2025/06/29 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にエウヘニアさんが現れました。
エウヘニア > 倉庫街にほど近い場所には、各種問屋が軒を連ねていたりする。
港に荷が下りるたび、あるいは数か月おきに倉庫の在庫整理を兼ねて、普段より格安で遠方の素材が手に入ったりするものだ。

冒険者としての腕がさほどでもない己にとっては、無理にダンジョンに潜るよりは、こうしてきちんとした流通に乗った品を手に取るほうがずっと安全なのは自覚している。

だからたまに足を伸ばして此処に訪れるのは交通費で懐を痛める以上の成果を得るため…ではあるのだ。

───すでに目当ての問屋のいくつかをめぐって、街ではなかなか手に入りづらい魔物の素材(干物)などをいくつか鞄に収めて満足顔。

これらは普段の薬に少し混ぜ込めば、増強剤としてよい触媒になるので、定期的に買い込むのに向いている。
それに遠方の鉱山でとれる鉱石の──屑石。
女にしか価値の測れないものが、そのかばんの中には詰まっていた。

いつもより緩い笑みは、女の機嫌のよさを示すよう。

活気のある場所だから多少警戒はしつつも。けれどあちこちの露店に興味の赴くまま足を向けていた。

エウヘニア > お財布の許す限り、鞄の中には女にとっての大事なものが仕舞い込まれて少々重たくなったころ合い。
くう、とおなかが肉体的欲求に声を上げた。
そういえばまだ胃には満足な食事を与えていなかった。

購入した薬草を手に、露店の主にいい店知らないですか、なんて問えば港にある食堂のいくつかは教えてくれる。
おすすめは港町らしく海産物を使った料理。
聞きなれない名前も多いのは香辛料を使った異国風な料理も多いからだとか。

「へー、ああそれは美味しそうですね」

緩い表情がさらに緩まる。
今日は港の探検ですね、なんて世間話に花を咲かせ。

重たい鞄は、食事の前か後に荷運びにお願いしたほうが、安全かなあなんて考えつつ
でも足は教わった店の並びに向かうべくゆったりすすむ。
普段とはまた違う雰囲気は、ただ街を歩くだけでも楽しい気分になるものだ。

エウヘニア > 「ふふ、なに頼もうかなー?」

とりあえずまだ見ぬ料理に思いを馳せながら、ゆったりとした歩は目的地に向けられて
超絶並んでる人数見て絶望したりするのかもしれないけれどそれはそれ。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からエウヘニアさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にジーラさんが現れました。
ジーラ > 傭兵部隊との大攻勢の解散日。船よりタラップを降りれば、矢張り陸地が一番だと実感する。
心持ち気分も高揚する。勿論船内でも最低限の入浴設備はありシャワーは浴びれたが、早く宿で熱い湯に浸かりたかった。

そんな中、夫は仲間と飲みに繰り出すと言う。
困ったような表情でそれを告げる夫に、本当に人が好いのだから、と微笑ましい気持ちになる。

「構わないよ。――行ってくれば?
 うん、私はいい。酔っ払い共の相手は面倒だし。早く宿でのんびりしたいしね。」

あの穏やかさを女は好きになったのだ。一緒に居て心から安堵でき、誰からも慕われる彼。
本音を吐露すれば帰還の夜くらい、夫婦水入らずでゆっくり杯を傾けたかったのだけど…。
屈強な仲間に肩をがっちりと組まれて蹌踉けながら繁華街に向かう夫の背を見送り、長身の女は息を吐く。
菫色の癖のある髪と月色の瞳。その顔立ちはシャープで精悍。それでいて牝豹のような美しさを有していた。

「んッ……」

軽く伸びをして、腕を弛緩させる。さて、自分は宿に向かうとしよう。
夏の生温さと湿った潮風に、胸元の谷間にじんわりとヌルつく汗が溜まる。
戦地ではそんなこと露とも気にならないのに、矢張り街に着けば気が抜けるらしい。
港を歩み、夫の消えた逆方面へと足を向け――。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にグライドさんが現れました。
グライド > 久方ぶりの大所帯。
普段は単独の傭兵稼業だが、大きな仕事が在れば、こうして集団に入る事も在る
傭兵、と言う時点で雇われの身、一時的な募集に応じたのは
矢張り戦場で顔を合わせる事がおい連中だから、と言うのも在ろう

解散の運びとなって、其々が好き勝手に夜の街へ繰り出す
飲みに行くのか、女を抱きに行くのか、それとも博打でも打つのか
己はと言えば、飲みに行きたい所では在った、が
―――流石に暑い。 早々に宿に戻りたい気分でも在った。

「―――――うん…?」

その、先で。 ふと、見た顔が歩いて居るのに気づく。
戦場で、散々前線で大暴れして居たから印象に残って居るのだ。
精鋭揃いの野郎の中でも一際目立ったのは、己が同じ前線組、盾兵だったからと言うのも在ろう。

「よう、御疲れさんだ。 そっちも宿帰りか?」

向かう先は同じ方、もしかしたら、同じ宿なのやも知れぬ。
声を掛ける全身鎧、流石に、兜は外して小脇に抱えて居るが
もし、相手から何ぞ反応でも在れば、片掌でも掲げて振って見せよう
同業者だ、何時かはまた、同じ戦地で肩を並べる事が在るかも知れぬ

――まぁ、状況によっては、相対する可能性も在るのだろうが。

ジーラ > 傭兵なんて女であるということはデメリットでしかない、と女は考える。
己とて夫が傍にいなければ、斯様な稼業を選んでいなかっただろうし
特に、戦場より離れた今――生き抜くが為の統率、という枷を失った今が一番面倒だと、熟知する。
現に船中だって、何度下卑た視線と誘いを無視したか知れない。

ので。途中幾つかあからさまな誘いの声が掛かったが、女は適当にあしらって足を止めなかった。
足は止めないが――
生憎、同じ道を歩く者は当然いる。掛かる声に視線だけを向けた。
確か、同じ前線にいた盾持ちだ。
随分と良い働きをしていた。彼が居たから動きやすかったので覚えている。

「ああ、お疲れ。 
 そうだよ。早く湯を浴びて泥のように眠りたい。それだけ。」

軽く背後を顎でしゃくるように示し。

「さっき、うちの旦那を引っ張ってロイド達が飲みに行ったよ。
 アンタも行ってくりゃあいい。」

グライド > 別段、傭兵なんて仲良しこよしの集団ではない
仕事が終われば、馴れ合いは終わりとばかりに言葉を交わさない者も居れば
逆に馴れ馴れし過ぎる者も中にはいる。 例えば、女と見れば見境の無い連中だ。
無論、傭兵の中にも一定の秩序は存在する。 特に仕事中はそうだ。
仲間内で強姦紛いの無法者と化せば、収拾なんてつかなくなる
だから、女が己に対して、冷たい態度で応じようとも、そんな物だと気には留めなかったろう

「あー…そりゃ同感だ。 港じゃ湿気がなぁ。
俺様も飲みたい気分は在るんだが、それより何より、鎧を如何にかしてぇ。」

だから、同じ宿帰りだ、と、肩を竦めて見せようか。
ついでに言えば、背には特大の大盾を背負って居る。
今だって、金属鎧の中は汗だくなのだ。 まぁ、慣れてはいるが。
別段、我慢しなくて良いのなら、我慢する必要は無い訳で。

「とりあえず、何はともあれ水浴びしてからだ。
御前さんだって、其の口だろうよ。 一緒に飲みに行かねぇって事はよ。」

旦那、と聞いて、そう言えば先刻、仲間内で街に繰り出した連中が居たな、と。
名前と顔までは一致しなかったが、其の中の誰かが旦那なのだろう
成程、と納得しながらも、歩みは変えない。 のんびりと大股、女と然程変わらぬ歩調で。

「あんまりにも、御前さんが前で暴れ回るからよ、見ていて愉快だったぜ。」

ジーラ > 肩を並べる気は毛頭無いが、相手より早足で遠離る稚気も無い。
ので、女はロングブーツに太腿迄包まれた長い脚を優雅に捌いた。
その速度は変えないまま、投げられた言葉にのみ返す。

「アンタの装備は重そうだものね。
 確かに、そのまま飲むんじゃ肩が凝って仕方ないだろうさ。」

男の言葉に首肯する。機動性を重視した己の装備と違い、
重戦士の装備は金属鎧、重量級だ。そりゃあ宿にも戻りたくなる。
加えて戦での善戦に大いに貢献したあの楯を背負っているのだろうし。

「アンタこそ。その大楯があると無いとじゃ雲泥の差だ。助かったよ。
 その重そうなやつぶん回して、よくバテないもんだと感心してた。」

女が男の会話に応じるのには、戦場での働きへの返礼も含まれた。
常の戦場よりも消耗が少なかったのは、彼の役割が果たした部分も多きかろうと。

グライド > 「そう言う事だ。 途中で水浴びでも出来りゃあ良かったんだがな。
終わったら即とんぼ返りだからよ、まぁ、あのむさ苦しい中じゃな。」

思い返すは、船の中。 基本的には男が多かろう傭兵団が、狭い中ですし詰めとなれば
結果どうなるか、なんてのは想像に難くないだろう。 特に船室は、据えた匂いで埋め尽くされて居る。
流石に、金属鎧で海に飛び込むなんて命知らずな事は出来ないから、此処に至るまでこの調子

――己でもそうなのだから、女の方は、余計にそうだろう、と。
告げた言葉に、決して何かしらの意図が在った訳では無い
そも、女の事情を、此処で顔を合わせた己が知る筈も無いのだから。
だが、或いは想起させるかも知れぬ。 雄の匂いで充満した光景を。
雄の匂いばかりに包まれ、それ以外の尊厳を奪われ続けた、時間、を。

「俺様は、其れが役割だからな。 幾ら耐えても、荒らし役が居ないんじゃあ、精々出来るのは撤退の殿に為っちまう。
助かったのはこっちの台詞だ。 おかげで長引かずに済んだからな。」

――己が声を掛けに言った理由も、きっと、女と似た様な物だ。
もし、女の働きが無ければ、戦況はもっと膠着して居ただろう。
長引けば長引く程、双方の被害は悪戯に増えて行くもの。
其れを破ったのは間違い無く、女の力だ、と。

――告げる頃に、僅か、風が凪ぐ。 其の一瞬に、立ち上る雄の気配が。
或いは、女の鼻腔にまで漂う事になるやも知れぬ。

ジーラ > 「まあね。」

軽装の女は船中、夫を見張りに立てて洗拭の機会を得たが、男の装備を考えるにそうはいくまい。
何しろ船室は血と汗と泥と体臭で噎せ返るような匂いだ。身なりを気にする気にもならない輩が多い。
――それに思い出す何事かが全く無いと言えば嘘になるが。
戦地を退いても、男所帯に身を置いている最中、女は常に気を張っている。気にしている暇は無い。

「同じだよ。 私もそれが役割だ。
 動いてなきゃ首が飛ぶ。動いて首を多く飛ばせば、生還できて早く湯浴みにありつける。
 むさ苦しい連中とつるむ日々は一日も早くショートカットしたいからね。」

軽く首を竦めて戯けてみせる。
それが成し遂げられたのも男の力であり、また女の力だ。

ふと、風が流れを止めた一瞬があった。肩を並べていなかったのは幸いだったろう。
戦地で気にも留めなかった雄の汗と体臭が、女の意識を僅かに擽って、ぞくりと背筋が粟立った。
形の良いヒップが、浅く震える。

「さて――アンタと与太話していると宿が遠くなる。先に行くよ。」

女はひらりと片手をあげた。ささやかに生じたものを誤魔化すように。