2025/11/30 のログ
ご案内:「セレネルの海」にアルジェントさんが現れました。
アルジェント > 冬の夕暮れはほんのつかの間。
その淡い間隙に、浜辺の散策に足を運ぶ。散策といっても───面白そうなダンジョンでもないかな、とそんな思惑。

海風に長く身を晒していると毛並みがべたつくからさほど好みというわけではないのだが、冬の荒涼とした浜辺の景色は嫌いじゃない。

時折帽子が飛ばないように抑え込みつつ、ゆったりとしたあゆみ。
ざり、と砂地に残る足跡は、そのうち寄せて返す波が流していってしまうのだろうが。

───この海岸線を、獣の方の姿で駆け抜けるのはそれなりに気晴らしになりそうな広さだな、と緩く思いをはせつつ。

斜陽の景色の中、点在している岩場のひとつへさしかかる。
さほど苦労している様子もなく、平地を歩く様な気やすさで歩みが止まらないのは、女のそもそもの身体能力の高さを示すようでもある。

高さのある岩を、軽く足を引っかけた挙措で身を引き上げ、その天辺にたどり着く。

蒼鈍色の髪が、流れる風に揺れ、コートの裾が広がった。
そこでいったん足を止め、おさまりのいい位置を探して腰を下ろす。
陽射しの名残が残るうちに、目星を付けるために視線を動かしついで。
潮気がなきゃ、この風の強さは好みだけどな───と金眼が細められる。

アルジェント > それっぽい海岸線沿いの洞窟をいくつか視認を終え、後で危険度くらいはギルドで確認するかと独り言つ。


陽射しが傾き、昏くなってゆく。
何もかもがあいまいになる夕闇の色。
降りてくる藍色に、細めた金眼を空に向け、少し喉を逸らす。

さり、と蒼鈍の髪が風に揺れる間に輪郭が融け、そこにいるのは巨きな狼だった。

岩の隙間に身を収めるようにして、風が少々べたつく以外は、崖際の岩場に身を寄せるような感覚と同じ。

ざわざわと寄せて返す波の荒っぽい音に、耳を揺らしつつ、寛いだ。
寒さは厚い被毛がそれを阻み。
前脚を伸ばした間に鼻先をうずめ。耳だけは時折異音を拾うように揺れはするものの、姿勢を変えることはない。

アルジェント > すぴー、とそのまま寝息。
熟睡する、ということは知らない野生の獣のように、耳だけは立てたまま。

明かりのない海岸線沿いが闇に沈めば沈むほど、その姿も沈んでゆくのだろう。

ご案内:「セレネルの海」からアルジェントさんが去りました。