2025/06/29 のログ
ご案内:「セレネルの海」にティアフェルさんが現れました。
ティアフェル >  早朝の蒼穹にカモメが高い声で喚くように鳴き散らしながら飛び交う。
 
 そろそろ暑気を感じる気候ではあるが、朝の海風はまだ爽やかで心地よく海を陸を渡っていた。
 
 一見穏やかな波打ち際には、昨夜の嵐で僅かに濁った波間から浜辺へと打ち上げられる流木や貝殻、沈没船の残骸に――人間。
 水死体にしては膨張もしておらず、顔色も良いとは云えないが多少の血色は見られ、何より浅く胸が上下しているところからそれはまだ、息があるのが判る。
 昨晩乗っていた船が嵐に巻き込まれ、沈没こそしなかったものの何人かは暗い海の中に投げ出された。
 運の悪いその何人かのうちの一人になってしまった女は必死で浮かんでいた木切れに取り縋って荒れ狂う真っ黒な波間を漂い、辛うじて溺れずに砂浜へ打ち上げられたものの、意識を失ってしまい朝を迎えている。
 下半身を海水に浸してうつ伏せで寄せては返し、奏でられる潮騒の中、波打ち際でぐったりと意識不明で横たわる女の濡れた横顔をきらきらと眩しい朝の光が照らしだしていた。

ご案内:「セレネルの海」からティアフェルさんが去りました。