2025/08/23 のログ
セニア > 歓楽街をゆっくりと歩き物色する。
食事もそうだが今日の……というかしばらくの宿も取らなければならない。
折角来たのだから……こちらで稼いだりやらゆっくりしてもいいかもなー、などと気楽に考える。
昔、兵士として働いていた時に来た事はあったが、その際は無論任務やらで特にこの辺りで羽を伸ばす、などという事は一切出来なかった。
無論、お偉いさま方はこちらにありとあらゆるものを押し付けて毎夜毎夜お楽しみのご様子だったようではあるが。
それでいて問題が起きればこちらが全責任である。
むしろそれを狙っていた節すらあった。

「……何かまたイラってしてきたな」

ジト目が更に細められ、そう考えると現時点でこの街に彼女はいい印象は何一つなかったのである。
ならば、それを払拭せねばなるまい―――と意気込み、改めて辺りを再度物色し始める。
色々な飯屋やら酒場やら宿屋やら。
ピンからキリまで色々と取り揃えた様子を眺めて。
ハズしたくはないが予算は決して多く無し。
となると誰かしらに聞ければいいのだが。

「そんな知り合いも今はなし……と」

久々なうえ、ほぼほぼ歓楽街に足を運んだことすらないので当然であった。
うーん、と唸りながら適当な壁に寄りかかって辺りを見回したり思案したりを繰り返す。

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にリルアさんが現れました。
リルア > 王都を離れ、はるばるダイラスまでやってきた一人の少女。
その理由は、冒険者として登録しているギルドの依頼──単独でも問題なくこなせるようなもの──のついで。
言ってしまえば物見遊山だ。普段そうそう訪れることの無い大都市を、一度じっくり回ってみたいという興味もあった。

とはいえ、知り合いもいない。土地勘もない。
下手な店に飛び込むと何もかもむしり取られるかもしれない。何せここは歓楽街。
どうしようかなぁ、とぷらぷら歩き回っている。

「うーむ」

そもそも、いつからいつまで居るかも決まっていないから宿すらまともに取っていない。
まぁ宿はぶっちゃけ選り好みしなければどうとでもなりそうな気はするが…
きょろきょろと辺りを見渡す姿は、傍から見ればおのぼりさんに見えるだろう、たぶん。
そんな視線がふと、壁際の方に向き止まる。

「……」

自分と同じく、せわしなく辺りを見回したり思案したり…という素振りの女性を見かけたからだ。
もしかして、自分と同じ悩みを抱えている者だろうか。鎧姿、ということは出張か何かで訪れた騎士だろうか。
眺めていたが、何はともあれ声をかけなければその正体もわからない。ということで…近寄っていく。

「……ね。この街の人? …にしては落ち着かない雰囲気だし、どっかから来た人かな。あたしと同じで」

セニア > あっちか?それとも向こうか……いやいや、いっそ―――。
これまた見る人から見ればお上りさん、と言わんばかりの行動をしては唸りまた見回してと何度か繰り返しよしなら今目に入った―――。


「……んん?」

話しかけられてそちらを見れば、目に入るのは店ではなく、銀髪の女性……いや女の子だろうか。
言える事は女の自分から見ても綺麗で非常に整った姿をしていた。
話しかけられ、少しばかり思案し、周りに己以外いないことを確認して。

「あ、私?……まぁそんなトコかな」

こくりと頷いた。
まあ特に隠す事でもないし、何かあれば面倒くさいが―――最悪さっさと逃げればいいし、などと気楽に思って。

「王都の方からね。色々騙されて、ここまで荷物運び」

はぁーあ、と息を吐く、初対面にはめったにしない愚痴。
よっぽど、腹に据えかねていたんだろう。
ちなみに、騙されてはいない。

「……そっちは?」

もしかすると知らない街に独り、という事で若干の寂しさがあったのかもしれず、特に警戒もせず話しかけられた女の子に聞き返した。

リルア > 同性とはいえ、急に見ず知らずから声をかけられれば警戒の一つもしようもの。
それは一応理解していたので、言葉が返ってきて少しホッとする。

して、大方こちらが推測していた通りこの街の住人ではなかった様子。
王都の方から、と聞いてそうかと微笑む。

「そっか、やっぱり。あたしも王都の方から来たばかりで…ギルドの依頼のついでにね。
 キョロキョロそわそわしてたから、もしかしたら?って思って話しかけちゃった」

騙されたと聞けば、まぁ王都だしね、と特に疑いなく受け入れた。
おえらがたに限らず、平民貧民までそういった人は枚挙に暇もない。

問い返されてそう答えた後、きょろ、と辺りをもう一度見渡してから視線を戻す。

「ね、異郷の地…っていうと大袈裟だけど。折角こうして会えたんだし、一緒にどう?」

袖すり合うも何とやら。
こうして王都の民が偶然にも顔を合わせたのだから、食事くらい誘っても罰は当たるまい。

セニア > 「へえ……そっちも王都で……冒険者なんだ」

そう言われ、やや思案に埋没する。
……見た記憶が無い。
恐らく見れば忘れない容姿だろうし、と考えながら。
まあ、彼女の場合、そもそも余りギルドにも顔を出さないダメ傭兵・ダメ冒険者だからここにきたワケである故に。
足しげくギルドやらに通っていれば一度二度は見たこともあったろう。
と頭の中でしばらく彼女について思案して。

「……お恥ずかしい限り。今日のご飯をどこにしようか、知らないトコだからハズすのも嫌だなあ、なんて考えてたらね」

ご指摘の通りと頭を掻きながらたはは、と笑った。
すっかりと気を許したのか何時もの調子と飄々さで。

「それは……嬉しいお誘いだなあ」

何せ店を決めかねあれだこれだとお上りさんをしていたワケであり、旅は道連れとなればたとえご飯が失敗してもそれもまた一つの笑い話の思い出にもなろう、と。
それに綺麗な人を見ている、というのは実に悪くない気持ちだ。
普段からむさ苦しい所で住んでいる者として、目の保養というのも大事だし、となんとなし思いながら。
無論、無遠慮に見続けたりはしないが。

「改めて私はセニア、まー……一応、王都の冒険者で傭兵、かな多分。そっちは?」

非常に曖昧な自己紹介。
リルアの答えを待てば、さてどこにしよう?と相談した。

リルア > 「うん。…ま、一応学院にも通ってるんだけど──最近はもっぱら冒険者としての活動がメイン」

二足の草鞋だ。頭を掻きながらへらへらと。
ギルドといえど、王都にあるのは一つではないし……まぁ、常日頃足を運んでいるわけでもないから、
見たことがないのも無理はない。

さておき、ここに至る境遇が似たようなものであると知れば一気に気安くなるのがこの少女の性。
うんうん、と同意するように彼女の言葉に頷きを二度、三度。

「よし、それじゃぁ決まり~。…とはいえ、あたしに至ってはまだ宿すら決めてない体たらくさ」

自嘲めいて、まさにこの街へきて間もないのだと暴露すれば照れ隠しのように笑う。
ご飯が失敗したとてそれはそれ。こうしてご縁が生まれたのだからプラスマイナス、間違いなくプラスだろう。
──ついでに言えば、気怠い表情とジト目からなる顔立ちを始め……スタイルも中々に良いということに気づいたのがさっき。
これは是非とも仲良くしておきたい……と、半分だけ流れている淫魔の血が騒いだのはまた別の話。

「あたしはリルア。冒険者、学生。…かな? それ以上でもそれ以下でもないような」

こちらもまた、ふわっとゆるっとした自己紹介。
それを終えればさて、食事どころの相談だ。ぐるっと見渡して「とりあえず歩いてみる?」と誘う。
何はともあれ、立ち止まっているだけでは見えてこない。行く先にとても美味しいご飯が眠っているかもしれないのだから。

セニア > 学院、と鸚鵡返しに呟く。
王都で学院となるとラジエル学院か、と思い当たって。

「へー……学生さんなんだ。あっこには今は縁がないなあ」

兵士時代には幾らかの縁はあったものの―――碌でもない縁だったので出来れば記憶に蓋をしておきたいもので。
ちょっとだけ、ジト目が更に細められたがすぐに元に戻って。

「……学生さんで結構それは危なくない?いや私も決まってないんだけどさ」

学生と聞いて、ちょっとだけ年上ぶってみるものの……そもそも自分も今着いたばかりで宿なんて決まっているわけもなく、どうにも締まらない。
ぽりぽりと頭を掻き、さてと呟く。

「ま、つまり似たようなものってことね」

何となく、波長が合うのも似たようなものだからなのかなあ、などと思いつつこちらも釣られてへへ、と笑い。
僅かながらある魔力がちょっぴりだけ勘、という形で彼女の背筋をぶるりと震わせたが、風でちょっと冷えたかな、と顎に指を当てた。

「そうねー……出来れば宿と一緒になってるトコがいいかな」

辺りをちら、と見回しながら。
流石に女二人でお上りさんが立ち止まり並んで喋っているのは目立つし、急遽の相方はこの綺麗さだ。
良からぬ事を考えてる輩の一人や二人既にいるだろう、と考えて少しばかり周りに気を配りつつ、二人で歩きだして。

「ご飯食べてさっさと宿も取っちゃう方がいいよね。どうせだし一緒の宿でいい?」

冒険者をしているからリルアも腕はたつのだろうが、不慮と言うのは何時起きるかもわからない。
宿を決めて、ご飯を食べてさっさと宿に入った方が安全だし、と極めて善意で提案した。
その提案が彼女がどう捉えるのかはわからないが。

リルア > 「ぶっちゃけ、あたしも勉強というより友達作り縁作りで通ってるようなもんだからさ」

本腰を入れて学びに精を出しているわけではないとバラす。
なので学院内はともかくこういった場で学生さんと呼ばれると──ひらひらと片手を揺らして。

「こー見えて腕っ節はそれなりなんだから、甘く見ないでもらいたいねぇ? ……なァんて。
 ここには冒険者として来てるから、あたしのことはそう扱ってもらえると嬉しいな」

似た者同士という認識に否やはない。
さて、ついつい話が盛り上がってしまったが──改めて周囲に意識を向けると、成る程さすがは多種多様な人が集まる歓楽街。
邪なことを考えている者だって少なからずいる。女性、それも来たばかりのお上りさんなら格好の餌食だろう。

「そだね~…… いいよ、一緒の宿で。2人分の部屋……
懐のことを気にするなら、1つの部屋を借りて2人使う、とかでも良いけど」

大胆な提案。
あくまで善意で提案してくれているのは理解している。だから其処はどうこう言わず…
しかし、正直なところ懐に余裕がないのも事実。彼女がばっちり持ち合わせているようであれば別だが。
節約、よしんばスキンシップめいたこともできれば…と。そんな下心を潜ませながらの提案だが、さて反応はどうか。

セニア > 「……縁かあ。うん、縁はあったほうがいいよ。これは本当に経験から」

過去思い出してそうリルアに伝えて。
縁がない、という事は後ろ盾も無いのだ。
それによってのどれほど苦労したかわからないし、そうしてこの生活になったわけだから。

「……確かに。うん、ごめんね」

彼女の言を聞けばなるほど、と頷き素直に謝って。
思い起こせばわざわざ一人ここまで来ているのだ。
自信があって然るべきであるし、人によっては無礼と取られても仕方あるまい。
特にこの業界で女であるから。
そしてこちらの言葉に察するような動きをするのを見て、改めてしっかりと思い直した。

「……あぁなるほど。確かに二人で一つなら安く上がるし」

それは名案だ、と言わんばかりにぽん、と手を叩く。
何時までいるかはわからないし手持ちも大盤振る舞いが出来るワケでも勿論なし。
袖すり合うも他生の縁。
一日だけでも浮くとなれば貧乏冒険者としては非常にありがたい話だ。
ここまで話していて疲れる、という事も無かったしゆっくりも出来るだろう。
それに何とも惹かれる気持ちもあった。
気になるというか、なんというか。
その感覚が何か、とまでは思い至らなかったが。

「こっちとしても願ったり叶ったり、ならさっさと場所決めないとね」

そうしよ?とにこと笑い、さっきよりも近くを一緒に歩き始めて。
あっちは?と宿兼酒場などを指さして。
それはリルアにとっては非常に無防備すぎる笑顔と仕草であるかもしれなかった。

リルア > 「……実感籠ってるなぁ」

経験談。色々ありそうな口ぶりに、彼女を見遣る瞳が細められる。
深く問うつもりはないが、並みならぬ苦労があったのだろう。そう思わされる様子だった。
「……ま、こうして会えたのも縁の一つだからね」と戯れめいて付け足し、空気を軽く。

「んふふ、謝らなくてもいーよ。直に腕っ節を見てない以上、どうしても頼りなく見えるってのはよくわかるし」

無礼とは思わなかった。しょうがないよね~と、これまで何度か言われていたような風情で頷く。
最近は女性冒険者、女性騎士も男に遜色なく増えてきているから、業界で肩身が狭いということもないのだが…

さて。提案を快諾してくれたならば嬉しそうに微笑む。
そう、お互いにいつまで滞在するかはわからない。ならば出費を出来る限り抑えた方が間違いなく良い。
こっちで臨時収入とかあれば助かるんだけどな…ともひっそり考える。
ダイラスのギルドとか、明日辺り顔を出してみようか。先のこともちょっと思案。

彼女が己に抱いている気持ちについては、察しているのかいないのか。
特に顔には出さず、行こ、と肩を並べて歩き出す。

「……ん。あぁ、いいねあそこ。…閑古鳥が鳴いてるわけでもなさそうだし…」

彼女が指差した先──人の出入りも割合盛んな宿、兼酒場を一瞥。
雰囲気的に悪くなさそうだ。
それじゃ、あそこに行こうよと笑い、さりげない仕草でセニアの手を取り引っ張っていこうとする。

セニア > 「色々とね、あったワケですよ」

深く聞かないでくれることに少しばかりの感謝をしつつ。
それ以上の詮索が無ければその話は終わり、とばかりに空気を明るくしてくれたことにも軽く微笑んで。

「百聞は一見に如かず、とも言うしね。あ、いや今疑ってるってワケじゃなくてね」

とそこまで言ってぱたぱたと手を振り、軽い調子で否定しながら。
口調はさっきまでと変わらずで、思ったことが単に出ただけ、という感じであった。

などと話したり軽口を叩きながらつい、と指さした先の酒場。
彼女の言う通り、人の出入りも多く、店内の雰囲気を見る限り悪くなく、金額もそこそこで悪くなさそうである。

「おっけー……っとと」

彼女に同意し、そのままリルアに手を取られれば、彼女に連れられるように、その店へと入っていく。

……絡められた指の感触にうわー柔らかっ、鍛えてるみたいだけどこんなにちゃんと柔らかなんだなあ。
と改めて人体の神秘、とか考えながら前を歩くリルアの身体を見る。
鍛えているのは自身もそうであるけれど、そこに更に女性的な魅力がここまで両立するのか、と感心して。
出るとこは出てておりそれもまた非常に魅力的で。
更に鍛えているはずなのに染みもなく、綺麗な白い肌。

酒場の席に座り正面から見れば、思わずきれいだなあ、とぼそと呟いて。
あれ?と軽く頭を振る。
どうにも、リルアがさっきより魅力的に見えて視線を外せないというか。
それがどうしてなのかはついぞ思い当たらない。
疲れてるから何か誰かしらに癒されたいのかなあと的外れな事も思いながら。

リルア > 「そのうち腕前を見る機会とかもあったりするのかな。無いかぁ?」

仕事などでご一緒する機会なんかはあるかもしれないが。
もし在ったならば、がっかりはさせない筈だとちょっぴり強気に出て笑う。

割合、リーズナブルだから人の出入りも多いのかな、とは勝手な想像。
品揃えも悪くない。それなりに賑わいのある町の酒場、という雰囲気だ。
一階部分が酒場、二階より上が宿…といった、よくある造りになっているようで。

「2人、お願いしまーす。あ、宿の方も一部屋。…うん、二部屋じゃなくて一部屋」

空いた方の手で指を2本立て、人数を店員に示す。
宿の受付も入り口付近にあったので、ついでとばかり部屋を予約したりして。
冒険者ゆえ慣れているのかサクサクと進む。案内された酒場の席に向かい合わせで腰かけ、ようやっと一息。

「ふぅ。………ん?」

ぼそっ、と呟いた言葉を耳聡く聞きつけ、瞬く。
視線が外せない、なぜか惹かれる、そういった彼女の不思議──淫魔の血がなすことながら、
リルア自身は全くの無意識。
なので、彼女の様子に首を傾ぎつつも手元にあったメニューを開き、一緒に覗き込んで。

セニア > 「あるかも。私も冒険者だし……まあ結構サボってるけど」

ここで縁が出来たのだから、一緒に依頼を受けるのも悪くはない、と続けて。
同行者のアタリハズレに一喜一憂しなくてもいいだけでも十分ありがたい話だ。

お互い、冒険者であるし宿やらの手配はサクサクと実にスムーズに進んで。
部屋も確保し、案内された席に改めて座り直してお互い一息ついて。

そして席につき、零れた一言とこちらの様子に首を傾げるリルア。
その一挙一動が妙に目についてしまっている。

セニア自身はほとんど魔力も無く、扱い方も知らない。
ただ僅かにだけある魔力がリルアの無意識ではある淫魔の血を感知し反応してそうなっているのだが、元々その感知も勘が少し働く、といった程度の理解。
故にリルアに見惚れた―――所謂一目ぼれに近い状況に陥っており。

「えー、あー、うん。とりあえずエール?後は適当につまめるもの、お任せでー」

努めてさっきまでの調子を張り付けつつ近くで一緒にメニューを覗き込むリルアにどきりとしながらウェイトレスに注文を伝えた。

幸い、というかなんというかやや頬が赤く染まりかけているが表情自体はジト目の何時もの様子である。

リルア > 「あたしも依頼をこなす速度は結構マイペースだし、冒険者としてはまぁ…今のところ凡庸…」

依頼主からすればそこまで有難がられないタイプの冒険者なのは間違いない。
一緒に依頼を、との言葉には「いいね」と同意の声をあげる。
ギルドには様々なタイプの冒険者が登録されているが、だからこそ良し悪しが激しい。
実力を理解している知己と共に依頼をこなすのはベターな選択かもしれない。

お酒と、適当につまめるものを注文し下がっていくウェイトレスを見送って、さて、と改めてセニアに視線を戻す。

彼女の魔力有無、あるいはその力の扱い如何は当然知る由もない。
しかし様子がなんとなくおかしいことに目敏く気づくのは半分だけ流れる淫魔の血が為せる技。
もちろん口に出して言うことはないが──折角なので、料理が出てくるまでの間。少し触れ合ってみたい。

「そういやさっき、ちょっとだけ繋いだけど……セニア、結構やわこい手してるんだねぇ。
 でも鍛えられてるのはわかるから、何とも不思議」

そう言いながらおもむろに右手を伸ばし、彼女の左手に触れてみる。
緩々と手の甲を撫でた後、するりと指を絡めて。戯れるように握ってみたり。

セニア > 「わかるよーうん、自分の速度でしたいもんね」

うんうん、と頷く。
そんな依頼に対するペースやらも何だかんだと似ているもので。
無論、彼女も依頼主からは有難いとなるタイプではない。
極々稀に兵士時代を知る人からの依頼などは名指しで来るが、ここ最近はそれもとんと無くなっていた。
こちらとしては兵士時代の働きを期待されても困るのでそれでいいか、とは思っているものの実入りという意味では寂しくもなるのは致し方もなく。

「まー。次何かカンタンな依頼とかで、お互いの相性を計るのも……いいかもね」

相性と何となく口にして少し自分で言い淀む。
そんな自分の心境になんだこれなんだこれ、と自問。
生娘じゃなし、と自答して頭を軽く振る。
そんな挙動不審に気付かれていないワケもないのだが、特に何も言われず気にしていないようなので、こちらがどぎまぎしているのがバレていまい、と内心ほっと胸を撫でおろして―――

「んっ」

いる時に不意に手を握られればびくん、と思わず身体が反応してしまい、小さく声が出てしまう。
更にそこからリルアに手を握られ、撫でられ指を絡め握られればどんどんと顔に血が上っていく感覚。
かといって冗談めかして振り払うという選択肢が一切浮かばずで。

「そう、かなー……。自分ではイマイチわからないけど。まあ……結構私、身体、柔らかいから」

結果、よくわからない受け答えをしながらぷい、と厨房の方を見る振りをして目を逸らす。
まだかな、と誤魔化すように呟いて。

セニア > 【次回継続です】
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からセニアさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からリルアさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”/酒場」にトリシャさんが現れました。
トリシャ > 「どうして私がこんな目に……」

ハイブラセールの大通りに面したカジノに面した酒場。
カジノで大儲けをした、もしくは有り金をすった末路を楽しみに来ている客でごった返す中をトレイに酒を載せて歩く。

このような酒場に本来は縁はないが、困っていると声をかけられた相手に親切心で付いていき。
そこでナンパと判り、断ろうとしたがしつこい相手を押しのけたときに備品に損害を与え、その賠償代わりに働かされ。

慣れない給仕仕事だけでも大変なのに、こんな服装をさせられては恥ずかしくて仕方なく。
しかも時折に客にセクハラをされても殴るわけにもいかずにされるがまま。
その事につい文句を零しながらも仕事を続け。

「ご注文の品です。ごゆっくりどうぞ」

そして今も注文をテーブルに運んでは、そこにいた客に少し引きつり気味、赤い顔の笑みを向けて注文を置いては声をかけていき。

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”/酒場」にオズワルドさんが現れました。
オズワルド > 「お、ありがとーバニーさん。
 いやー、この街に来たらこの店のハンバーグ食べないと始まらないよねえ…あれ?」

注文を運んできてくれたバニーさんに、見覚えがあった。
あれはたしか、いくらか前に馬車でセクハラした――

「はー、なんだおねーさん、聖職者だと思ってたけどバニーさんやってたんだ、へぇー。
 ちょうどいいからこっち来てお酌もしてくださいよ。チップ出しますからー。」

なんて告げれば、するりと腕を腰に回して自分の方に抱き寄せようとする大胆に過ぎるセクハラ。
セクハラなんだけど――なんなら、こんなセクハラは客でごった返したこの酒場ではまさに日常茶飯事。何ならちょっと離れた席でもやってた。

「ギャンブルでだいぶ稼いだんで、懐暖かいんですよ。結構チップ出せますよ?
 わざわざこんなとこで働いてる当たり、金困ってるんじゃないです?」

トリシャ > 注文を届け終えれば早く戻って次の注文を運ばないといけない。
なので戻ろうとしたが、注文を渡した客の一言に足を止めて何か阻喪があったか、注文をもしかして間違えたのかと心配するが。

「え…あ、あの時の失礼な子!
好きで働いている訳ではないんですよ。それに仕事中です。こ、こら!」

その言葉に好きで働いていないと声をやや荒げ。
腰に腕を回されようとすれば、カウンターにいる店主に助けを求めるように視線を向けるも助けどころか視線で逃げるのを却下され。
抱き寄せられるというセクハラを受けることになり顔を真っ赤に染め。

「ギャンブルなんてよくやりますね…不謹慎ですよ。
お金に困ってはいませんよ…この酒場の備品を割ってしまったので明日まで働けば支払いは免除でいるだけですから」

チップと言われてもいらないというように首を振り。
好きで働いていない理由、それを口にして困っているのではく償いでいますと訂正をして。

オズワルド > 「まーまーまー、仕事中って言ったって、ここじゃこういうのも仕事みたいなもんじゃないですか…あ、チップいらない感じなんです?
 じゃあお支払いはマスターさんの方に。」

右手でぐいぐい、抱き寄せながら。左手がボディバックの口を開いて、じゃらり。 そこそこの額のコインをテーブルに置いた。
マスターがオイタを許しそうな額である。
どうかなマスター、伺う視線が一瞬そちらを見て。

「じゃ、明日までは店員バニーさんってことで、経営者には逆らえないんですねー、たいへんそうだなー。
 別にギャンブルは悪いことじゃないですって。身代崩さなきゃ遊びの範疇なんですから。」

身を持ち崩しそうなことを言いつつも、ギャンブルですでに勝った身には堂々と言えることでしかなく。
ぐい、と抱き寄せた体をそのまま、自分の膝の上に抱え込んでしまおうと。

トリシャ > 「そうかもしれませんけど……私は臨時ですよ。そういうのに当てはまらないと思いますけど。お金には困ってませんから要りませんよ。
マスターに渡して貰えれば、その分お給金に乗るでしょうし」

抱き寄せられると少しで身を放そうと踏ん張り、器用に少年がボディバックを開けるのが見え、本当に稼いでいるのだとわかるコインが置かれ。
ただそのコインの額のせいでマスターが好意を黙認しそうであり。
完全にマスターに知らない顔をされると小さくうめいて。

「私のミスでそうなっていますから仕方ないですが…そう言われるとむっとしますね。
身を持ち崩した人も何人か働いていますから、いいように思えないですよ」

実際に持ち崩して働いている人が何人かいるのでいい顔はせず。
本格的な抵抗ができないままに抵抗していたが、更に引き寄せられ膝の上に抱え込まれてしまうと顔を赤く染めてしまって。

オズワルド > 【部屋移動】
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”/酒場」からオズワルドさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”/酒場」からトリシャさんが去りました。