2025/07/02 のログ
■フーリ > ただでさえバランスの悪い体形をしているちびぷにメカクレ。
目元そのものは、隠れていても魔女の魔法で良く見えているから、大丈夫なのだが。
そしてフィジカルも、世間一般の魔法使いのイメージとは違い、種族:魔女はそこそこあるのだが。
いかんせん、メカクレ根暗が頭の中で浮かべる爽やかな夜の海を散歩する姿と、
実際にあぶなっかしくよった、よった、と歩く姿はぜんぜん違う。
「ぅえ?」
ほどなく、濡れて重くなった砂の、とくに柔い個所にと足を取られ、盛大に転んだ。
なんとか手はついて勢いを弱めるも、ほぼ顔から突っ込み、海岸に黒髪黒づくめが派手に転がる。独りで。
そのまま意識でも飛ばしたのかというくらいの間があって。のそ、のそりと顔を上げ、
足元に寄せては引く波を感じながら、ぺっ、ぺっと砂を吐き出し。
「っ、ぶ、ぇ……ざりざりするぅ……っひ、ふひひひっ、ひひひぅ、ぅ」
砂の食感レポしながらに、ただでさえ黒一色の身体が、濡れた砂でますますと肌理までも黒に包まれたのを茫洋と眺める。
目の前には、自分の胸の形に抉れた砂浜。そこに、波がざぱぁ、と打ち寄せ、潮溜まりができる。
悲しいのか間抜けなのが情けないのか、一周回って面白くなったのか。
気味の悪い引き笑いをしながら、あーあー、と半ばヤケになって、砂を掬って掌から落として遊んだり。
誰かが見ていたら、かなりのヤバげな光景ではある。
■フーリ > ひとしきり、一人遊びをしたあと。
ゆらぁ、と、立ち上がっては、不可思議物入空間から先日、妖精の泉で汲んだ水をいくつも取り出し、すっ、と手を振る。そうすれば、瓶がひとりでに蓋を開き、入っていた泉の水が中空を浮かび、ひゅるひゅると空を切り、フーリの衣装の隙間から入り込んでは、砂を器用に掬いながらに蠢く。
さながら魔法による自動洗浄。暫くそれに身を委ねる合間。星空を仰ぐように頤を逸らし、はぁ、と、どこか艶の乗る吐息を吐いて。
星明りに、僅かに色づいた頬と、海風に揺れて前髪が揺れたせいで見える青灰の瞳が浮かぶ。
暫しの後。スカートの裾から砂を含んだ水がひゅるりと滑り出ては、瓶へと戻っていく。
蓋までも自然と締まり、内容物は元の泉の水に、魔女の魔法の力籠る海岸の砂入り。
「……と、特殊な趣味の人とかに、売れないかなぁ……いや、売れちゃっても怖いか……。」
最後に一瓶、空間から拾い上げ、がらがらぺっ、がらがらぺっ、と、数回うがいして。
せっせせっせと瓶を拾い、不可思議物入空間に収納。
最後に箒を一本出して、とん、とそれまでのどんくささが嘘のように軽やかにそれに乗り。
さて、今夜はどこで夜を明かそうか、と、一夜の宿を探して、海辺を後にしていく。
ご案内:「セレネルの海」からフーリさんが去りました。