2025/08/14 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にエレイさんが現れました。
エレイ > 「……、……」

荷物を運び入れたり出したりする人足が行き交う、夕暮れ時の時間の倉庫街。
その片隅で、倉庫の壁面に沿って置かれた木箱の一つに腰掛け、ウトウトと船を漕いでいる
金髪の男が一人。
男は倉庫街の警備の依頼を受けてこの場に居るが、現状これと言って大したトラブルもなく暇を持て余し、
ついにはこうして居眠りをするに至っていた。

──実際にはつい一時間ほど前、些細なことからケンカを始めた連中の仲裁に入り、
結果としてまとめて海に投げ込んだりなど、一応の仕事はしてはいたのだが、
男の中ではそれは『大したトラブル』としてカウントされていないらしい。

ともかく──その眠りを妨げる何かしらの要因がなければ、自然に目を覚ますまで男はこのままだろう。
今しがた新たに船着き場に到着した客船の存在にも、気づく由もなく。

エレイ > 男が目を覚ましたのは、もうしばらく後のことで──
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からエレイさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にイザベルさんが現れました。
イザベル > 「ほら、さっさと積み上げな。この箱、この樽の一つ一つがアンタ等のおまんまなんだよ!」

威勢の良い声が桟橋に響く。幾つも積み上げられた木箱に樽等の貨物類。
出向まではあと数日あるが人や家畜を積み込む前に大きな物は収めて置く。
そこは心得ている船員たちもキビキビと荷物を運んでは船室へと収めてを繰り返していた。
ベテランたちは言わずもがな、最近入った若い船員も文句ひとつ言わずにだらける事もなく……。

そんな姿を満足げに見送ると、少し離れた係留柱に腰を下ろしてそこからならば船の全景と働く船員の姿がしっかりと視界に収まった。

今回は、外海に出る事のない代わりにバフートに始まり、王都、聖都、そしてダイラスに戻る周回ルート。
周辺地図と海図を足元に広げて前のめりに屈み見つめて考えるのは航路と、時間配分か。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にジーベックさんが現れました。
イザベル > 見る見る内に減っていく木箱に樽。そうしてひとつ残らず無くなったタイミングでやってくる船員の長へ、投げるのはずっしりと膨れた硬貨の袋。

「街の皆さんに迷惑かけんじゃぁ無いよ。」

そうして解散を指示する間もなく、船員たちはこぞって街へと散っていった。
静かになった桟橋、陽も徐々にではあるが傾き始めて白かった空に少しずつ茜が交じってゆく。
航路を眺めながら陸揚げと積み入れの時間等を考えれば、正直頭の痛い問題で、人の出入りもあるだろう、収益の最大化などを考えるも……。

「んー、ダメだね。頭がまわりゃしないよ……。」

いくら海からの潮風があるとはいえ洋上用の格好は暑いは暑い。
マントだけ外して膝に置けば広げていた海路図、地図を畳んで懐へとしまう。
自分も飲み出ようかと、腰を浮かせかけたけれど……。

「アタシと出くわしたんじゃ休みにならないか……。」

上司の悲哀。暫くは係留柱に座り自らの船を眺めて過ごす時間。

ジーベック > 王国内を行き来する客船。外国を渡り歩く商船。
真っ当な船がずらありと立ち並び、一部真っ当ではない船が水夫と言い訳するにも柄の悪い連中も我が物顔で停留するものの……
凡そは真っ当に営まれて、荒々しくも活気に満ちた港内、所々で口喧嘩やら手が出る喧嘩やらが起きているのは御愛嬌。

其処な通りを、ばさり、上着の袖と裾とを揺らしながら機嫌良さそうに歩いている大男。

「ふぅふふ~~~ん……」

下手な鼻歌なんかを囀りながら終いには小躍りもしそうな勢いであるのは。
先日の冒険で手に入った珍品が実に良い値が張りそうで。
先日の“稼ぎ”で手に入れた船やら金銀やらが実に良い値で売れたから。

「おん?」

そんな海賊船の一員、というか船長の、真っ当じゃない輩が、喧騒に満ちた中でも一際通る威勢のいい声に目を向けて立ち止まる。
誰だ~? 良い声してんな~。何てあっちにこっちにとぐるりと目を巡らしていれば見つけたのは、一人の女の姿。
丁度出港の準備を終えたのか出港までの骨休めに船員たちに注意やらお小遣いやらをこれまたよく通る声で渡して自分は座り込んでいる姿に、ふむ、と一つ頷いてから。

「ぃよお~す、サンチェスさんとこの社長さん。ふはは、上司ってのぁ気ぃ遣うよなあ!」

彼女に負けないぐらいによく張ったよく通る声が港内へと響く。
元気のいい声音に負けず大振りに大きな腕と掌を上げて、挨拶。
良く知った仲……でもないし同業ですらなく何なら運送屋と海賊では犬猿の仲ではあるが、顔は知った仲。今のところ彼女の船を襲った事もないしこれからも大火傷しそうだから襲う気もない相手に実に親しげに、がちゃがちゃと鉄鋼仕込のブーツをやかましく鳴らしながら近付いていく。

イザベル > そろそろ、船室にでも戻ろうか、そう思案の末決めようとした矢先、掛けられた声に、とても、とても不愉快そうな表情で振り返る。
顔を知らないはずはない、声を知らないはずもない。だからこそ、こと同業の目もあるこの場で仲がいいと誤解をされても行けない相手。

「アタシは部下より同業の目の方が気になるね。
気軽に話掛けないでもらえないかい。全く、海賊風情がどのツラ下げて歩いてんだ。」

一瞥くれて、また自らの船へと視線を戻すと、手を軽く上げて、シッシッと払うようにして追い返そうとする。
まだ、自らの船自体は被害を受けていない、だからこそ【関係がある】と誤解をされるのは仲間内で面倒な事になる。
とはいえ、声を掛けられただけで逃げました。というのも周囲の目からは弱いと判断されかねない。なので取れた手段は、無視。のそれ。

ジーベック > 苦虫を噛み潰したような顔して兎に角嫌そうな顔して嫌そうな声色した女に、ふはははは!! とこれまた大笑いする大男。

「この男前な面ぁぶら下げて歩いてるが? 今日もいい男だろ~?」

大きな掌を二度三度とぶんぶんと気さくに振ったあとには自称であり他称にもまあ良いだろう顔の頬やら顎やら一撫で。
疾く去ねと顔から声音から手振りまで加わった女に、気分を害した風もなくしきり可笑しそうに笑うばっかりで、
足はさらに進んで隣までやっていくと勝手に腰を落として足を広げてこれまた柄の悪い座り方で隣に居座りまでする。

「まあまあそう邪険にするもんじゃねぇよ。
 いや、ほれ、海ん上で俺の船なんぞ近付いたらドンパチ始まっちまうだろ? 陸で会えたのぁいい機会だからさ。
 丁度いいからこの際親睦でも深めてお互い相互理解を深めようと思ってだな……」

しかも、勝手に隣に居座った挙句に、大きな掌も分厚い二の腕も伸ばしては彼女の肩まで抱こうとする始末。
男がこんな気さくなものだから周りからはうっかりと勘違い……されることもない。
男の評判と彼女の評判を鑑みれば、それはそう、海賊が堅気に絡んでいて堅気は海賊なんぞ御免とけんもほろろの様相では仲が良いとは間違っても見られやしまい。周りからのそういった視線や何なら助け舟でも出そうかと動いている動きが、見えていないわけでもないが間合いに入ってこないうちは気にもとめずに気楽な声を上げていた。

イザベル > 豪快に笑い飛ばす男、はぁ、と呆れとも諦めともつかないため息を大仰に吐いてみせながら。

「面の皮が分厚すぎて、何も感じなくなっちまったのか、可哀想に……。」

自分で良い男と嘯く者に碌なのが居たためしがない。
しかも、帰れと追い払ったはずが近づいてくる声量。そして……
人様の臀部を押し出すようにして狭い係留柱に座ってくるのだから、女の額に青筋の一つでも浮かぶ。
膝のマントを肩にかけると立ち上がり、男を見下ろす形でにらみつける。
相手の腕が伸びていたのを知るのは運よく立ち上がったおかげ。

「アンタと親睦を深める事に百害あって一利も無いんだよ。」

ふん、と鼻を鳴らし、不機嫌そうに腕を組んで、周囲に聞こえるよう大きな声で完全に拒絶の言葉を口にする。
ともすれば完全な敵対関係に発展する可能性もあったが、同業を敵に回すよりは何倍もマシだった。

「ったく、人のモン掠めとってるだけの連中が、大人しく用心棒でもしてりゃいい物を。」

そう、吐き捨てると彼に背を向けて歩き出す。街中に、船員にこの光景を見せるわけにはいかないから、向かうのは既にどこも荷積みを終え人気の無くなった倉庫街の方向。
彼が見逃したか追いかけて来たかは知らねど、角を曲がればもう、人の視線も関係ない開いたままの倉庫が幾つも口をあけていた。

ジーベック >  
「おうとも、おかげで海の日差しもほれこの通り、この程度の日焼けで済むってわけよ」

帽子も被っていない、上着も羽織るだけ、肌をこれでもかと出して少々浅黒い程度の秘訣はそれだとまた笑う。
至近距離ともなれば、盛大に零れている溜息が聞こえていないわけもなく、立った青筋が見えてないわけもない、
敵か何かでも見るような目付きを真っ向から怯みもせずに見返しているくせ聞こえないふり見てないふり。

すかった二の腕は、ばつが悪そうに眉をひそめて、ちぇー、だとかわざとらしい舌打ちをして。

「一利ぐらいはあるだろがよ!? 流石に! ひっどくねぇ!?」

百害あるのはいいにして一利ぐらいは。人差指を一本立てては口は開くわ目を真ん丸にするわで抗議しつつの。

「用心棒もまあ“仕事”があんまねぇときにはやらんでもな、あ、おいおいおいおいちょっと待ってくれよぉ~」

彼女の取り付く島もない様子に、怒るどころかナンパ失敗して諦め付かない酷く格好の悪いナンパ男みたいな風体であわあわ手足を忙しなく振りながら追いかけ始める。万が一、部下に見られたとしても、周りからしても十分『海賊なんかとは仲良くありません』『海賊風情と関わりなんてありません』と言い訳は付くだろう有様。
彼女の背を追っていくと倉庫街のがらんと閑散とした通りにまで出たあたりで、追いかけてくる輩も居ないと視線を巡らした後。

「待て、つー、に!」

再び伸びる手は、次は両手で向かうはその両肩。がしりと捕まえてしまえばその太い二の腕に見合った膂力がぐいと彼女を引っ張り、閑散とした通りからさらにもっと人目に付かないだろう、丁度良く開けっ放しにされている倉庫の一つ引きずり込もうとする。

ジーベック > 【移動します】
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からジーベックさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からイザベルさんが去りました。