2025/12/20 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にルーパスさんが現れました。
ルーパス > 胸に抱えた紙袋、閉まりかけの市場で仕入れたのは肉や野菜等の食料品。
執事服の人物が抱えるにしては少々所帯じみた物であり向けられる視線も奇異に近い。

しかし、その視線を気にすることなく幾店舗か回った後、溢れんばかりになった袋を抱えて
船着き場より程近い公園の背もたれのないベンチに腰を下ろした。
寒さには強い、そう自負していても末端となるとどうしてもその寒さに犯される。
袋を傍らに置いて詰めたくなった指先を擦り合わせながら息を吹きかける。
こんなに冷たい指先では愛しい仔を抱くのも憚られる、そんな事を想いながら。

「今は……しっかり食べて……しっかり、育てないと。」

自らだけではない、養い守らねばならぬ存在があるからこそ、再び袖を通す事になった執事服、
ただ過去と異なるのはその臀部に尻尾と、頭部に耳がある事。

長い、息を指先に吹きかけながら見上げる空は青く白い雲も多くない。
常に下を向いて生きてきた、今は少しだけ、偽りでも手に入れた安息に空を見上げる余裕も出来た。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にザラさんが現れました。
ザラ > そんなダイラスの公園へと入ってきたのは一人の女。
方向的には桟橋の方。そちらには何もないはずで。
強いてあげれば先ほど桟橋へと停泊したそれなりに大型の船くらい。

しっかりとした、どこか踊るような足取りで進んでくれば、ちょうど執事服の女性の近くへとやってくるか。
特に彼女を目的として歩いたわけでもなく、ただ普通に歩いて行ったらその先に彼女がいる、という程度の認識だったけれど。

とはいえ、近づいて、相手を認識すれば、少し値踏みするような視線になってしまうのは、こんな場所でこんな服。
そして、ものであふれかえる袋を抱えているという奇異な様子であったからか。

もう数歩で会話してもおかしくない程度の距離で、指を温めようとするかのように息を吐きかける所作を見て、たまたま興味をひかれたか

「冬も深まってきたしねぇ。海風は冷たいかい?」

そんな声をかけてみる。

視線を向ければ、たいして厚着をしているようには見えないが、それでも特に寒そうにすることもない。
少し不敵な笑顔を浮かべる小柄な女がそこに立っていることだろう。

ルーパス > 暖かな蒸かした食べ物でも買えば良かった。そんな風に考えながら久しぶりの自由な時間。
何をするべきか、早く帰りたい気もするし、それは勿体ない気もする。
幸い仔等はお世話になっている先で働く女性陣も積極的に世話をしてくれている。

不慣れな潮風の中暫くはそんな自由と愛情からくる義務との葛藤。
だからだろうか、本来であればその気配にいち早く気づいていたはずだろうに、
不覚にも、声を掛けられるまで気づかないでいた……。

「あぁ、ずっと王都に居たもので……、遮る物のない風は少々堪える……かな。」

正直に、手を擦り合わせ息を吹きかける姿を見られてしまえば言い訳もきかないだろうからと。
重ねていた手を解き立ち上がれば深めの礼を、
公園で出会った人へする形の物ではないのだろうが、日常の癖として、つい……。

自身より小柄なれど、場馴れしたような飄々とした雰囲気に、双眸を細めながら

「流石船乗りといったところ? この寒さにも怯んでない。 良ければ……。街の事を殆ど、知らなくてね。」

酒場でこの格好の二人が相対していたなら、喧嘩の一つでも警戒しそうな、相反する恰好の二人。
流石に見下ろしているのもバツが悪いのか、片腕をベンチへと差し伸ばし、座るように促そうか。街の事を色々聞けるかもしれない、と。

ザラ > 立ち上がり、礼を向けてくる彼女。その礼法がきちんとしたものだったがゆえに面映ゆく感じるが、それ以上にその高い身長に楽し気な笑みが浮かぶ。
この身長差では見下ろされる体制になるのも自明だが、見た感じでは全く気を悪くした様子もなく。
ベンチを指し示し促す所作に小さく笑いをこぼせば

「アタシがちっこいのはアタシ自身が一番よく分かってるからさ。
別にどうってわけじゃないんだが……」

そんな返答を返すものの、彼女が気にすることの方を忌避したか、示されたとおりに腰かける。
そのあとで、自分の隣をぽんぽん、と軽くたたいて

「もちろん、アンタもまた座るんだろ?」

と、気やすい調子でかける声。
その後、促すままに座るのであれば、いたずらめいた笑みを浮かべて互いの体の境界を触れ合わせるくらいの距離まで近づいて

「寒いなら、こうしていれば多少は暖かいだろうさ。」

いたずらめいた笑みと、穏やかな口調でそんな言葉を向けていく。
そのように落ち着いた後で、先ほどの会話の続きというように言葉を紡いでいく。

「王都ねぇ……確かにあそこと比べるんなら、ここは寒いだろうね。
なにせ、海風が吹きすさぶ港町。ましてや冬の風じゃぁ、慣れてなければ身に染みる。」

そして、座っても結局は見上げ、見下ろすくらいの座高差はあるのだが、気にした様子もなく会話を続けていく。

「まぁ、ね。海の上ならもっと寒いし。
海慣れしてりゃぁ、これくらいならまだ暖かいほうさ。
氷海とかまで足を延ばすんだ。そこに比べりゃぁ、ね。

……さて、ダイラスのこと、ねぇ。
見た感じ、海の者じゃないんだろ?
とはいえ、別に町の人ってわけでもなさそうだ。
どっちかっていえば、どこかの家に仕えてそうな感じだねぇ。

旅に立ち寄って、最低限を知りたいのかい?
それとも、この街に腰を落ち着けようと?」

それによっても変わるだろう?と。

ルーパス > 「あ……いや、そんなつもりでは……。」

笑顔を見せる相手へと恐縮した態度を取ってしまうのは、環境に染まったが故。
腰を下ろす彼女を見届けてから、彼女に叩かれ促されるままにもう一度自身も腰を下ろせば、
久しぶりの会話に緊張もしたのか少しばかり上がる体温。少し染まった頬をそのままに……。

「ありが……あっ────」

腰を下ろし、左右に揺れる尻尾が気分の良さを表現する。
しかし、その尻尾がピン、と驚きと共に伸びたのは、寄り添うようにその身体が触れたため。
頭上の耳もへたりと畳まれ側面に感じる体温に、心地よさげな吐息が一つ零れた。

「場所が違えば、色々と違う……か。」

悪戯めいた笑みに、こほんと咳ばらいをしたのは照れる話ではないのだと言い聞かせるように。
所在無げな腕が彼女の腰へと回れば、彼女を温めるように、と柔らかな尻尾が
腕と共に腰を包むように触れて。

「王都は、建物の影が遮ってくれたり、そもそも壁が強固だから……。
それに、少しベタつくような気が、する?」

長い髪が、少し軋むような気がすると、空いている手で自らの髪を少し梳いてみる。
王都でしていたそれとは手触りの違いを実感していて少しばかり困ったように双眸を伏せた。

伏せた双眸は丁度彼女を見下ろす形となり、彼女が語る海の広さ、
氷漬けの海、その存在に少し身を震わせたのは想像してしまったから。

しかし、彼女に問われた言葉……一時なのか、定住なのかというそれ。
暫し回答に困ったよう表情を笑みで曖昧に濁しながらも……。

「子供が、育ったら──貴女みたいな恰好をしてみるのもいいかもしれない。
その頃には……肌を晒せないかもしれないけど。
だから……危険な場所や安全な場所、が少しでも知れるといい。」

今は、それが許されない、自由の身では無い事がそれで伝わりはするだろう。
少し肩を竦めながら、見下ろすが故に視界に入る彼女の豊かな膨らみにそんな感想を零してみたり。

ザラ > 「いや、ほら。アタシはちっこいからさ、アンタみたいに感じる相手ってのはたくさん見てきてるわけ。
でも、そう考えてくれる奴ってのは、なんだかんだで人がいいだろ?
だから気にしなくていい、って伝えたかっただけさ。」

言葉が足りなければ齟齬が発生し、結果として注意や険悪に至るかもしれない。
下っ端の教育をするものであるが故、こういう細かいコミュニケーションを怠ることがないのは癖のようなものだった。

「ふふっ、寒いときに一番都合がいいのは人肌さ。とはいえ、良く知らない相手にあまりべたべたされるのも気味が悪いだろ?
これくらいがちょうどいい……っと……ふふっ、こりゃぁいい。ありがとね。」

腰回りに回されるしっぽが自分の腰を温めてくれる。
その心遣いに礼を告げた。

「それに、王都周辺の地形はそんなに風が強くならないしな。
平地が多く、風が吹き込む道がない。
それに対してダイラスは、海が吹き込む道になるからね。
どうしても寒くなるなあ。

……お、いい所に気づいたじゃないか。
海からの風は、塩を含んでるんだ。
そして、その塩が毛につくと、ごわごわして気持ちが悪い。
アンタだと、尻尾も丁寧に洗った方がいいね。」

そんな言葉を向けながら、その豊かな赤髪に手を伸ばし、そっと自分の口元、鼻先に当てて軽く匂いを嗅ぎ、少しだけ毛先を食めば

「うん、やっぱり塩がついてるな。
ここでは湯水は毎日使った方がいいよ。

……おや、子供がいるのかい?なら、子供にもだな。
小さい子供の肌に塩を長時間つけておくと、肌が荒れてかゆがったりするから。」

子供の下りを耳にして言葉を付け加えた後で、しばしその姿を見つめてから、ふっ、と雰囲気が緩み

「手がかからなくなったら、いろいろ楽しめばいいさ。
ダイラスは、”そういう意味”ではだいぶ明確だからね。
ハイブラゼールあたりと比べれば、だいぶわかりやすい。

例えば……」

そして、街中の要注意な場所、治安のよい場所、治安の悪い場所で頼れる場所などを一通り教えていく。
ただ、頼るべき場所が衛兵ではなく、荒くれどもの酒場になりがちではあったが。

「……こんなところ、かね。
まぁ、でも……」

説明の後、少し値踏みするように視線を向けて全身を見やれば

「……逃げるつもりで相対するとするなら、アンタなら逃げきれそうな気がするけどね。」

結構腕が立ちそうだ、と楽しげに笑った。

ルーパス > 「貴女は若いのにしっかりしている……。それに比べて……。」

はぁ、と零れる吐息は彼女に気を使わせている自分の不甲斐なさを嘆いての事。
勿論、種族による年齢差はあるにせよ、それでも世間知らずであることが身に染みた。

「私は……ルーパスだ。今は訳あって『ファタール』で世話になってる。
これで……貴女が名乗れば、知らない仲じゃ、なくなる?」

詭弁ではある。しかも名乗った自分が高級娼館の名を出すのだから、どう捉えられるか……。
深く考えて居ないのは考える癖をつけられることなく育ち今があるため。
絡めた尻尾が気持ちよさそうに揺れてその身体を撫でながら。

「もう少し、厚着……でも、この上に着るのは……。
わかった。しっかり洗うッ……あ、の。」

捉われた毛先、それが彼女の口へと含まれるのを止める術がなく、流石に恥ずかしいと声を上げた物の……。

「ぁ……うん、そういうことなら毎日……、ちゃんと湯桶で。 ありがとう、知らないでいる所だった。」

気候の変化、そこから生まれる生活様式の変化に全く頓着していなかった事を思い知り、力強く頷いてみせれば、
彼女が次いで教えてくれる危険な場所、対処方法……。しかし気になったのは……。

「そういう、意味?」

そう小首をかしげて問いかける。そして、彼女が値踏みするような視線を向けてくれば
その視線から逃れるように、腰に回していた腕が背中に、そっと背を押せば
執事服に押し付けられても尚、主張する豊かな膨らみへとその顔を押し付けて視界を防ごうと。

「でも、こうやって……子供が居たなら。そうもいかない。」

腕に抱いているのが茶袋でなく子供なら。
抱き締めているのがそうであったなら……容易に逃げる事も敵わないだろうから。
買いかぶり過ぎだと首を緩く振ってから、押し付けていたその腕を緩めよう。

「それに……貴女のほうがよっぽど強そうだ。私は……もう、きっと……。何も。」

守る物が出来た。望むと望まざると、攫われ盾にされたなら従うしかない。
だから、敵を作るわけにもいかないと。そのためならば身を捧げる事すら厭わないのだろう。

ザラ > 「そう見えるのかい?だとしたら、それ相応に痛い目を見てきたからだねぇ。」

自分のことをしっかりしている、と告げるなら、少しだけの苦笑浮かべてそんな返事を返しておく。
痛い目を見て成長したのだから、あまり褒められたことでもない、と。

「ルーパス、ね。……ファタールに?」

名前を聞いた後で世話になっている場所を聞いて目を瞬かせて。
でも、ルーパスの所作、香りなどから少しだけ考えて

「……いい所に世話になってるね。ファタールに世話になっている人に変なことをする連中はそうそういないだろうさ。

アタシは、ザラ。ティグレのザラを探してる、って言えば、ダイラスにいるときは場所を教えてもらえるよ。
ついでに余計なことを聞かれるかもしれないけれど、そんなに気にしなくていい。

そうさね。互いに名を知って知らん仲、ってのは変な話だ。
よろしくね、ルーパス。」

自分の名を名乗って、そして、男女問わずに体を重ねる女であることを海賊連中は知っているからこそ、余計な一言がついてくることは自分が一番よく知っている。
だから、一言付け加えておいた。

毛先を食んだ時の反応に、そのまま視線を重ねてにんまりわらうが、すぐに食んだ毛先は離して

「塩が付いたかどうかを見るのに一番都合がいいのは舐めてみることだからねぇ
……ま、ルーパスなら食うにせよ、食われるにせよ歓迎だけど。」

本気か冗談かわからぬようなことを口にした。
そして、一通り説明した後で、向けられた問い。
あぁ、と一度頷いてから

「ダイラスは、犯すために襲ってくるような連中が集まる場所、さらうために襲ってくる連中が集まる場所みたいに、場所の特徴が明確なんだ。
だから、されたくないことを避けるのはほかの町に比べればわかりやすい。
犯されなくなけりゃ、海賊連中の縄張りに近づかなけりゃいいし、一服盛られて奴隷として売られたくないなら商人連中の縄張りで、治安のよくない場所を避ければいい。
ま、治安が悪い場所に近づかなければいい、ってのが一番わかりやすいけど、そうもいかないこともあるだろ?……わっぷ。」

”そういう意味”を少し詳しく説明加えていれば、両手が回ってルーパスの胸へと顔を押し付けられる。
柔らかい感触とともに、乳の香りが鼻をくすぐって。
色々とまじりあった香りをたくさん吸い込めば、ほどなく緩まり解放されたあとで、一度深呼吸をしてから苦笑めかした笑みを向ける。

「……アタシはうれしかったけどさ、暫く海に出てて、女はご無沙汰だったんだ。
そんなにされたら、子持ちのルーパスでも抱きたくなってきちまうじゃないか。

……ルーパス自身が思っていることは否定するつもりはないけどね。
よっぽど大きな猫をかぶってるんじゃなけりゃさ、ルーパス。」

名を呼んで見上げて、暫し見つめあった後でにこっ、と笑みを向けてから

「……アンタはきっと、いい女だよ。
誰かにそう言ってもらえる。
自分が持っているものなんて、それだけで十分じゃないか?」

子供を守るためならの覚悟を察すれば、それだけでもいい女だと言い切れる。
幸せになれるか、と言われれば少し悩みはするけれど、それでも間違いなく、いい女だと笑って言い切って見せた。

ルーパス > 「痛い目を、私も見てきたつもりだけど、きっと前向きだったんだね……。」

流されて、否、今も流されている。結局昔とそう変わることなく今に至っていると自覚してしまえば、
彼女の事がなおも眩しく思えて。少しばかり羨ましそうにその顔を眺めてしまった。

「だと、良いんだけど……。

ザラ、良い名前。 きっと何か無くても会いに行く。
それに……もしもの時は助けて欲しいし。

だから、よろしく。」

彼女の言葉、その理由を知るのは少し先になるのかもしれない。
だからと言ってそれを気にする様子もなく、意味深に微笑む程度の返しはするのだろうけど。

「それは、そう……でも、ビックリした。 でも……厭じゃなかった。
って。もう……ザラってば……。」

腰を撫でる尻尾が驚きに動きを止めてしまうけれど、
彼女がもし見上げたならば満更でもない染まった頬や目元が視界に入ったやもしれず。

「な、なるほど…… あんまり、というか全く考えないで動いてた……。
良かった、まだ市場と酒場、娼館周りだけで……。」

特に、子供を抱いて陽に当てるともなるとその情報の有無は金以上の価値を有するだろうから。
感謝の念を口にしながら抱き締めていた戒めを解いて……。

「ん…………。ザラが欲しいなら、荷物だけお店に置けば……。
きっと、お店の子達も許してくれる……。かな」

行きずり、初対面であろう相手へとすっかり警戒心が無いのは親身に相談にのってくれた故もあり。
散々元のお嬢様に躾けられた経験もあるため抵抗感は一切彼女に感じさせなかった事だろう。

名を呼ばれ、自信をつけさせてくれるかのように言葉を尽くしてくれる相手へと、
嬉しくならないはずがなく、向けられた笑みにこちらもふにゃり、と破顔しては嬉しそうに笑みを浮かべた。

「ザラに、もう言って貰えた。それだけでも嬉しい……。
だから……ザラも、良い女。だから…… 一杯甘えていい。」

彼女が喜んだ。己の膨らみへの抱擁。
彼女が言葉を尽くしてくれたお礼にと、腰に巻き付く尻尾が前まで回り、背中を抱く腕が強く、その身体を抱き締めて引き寄せた。
そこにはもう、冬の海風を感じさせる冷たさなど、微塵もないように。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からルーパスさんが去りました。
ザラ > 「どっちかっていうと、アタシは壊れている方だと思うんだけどねぇ……
ま、街中で話すことでもなし。寝物語でいいなら教えてあげるよ。」

今は別にどうとも思っているわけでもないのだが、事の起こりを考えれば笑い話でもないのだった。
それでも今は、その出来事すらをも笑い飛ばしてしまうのだが。

「少なくとも、ダイラスにいて、ファタールに世話になっている、って言って危害を加えてくる命知らずはいないだろうさ。
そういう意味ではいい所だよ。」

とはいえ、娼館でもある。だからルーパスによってよい場所か、と言われればそれは彼女次第なのだろうから。
だが、続いた言葉には笑み深めて

「ああ、何かなくても会いに来て?
……そうだね。もしもの時は、助けてあげる。
海の向こう、そう簡単に手を出せないところまで連れ去ってあげるよ。」

海賊だから、船乗りだから、その気になれば世界のあらゆる場所へと逃がすことができる。
初対面でも気に入ってしまったのだから仕方がない。
なによりも、己は他人から人や物を奪うことに罪悪感を感じはしないのだから。

「ぉ、それじゃ、本当に頂いちゃおうかな。
荷物半分、アタシに渡して。一人で持つには重いでしょう?」

据え膳を食わないほど禁欲家ではないので、ルーパスの言葉にあっさりと誘われていく。
そして、思うがままを口にしているだけなのだが、嬉しそうなほほえみを見つめれば、こちらも笑みが深まって。

「それならよかった。……ふふっ、そうだね。アタシも自分がいい女だと思ってるよ。
だから、ルーパス自身が、少なくともアタシの前ではそう思えるように、たっぷり楽しもうか。」

今一度、引き寄せられて抱きしめられる。
自分より高身長の彼女に包み込まれるような抱擁。
それはとても心地よくて。
だから、自分からもしっかりと抱き着いて、ルーパスほどではないものの、低い身長にしてみれば、十分な存在感を示す胸のふくらみを、ルーパスに触れる場所でしっかりと感じさせて。

暫し二人でそうした後で、ゆっくりと、どちらからともなく身を離せば

「じゃ、行こっか。」

そう告げて、彼女の荷物を半分持つことでそれぞれ片手で荷物を持ち、空いたそれぞれの手をしっかりとつないでから、
まずは彼女の荷物を置きに、ダイラスの街中へと消えていった。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からザラさんが去りました。