいが、その太い枝のひとつに登り上がって、落ちないように座り込み。まだ下でしつこく吠えまわっている犬をびくびくと見下ろしながら、さめざめと顔を覆った。
「いつまでいる気よぅ……いい加減にしてよぅ……怖いじゃないよぅ……」
そして登ったはいいが、高過ぎて一人で降りれそうにないじゃないかという……。
「我ながらポンコツ過ぎる……」
自覚はあるらしく、情けなさと犬怖さで涙目になりながら樹上のポンコツは嘆き悲しんでいた。
■ティアフェル > 登る際より、降りる際の方が格段に危険。犬が立ち去ってくれたところで、この高さ……どうしたら。
地上から6メートルほどの高さの枝まで必死で夢中でどうにかして登ってしまった自分、恐怖の余り火事場の馬鹿力的なアレが発揮されたのだろう。
人間パニックに陥れば、なんでもやってのけるもんだ――遠い目をしてそんなことを考えているところに、水を差すように、凶悪な咆哮が響き、びく!と大きく肩を跳ねさせて。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいー!! わたしが悪うございました! お犬様たちは何も悪くございませぬー! 頼むからお帰り下さいお願いしますー!!」
ヒィィィ、と慄き震えながら、幹に組みつき半泣きで叫んだ。こんな無様な姿――せめて誰も見ていないことが救いかも知れないが。逆に誰もいない山中、どこからも助けが入らず――降りれない。
このままここにいるか、落下覚悟で降りてみるか――、犬がまだ低く唸りながら周囲を回る下を見て、その高さに腹部がすぅっとするような感覚にぞっとして蒼褪め。
「いぃやあぁぁぁぁー! 無理無理無理無理無理ー!!」
ワンワンワンワンワン!!
悲鳴と被る犬の吠え声にここだけやたらやかましかった。
そんな風に大騒ぎしていたら、犬以外にも厄介なもんがやってくるかもとか。
そんなこと冷静に考える余裕もなく情けなく泣き叫ぶ声が山中、街道から外れた場所で響き渡った。
■ティアフェル > しばらく悲鳴と犬の鳴き声が谺する細い月の浮かぶ夜の山中。
その後樹上のポンコツと樹下の犬たちがどうなったのか……。
やかましい夜はまだもう少し、終わらない。
ご案内:「九頭龍山脈 山中」からティアフェルさんが去りました。