2025/06/08 のログ
ご案内:「セレネルの海」にアルジェントさんが現れました。
アルジェント > 鈍色の空は今にも泣きだしそうな雰囲気を漂わせている。
打ち寄せる波も今日はその天候に合わせるようにやや荒れ模様。
白く上がる飛沫をひょい、と避ける人影。

強い潮風に下ろしたフードが脱げないように片手で抑えて、岩場の多い海岸線を、身ごなし軽く渡っていた。

「ふーん………」

金色の双眸が、ゆる、と岩場の様子を眺め。点在する洞穴なんかに目を向けるのは、いざというときの野営地にしてもいいかな、くらいの考えではあったが。

スン、と鼻を鳴らす。
若干べたつく感じのする風に、そうする前に貧民地区の酒場で夜明かしするほうが堅実的かな、と思案した。
鼻が鈍るほどじゃないが、……雑味を多く感じるのは洞穴の深さもまたまちまちで、ダンジョン化している場所もあるからか。

ご案内:「セレネルの海」にガリアさんが現れました。
ガリア > 風に乗って、声がする。
其れは、子供達の声。 比較的安全な砂浜で、わいわい騒ぐ声と。
其処に混じって、応える様に響く、子供ではない、声。

もし視線を向ければ、遠くの方で、はしゃぐ子供に囲まれて
ロープのような物を引っ張っている、男の姿が目に入るだろう
ロープの先は海の方向へと伸びており、如何やら漁に使う物の様で

「―――おーい、後ろに立つな後ろに…!
あぶねぇから!」

まるで綱引きめいて。
其の内に、海からロープの先端が抜けだして、浜をずるずると引き摺る様に
先端に、何かが掛かって居る様にも見えるだろう、恐らくは、大きな魚
びちびちと跳ねる其れを、漸く手元まで引っ張り切れば、やれやれ、と一息ついて。

『あんがとー!』

―――元気な子供の声が響いた。
浜に埋まっている岩へと腰を下ろした男を放置して、子供達は魚へ一直線
みんなしてそれを持ち上げて、何処かへと去って行くのだ。

がっくり、肩を落とす男の様子も、或いは。
目が良ければ見て取れる、やも。

アルジェント > ふと、風音に、風の音だけじゃないのが混じるのに気が付いた。
フードを抑えたまま視線をぐるりと巡らせる。

少し離れた砂浜で、跳ねる豆粒みたいにはしゃぐ子供たちと──
何かを引っ張っている男の姿。
ふぅん?と一つ唸って状況を眺めている。

実に平和な一幕のようだったから、特段慌てることもなくゆるゆる距離を詰めているうちに、にぎやかな声は明瞭になってくる。

地引というには規模が小さすぎるし───投網?なんて考えながら眺めているうちに結果が跳ねた。

わあ、と上がる歓声は無邪気なものだ。
それを成した功労者へは、口々に労いと感謝の言葉を伝えて
その成果をしゅ、と運んでいくのは家妖精も驚く連係プレーと素早さでどこぞへと運び去っていった。
………おそらくはどっかの台所で捌かれる…んだろうなアレ、と視線だけで追い掛けて。

それから残されたほうへと視線を戻した。

「よう、相変わらず世話焼きだな」

声をかけられる程度には近くまでたどり着いたら、愛想のない声音が挨拶の言葉を向ける。
相変わらずフードを下ろしたままで過ごしている狼は、昼日中だとただの不審人物なのだろう。

ガリア > やれやれ、と、ロープを引っ張った跡だけが残された砂浜を眺め。
そんな折、掛けられた声に、一寸片眉跳ねさせては、其方へと首を傾ける。

「……よう、見てたのか。 ……まーなぁ、つい。
どう見ても、ガキだけで引っ張るには大物過ぎてよう。」

――先刻揚げられた魚の大きさから見れば、あの子供達だけで引っ張るには少々心許なかろう
逆に、海に引っ張り込まれて仕舞えば、波に飲まれる事故にだって繋がりかねない
最初は、あくまで様子を見ていたのだ、と付け足しつつも
子供達の去って行く方向を最後に眺めては、ふ、と笑い。

「ま、ガキどもが喜ぶ顔は、何にも変え難いって事さ。
……で、そっちはこんな所まで如何したんだ?」

子供相手、別に礼が言われたくて手伝った訳では無いから、別に良いのだ。
捌いて貰ってしっかり食べて、精々大きく育てば良い。

――で、返す刀、相手の事を問う。
何か目的が在ってこんな所に居るのか、それとも単なる散策か。
なぁ、別に、何だったって構いやしないのだが。

アルジェント > 苦労の欠片だけが残っている砂の跡
それもそのうち、消えてしまうのだろうが。

問いかけに対しては何となく、と相槌返した。

前回も、請われついでに酒場で講義していたところを見かけたわけだし。
今のも子供たちの安全云々や、騎士団員としての立場というよりは
基本的に面倒見がいいということの証左に感じた。
取り残される形になったところで、子供たちに悪態つくでなくむしろ満足気な様子なのだから。

思わぬ釣果……というべきか。大物を持ち帰った子供たちに大人のほうが驚きそうだなと感想を一つ。
問いかけに、己が赴いていた岩場へと視線を向けて。

「ひとまず『あっち』に戻る仕事が来るまで暇だしな。
ダンジョン巡りでもしようかと」

ついでに日々の塒になりそうな地理の把握。
女の本拠はこの国ではないというのを知っている相手へはその程度の説明でも納得はできるだろう。

今は雇い主がいるわけでなし。能動的に斥候仕事に勤しむ──なんて性分でもないのだから。

ガリア > 「成程な…、まぁ、食い扶持は必要か。
てか、宿探しはしないのか? 別に手持ちが無い訳じゃあ無いんだろーによ。」

ダンジョン巡り、或いは野宿の準備、と、言われれば納得は出来る、が。
傭兵である相手が無一文と言う訳でも無い筈だ。
確かに、街中に紛れて居る事には、其れなりのリスクが在るのだろうが…。

「………アレか、要するに、暇人って所か。」

言い方は少し意地悪いだろうか。 戯言めいて、くつくつと笑いつつ。
掌に着いた砂を払い落とし、そうして、ゆっくりと立ち上がれば。

「……んじゃ、道案内でもするかよ?
この辺りなら、大体どんな場所かは説明出来るぜ。」

―――さも、当たり前の様にそんな事を言い放った。
詰まる所、其れが何を意味するかと言う事を考えれば、答えは一つ。

此方も此方で、暇人なのだ、本日は。

アルジェント > 「まあそれなりに。───なくはないが、暇つぶしでもあるしな」

それに、己の場合は人がいないほうが寛げるし。
街中は、匂いも音も少し煩わしさは覚える、と肩を竦めた。
人の容をとる以上はそのあたりとの付き合い方を知らないわけではないのだが。
要は好みの問題だった。

端的に今の己の立場を示す言葉に、否定はしない。
偽名でギルド登録を済ませて仕事として請け負うのも悪くはないが、そこまで間抜けじゃないだろう。

「そのとおり。………アンタが…?」

揶揄いじみた言い分には目くじらを立てることはなかったが
そんな暇人に付き合うことを申し出る相手に胡乱な眼差しを一つ投げかけてやった。

………暇人仲間であることを自分から明かしてくるあたりには何とも言えないものを感じたが。

「ふーん、じゃあ楽させてもらうかな」

自主的な道案内への立候補に軽く口許を笑みにゆがめると、素直に任せるつもり。
実際手間が省けたのだから否やはなかった。

ガリア > 「所属こそ違うがよ、やってる事は同業だぜ。
地理なんて知らないで居たら、仕事にならないだろーよ。」

騎士、其れも斥候職。 敵地だけではなく、情報は武器だ。
自国の事を把握しておくのも、自分の役割の内だ、と
告げながら、相手に先だって、洞窟の方へと歩き出す。
例えばダンジョンや洞窟の討伐を行って貰える事は、基本国にとって良い事だ。
案内する事に、何ら問題は無い。

「……後、静かな所が良いって言うなら、良い宿知ってるから。 其処も教えてやるよ。」

そんな事を云いつつ、ひらひらと片掌を振って、付いて来る様に促すのだ――

アルジェント > 「立ってる位置が違う奴に、世話焼いてどうするんだって話でもあると思うがな、ソレ」

同業は同業。けれど所属が違うのだから、その制服に反するんじゃないのか、とは思い。それを口にする程度には──世話焼きな相手のことを厭うてはいないらしい。
だからといって相手に利する立場になるとも言わないが。

今は素直に世話を焼かれることにしたのか、先に立つ相手を追うように歩き出した。
目星をつけていた洞窟の、そのうちの一つを目指しているらしいのにゆっくりとした歩みは焦りもなく。

「あー、それはありがたいな。アンタの紹介なら荷物をくすねられることもなさそうだし」

客の足元を見る宿はそれなりに多い。
休息中の安全が担保されるだけでも十分得難い情報だから、促しにしたがって歩を進めることになるのだった。

ご案内:「セレネルの海」からガリアさんが去りました。
ご案内:「セレネルの海」からアルジェントさんが去りました。