2025/07/03 のログ
ご案内:「セレネルの海」にグリードさんが現れました。
グリード > 一人街を抜けて辿り着いた防波堤。そこを降りれば広がる砂浜も、その先の海は黒く足を進める事が躊躇われた。
だから、一段高い防波堤の上に腰を下ろす。そこから見渡せる景色は月明かりと、時折巡る灯台の灯を頼りにするしかない程暗く。

「海ってのはいいねぇ……。なんも出なきゃの話だが。」

夜の海、幻想的で魅力的な場所だが、下手に泳げば海魔に足を引っ張られ、
そうでなくとも群れを成して遊泳客を襲う事もある存在。
そうと知っていても近づきたくなるのだからある意味魔性の魅力を持っている。だから今は遠くから眺めるのみ。

「ってか、なんで海で生活してる奴が態々陸にくんだよ……。」

船だけ襲ってろよ。なんて無理無体な愚痴が零れる。
とはいえ、海魔の中にも絶世の美女が居るのだからそれが現れれば掌を簡単に返すのだが。

グリード > 滅多に吸う事の無かったもの。たまたま手に入れる事が出来た煙草。
正直あまり吸う気も無く最悪売り払えばいいとすら思っていたものを取り出すと一緒に貰ったマッチで火をつける。

暗闇にぼんやりと浮かぶ炎の小さな灯と、暗闇に溶けていく紫煙。
その煙は留まる事もまとわりつく事も無く、海風に運ばれて霧散し、ただ口内にその香りだけを残した。

「ンー……やっぱあんまり良さがわからねぇなこれ……。」

好んで吸うならば女体に限る。なんて誰も聞いていないから言える下品な独り言。
ただそれも波の打ち寄せる音と、消波ブロックに打ち付け消える音が掻き消してくれるだろう。
昼まであれば賑わっているこの場所も、今は独り占めしているような気分で、それはそれで幸せな。

グリード > 「……よっと」

座っていた防波堤から足を引き上げて立ち上がる。
まだまだ月は高い位置、夜は始まったばかりだが、足は街へと戻るために向くのだろう。

夜風を背に受けてその足取りは幾分か軽く。

ご案内:「セレネルの海」からグリードさんが去りました。