2025/09/03 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”:カジノ」にファンフアさんが現れました。
ファンフア > 歓楽街の中でも一際大きな敷地面積を誇る巨大総合カジノ。
地上から地下まで複数のフロアがある施設内で、仙人少女はシンプルなルーレットを選んで椅子に落ち着いていた。
シェンヤン風の装いに露出の目立つ格好は普段なら衆目を集めがちだが、そもそも着飾った者が目立ち、雑多な人間が入り乱れるカジノ内では意外なほどに馴染んでいる。

「ん」

その馴染みっぷりの理由の一つは、少女の賭け方が非常に大人しいことだった。
庶民向けというわけではないが富裕層向けとは言えない微妙な価格帯のエリアで、そこそこの額のチップを少しずつ消費する。
大勝ちはしないが、大負けもしない、堅実な遊び方だが見ようによっては非常につまらない。
そんなスタンスが没個性な雰囲気を形成していた。

「……」

何故そんなことをしているかと言えば、主な目的が賭けではないからだった。
ディーラーに促されるままチップをベットする一方で、少女の視線は隣の席に座る男に向けられている。
どうやら手持ちの資金がかなり減ってきているらしく、動揺もあらわなその姿。
賭けの内容などより余程面白い百面相ぶりに、唇の端を緩く持ち上げ笑う。

ファンフア > 少女と焦り男の関係とは、本当に浅いものだった。
特に何を遊ぶでもなくあちこちを冷やかしていた仙人の姿を見るに、「俺の良いところを見ていかないか?」なんて誘い文句を、つまりはナンパを仕掛けてきたのがこの状況の原因。
「ほう、そこまで自信があるのならば見せてみよ」――そんな言葉を返してやれば、焦り男は意気揚々とルーレットに辿り着いた。

それから約一時間。
呻きを上げながら、男は変な顔を晒している。

「……」

少女は何も言わない。
無言という圧力を最大限にかけながら、小首を傾げて言外に「どこが格好いいのだ?」と伝えてやる。
すると男はますます焦ったような表情を見せて、手持ちとテーブルとを交互に見回し。
悲鳴じみた声を上げながら、全額を唯一つの数字に放り込んでみせた。

「ほう」

少女の短い言葉に面白がるような調子が交じる。
結末は見えていたが、この一瞬、一勝負だけは少しばかりの盛り上がりを見せるだろう。

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”:カジノ」にグスタフさんが現れました。
グスタフ > 焦る男は大外し、勝ったのは……別の男だった。

「今日はツイてるね」

そう呟いた男は、大もうけしたコインをカジノに預けると席を立った。
ファンファの後ろを通り過ぎるとき、肩にポンと手を乗せて。
指で、クイクイと奥のビップルームへ誘うのだった。

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”:カジノ」からグスタフさんが去りました。
ファンフア > 【移動いたします】
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”:カジノ」からファンフアさんが去りました。