2025/08/04 のログ
ご案内:「セレネルの海」にイザベルさんが現れました。
イザベル > 海から吹く風がマントを揺らす。海の上で慣れた陽射しとはいえ暑いものは暑い。そんな海辺に一輪、赤い花を手に佇む女。

「全く、いつまでメロウと遊んでんのサ……。」

伝説上の海魔、歌で海を荒らし雄を海へ誘い込む。セイレーンやら色々と海に携わるものには忌むべき海魔。
美しく豊満な女人の上半身を持つそれから船と船員、自身を守って未だ戻らぬ男へと、愚痴るようにつぶやいてその花を投げた。

寄せては引いてを繰り返す波にその花は遊ばれて中々沖へ流れていくことはしない。
それは、男を思い出して未だ先に勧めない自身そのものでもあって。

「メロウより良いカラダしたオンナをいつまでも放ってんじゃないよ……。」

そのまま、どさりと砂の上に座った。両手を砂につけ胸をそる様にして空を仰ぐ。その空は歪んで見えた。
船を守るために、家族である船員を守るために、捧げた身体は幾夜にも及ぶ。
首につけられたチョーカーの、環に指先を絡めながら……。
偲ぶとは少し違う。ただ、女に感け返ってこない旦那への愚痴だ……。その愚痴を波風に流しているだけ。

イザベル > 既に明かりは月の淡い光のみ。いつ海魔がやってきてもおかしくはないそんな海。
攫われて欲しかったはずの花はいつしか水の中に沈みその存在すら消えて行った。

「全く、儘ならないもんだね、ホント……。」

浜辺より腰を上げる。パンツについた砂を払ってマントを翻す。
それからブーツは力強く砂浜に足跡を残していった。
未だ海から上がらぬ浮気性の伴侶へ、後ろ足で砂を掛ける、そんな思いで。

ご案内:「セレネルの海」からイザベルさんが去りました。