2025/06/19 のログ
クレイ >  
「ちがいねぇ、まぁこれでコネが買えるなら安いもんだ……って事にして自分を慰めるよ」

 なんて手をヒラヒラと振るう。
 しかし相手の誉め言葉にはハハハと笑ってしまう。

「そりゃ嬉しいね。じゃあもし悪党になる時にはお前達の盗賊団にお世話になるとするわ」

 たぶんその道は無い、というかあったらとっくの昔に逸れているから。
 男もケラケラと笑って。

「お前こそ普通の傭兵に興味が沸いたらいつでも声をかけてこいよ、腕利きは大歓迎だ。ああ、夜のお相手でも構わねぇぜ」

 なんて冗談を半分混ぜた言葉を投げれば背を向ける。
 襲われる心配などほぼしていない。彼女はそういうタイプではない。そのつもりならとっくの昔に殺されているだろう。
 冒険者2人は怪我をしているだろうが自分であるけよと助ける気は無し。そりゃそうだ、彼らも覚悟をして来た身。痛みもまた教訓だ。

ネフェルティ >  
殺しておいたほうが良いのでは、と。
男が背を向ければそう囁く部下もいる。
しかしネフェルティはクレイの背を見送りながら、目を細める。

「やれると思うならやってみろ。
 無事帰れる帰路に死体が増えるだけだ。──利益は得た。今日はそれでいい」

ある意味──。

「アイツの名と姿を知れたことも、利の一つかも知れんぞ」

そう部下へと言葉を零し、自らもまた踵を返し背を向ける。
向かうは九頭龍山脈に幾つかある天然洞窟が一つ。盗賊団の塒となっているその場所へと向けて。

クレイ >  正直、無事に済んでよかったというレベルの話だ。
 こっちの立場からしてみてもいつ殺されてもおかしくなかった。

「お前らは終わったら父親からたっぷり説教喰らってこい」

 父親が知り合いだし金持ちだから動いた。本当にそれだけの理由の男は彼らから離れたやっと息を吐いた。
 彼女の言う通り、尻ぬぐいは割りを食うなとぼんやり思っていた。
 そうしてこちらも帰路につくだろう。彼女の言う通り、全部を取らせたとして非難する声もあっただろうが、本人はそれを気にしていない様子だった。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からクレイさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からネフェルティさんが去りました。