2025/10/18 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にルーパスさんが現れました。
■ルーパス > 「いってらっしゃいませ。」
そう、言葉にして見送ってからもうどれだけの時間が経過しただろうか。
街中の教会、その倉庫の扉の前に立ち微動だにせずその場を守る執事服、
主人である名家のお嬢様は、倉庫に見せかけた地下への入り口を降りて
今はそこへ捕らえられた異教徒や思想犯を相手に欲を満たしている。
人間には知覚出来ないだろうが地下より上がる声は複数の嬌声。
しかしそこに主人のものはなく玩具と化した犯罪者のそれ。
「…………。結構だ。」
もう長い事同じ場所に立ち続けている事を不審がる信徒が、
飲み物や食べ物を片手に声を掛けてくるけれどそのどれもを短い一言で拒む。
まだ陽の高い内から享楽に耽る主人、待て、と命じられたわけではない。
しかしその行為は当然行われるべきものと疑いもせず。
悶々と階下より聞こえる雌の音と、香る臭気に苛まれながら、自らの出自を少し恨んだ。
嗅覚も聴覚も、生まれ持ったものだけに。
■ルーパス > そんな倉庫の前に、また新たな人物が訪れる。
同じ修道会であり、所属は違えど階級は上である壮年の男性。
背筋を伸ばしたまま恭しく一礼をし、自ら倉庫の扉を開ければ入室を促した。
「お勤め、お疲れ様です。」
そう、服役囚を弄ぶのは何も、お嬢様に限った話ではない。
そうして、弄ばれるのも同じ。
檻の中、服役囚と同じ場所で、喜悦に塗れた嬌声が上がるのに時間はかからない。
それは最も馴染みの深い声。
ぎゅ、と反射的に下唇に犬歯が刺さる─。しかし、鎖に繋がれた犬の如くその場を離れる事はない。
ただ、ただ人狼にとっても拷問のような時間ではあった。
しかし、自らに衣類を、そして仕事を与えてくれた主人を裏切る事など、到底。
■ルーパス > どれ程の時間が経過したのだろう。
既に陽も暮れて教会へ来るも出るも無くなった。
そうして、地下より出でる壮年の男性より、命じられたのは片付け。
「承知致しました。」
来る時がそうだったように、恭しく下げる頭。
臭気に眉を顰めながら地下には夥しい体液と、気を失う囚人、そして──。
「お嬢様、帰りましょう。」
自らの執事服を脱ぎその身体を覆う。夜の闇に紛れながら愛しいはずの主人を抱いて何を思うか。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からルーパスさんが去りました。