2025/08/15 のログ
ご案内:「セレネルの海」にベアトリスさんが現れました。
ベアトリス > 王都近郊、海水浴場。
危険な魔物や、賊などが入り込めないよう、整備管理された観光地としての砂浜。

もっとも例外はあるのだろうが──。
料金と引き換えに、それぞれの身の丈に合った快適性は担保される、そんな場所。

そこで女は若干途方に暮れていた。

仕事がない。
干されたというよりは短期の夏季休暇を強制的に取らされた、というところ。

───現状折り合いの悪いタウンハウスに戻れるわけもなく。
たまには遊んでこいと握らされた海水浴場のチケットと、近郊の宿泊所の紹介状。
気遣い──と思いたいところだが。それを無碍にすることもできずにひとまずはリゾートとしてのTPOを守ってはいた。

(休め、と言われても──社交の義務でもないとなると、なにをしていいのか……)

日除けの帽子と日傘。
女性らしい稜線を包む薄手のワンピースの裾を揺らしてゆっくり歩く。
平民層の多くが戯れるこの場所であればそんなラフな姿もそこまで浮きはしないだろう。

艶のある髪は今は柔らかく編み、背中で揺れる。

眩しい陽射しや、歓声は確かに自信にとっては珍しく感じている。
足許の熱された砂浜の感触も、歩きなれた絨毯の上とはまた違う。

帽子のつばの陰で物珍しそうに揺れる薫衣草色の双眸が陽射しに色身を柔らかく変えた。

ベアトリス > ひとまずは───この熱気。喉を潤すための屋台へを足を向け。
果実水を買い求めるまでに大分紆余曲折を経たのだった。

ご案内:「セレネルの海」からベアトリスさんが去りました。