2025/12/21 のログ
シグルズ > 不夜城の熱気を肌で感じながら、アテもなくぶらついていた青年は、周囲への注意を怠っていた。
仄暗い通りでも煌めくように目立つ美女が正面から歩いていることを、普段は見逃すはずないのだが。
今夜は星があまり見えないな、などと空を見上げながら歩いていたところ。
半身がほとんど正面衝突に近く、歩いてきた女性とぶつかってしまい。

「うわっとぉ――!?
 ごめん、オレがぼーっとしてたせいで…!」

とはいえ、ぶつかった後の反応は素早かった。
ズボンに突っ込んでいた両手が機敏に動いて、ぶつかってしまった相手の体に伸びる。
まだぶつかった相手の顔も見れていないが、勢いよく転ばせてしまうよりはいいだろうと。
おそらくは腰の辺りを捕まえた手に力を込め、手元に力強く引き寄せた。

ディレッタ > 「――……ッッ、――!」

影から影に触れ回っていれば、衝突とばかりに男に当たる形となるだろう。
不注意、と言うよりは気配を知るに出遅れたと形容しよう。その位、突然であったのだから。
とはいえ、感じるより先に男の腕の中に納まる方が早かった。
女の方もまた、その肢体を真正面から宛がいながら、その柔さの輪郭を伝えては
――いいじゃない、と内心呟くのだった。
転ばせぬように内側に抱こうとする気概は好ましい。

「あら、ごめんなさい?
 ――それと、ありがと。転ばないように支えてくれたんでしょ?」

帽子のつばを上げ、そっと男の胸元に手指を添える。
――艶然と微笑みながら、砕けた調子で礼を述べて置くのだ。

シグルズ > 幸運にして、伸ばした手はぶつかった相手の体を捉えることができた。
しなやかでありながら極度に女性らしい曲線に富んだ身体だということを認識できたのは、彼女をしっかりと抱き留めた後だった。
大事には至らず、ふゥ、と一息ついてから見下ろしたときに。
まず目に入ったのは帽子から可愛らしく飛び出している、耳のような飾り。
それから自身の体に押し付けられて柔らかそうに形を変えている、真白い柔乳の深い谷間。

「そっちが謝ることないよ、空なんて見ながら歩いてたオレが悪いんだからさ。
 危ないと思って手を出したんだけど、転ばなくてよかったよ。
 結構勢いよくぶつかっちゃったし、怪我とかしてない?」

帽子のつばを上げた彼女と、よく似た金色の双眸が交錯する。
青年の金眼にも、偶然の事故を愉しむ余裕の生まれた感情が浮かび。
抱き留めてしまえば不要なはずの、腰に回した腕の力はそのままに。
もう片方の左手が、彼女の肩から腕にかけてを滑るように、優しく揉みながら摩っていく。

「無駄に体がデカくなっちゃってね。
 もし痛いところあったら、教えて欲しいんだけど――?」

ディレッタ > 目許も口元も弧を描く。其れは三日月を想わせるもので。
身体は眼前の男に預けたまま、雑踏の中という事も気にせず互いに佇んだ儘。
――でもこの地では許される。
何故なら男女が抱き合うなんてありふれた光景の一つに過ぎないのだから。
その逞しい胸板へ己が柔さを寄せれば、よりせり上がって、確かな形と質量を示す。
肉毬のような弾力と、女が纏う花の様な香りで、鼻孔も心も擽ろうと。

「――んーん大丈夫。わたし痛そうには見えないでしょ?
 其れとも……コレ、新たなナンパだったりする?」

――その身体から放つ魔性を知りながらも。角を視止めても――明確に煽りを入れた。
けれどそれは揶揄うものではない。試していると言って過言ではない。
同じ色合いの瞳で視線を重ねれば、後はその”偶然”を二人で愉しもうとする訳で。
擦られた箇所が、熱を孕んで仄かに熱くなるのを、湧き上がる体温を答えとしよう。

「そうね。痛いと言うよりは――……さっきまで余興の演芸してたから。
 疲れちゃったし休めるところまで連れてって貰おうかな、って。」

シグルズ > 奇抜な装いと思われなければ、明らかに異質な角が生えている男と違い。
極端に蠱惑的な身体つきであることを除けば、彼女の外見は人間そのもの。
しかし、肌の温度すらも伝わる距離で身を寄せ合う彼女から漂ってくる香りに、鼻を一度鳴らした。
墨を一滴垂らしたような、ほんの僅かな違和感。
獣のサガに従い、ぐっと顔近づけて頬を摺り寄せる距離に。
彼女の美貌に見惚れて視線を向けられることはあれど、道端で抱き合う程度で注意を引く街ではない。

「――どうかな。
 ぶつかったばかりはドキドキして、痛いことに気づかなかったりするからね。
 ちゃんと確かめたほうがいいと思うな。
 キミの素敵な体、もし傷つけていたとしたら、オレがツラいからさ」

長い金糸を鼻先で掻き分けて、耳に口元を近づける。
言葉を発すれば、少しばかり熱を帯びた吐息が耳の産毛を擽っていくだろう。
摩っていく手は腕に留まらず、指のほうへと滑っていく。
白く細長い彼女の指先に、対照的な暗褐色の、体格とはやや不釣り合いな綺麗な指先が絡んでいき。
腰を抱いている腕の手が少しばかり下へずれ、頼りなく下肢を隠す革布の内側へ滑り込み、尻肉のなだからかな丸みに指先が触れた、ところへ。

「ちょうどオレも、散歩に飽きて宿に帰ろうかと思ってたところなんだよね。
 この街にしては、わりと小奇麗な宿を見つけてさ。
 つまり、いきなりぶつかったキミをナンパしてるんだけど――」

"来る?" と、顔の位置を真正面に戻し、どこか挑発めいた笑いで問いかけた。
それは問いであって、問いでないかのように。
蜂腰に回されている腕でもって、宿へ向かう路地のほうへ強引に彼女の体を向けさせた。

ディレッタ > 特別素性を隠している訳では無い。人の地に置いては”色々”と都合がいいからだ。
中でも此処では様々な人種が跳梁跋扈しているのだ、無駄な詮索は野暮な上、時には興を削ぐだろう。
――そう、偶然の出会いと一夜限りの恋に水を差すなんて、する訳がない。
あらゆる欲望がごった返す街の最中で見つけた熱に、ひと時の意を傾けよう。
あくまでも、男女として。

「――……ふふっ、随分と気遣い上手なんだ?
 確かに、吃驚してドキドキしてるのは――…確かに、あるかも。
 でもそれって、痛いからとか限らないよね……――ん。」

近くなる距離と、触れ合う膚。頬越しに体温の熱を伝えよう。耳朶を擽る吐息と、低い声。
そして、肌を這うその褐色の手指に、吸い付く様な柔肌がほんの少し沈むのだ。
弾力のある尻臀まで至るならば、女は其処で男の白いジャケット越しに、背に両腕を回す。
其れを、これから事に及ぶを同意とするだろう。

「心配してくれるのは嬉しいな。……じゃあ――確かめてみる?
 ちゃんと貴方が触れられる距離でゆっくりと―――ね。
 其処まで案内、してくれる?」

柳腰ごと宿の方へ向けさせられると、其処からはもう、ありふれた光景のうちの一つと化す二人。
ならばとばかりに繊手を、甲を上へ向けて、まるで淑女の如くエスコートを求める仕草を。
―――Oui, Monsieur, なんて茶化しながら。

シグルズ > いかに目立つ男と女であろうと、肌を寄せ合って歩き始めれば、不夜城を行き交う人波に紛れる。
決して学があるとは言い難い男の耳に飛び込んできた不思議なセリフ。
その意味は分からずとも、甘い声だけが鮮明にこびりついて。
腰を抱いている手を気の向くままに白い肌を這わせ、互いの熱を燻らせながら路地の闇に消えていく――。

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からシグルズさんが去りました。
ディレッタ > それは、さながら舞台演者の如き。
意味が解らなくても、伝わらなくても別に良い。此れは戯れであり――自分なりの最上級の承諾だ。
するりと腕を自然に組み、歩幅を合わせて宿までの距離すらも昂揚の一つとしよう。
不夜城の夜はまだ宵の口。影が寄り添い、織りなす雑踏が、絶える事の無い様に――

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からディレッタさんが去りました。