2025/08/08 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート 神殿騎士団本部」にセカンドさんが現れました。
■セカンド > 「……失礼。王都より、届け物に参りました。団長に直接渡すようにと言われています」
ミディアムボブの黒髪女が門番に告げる。眼鏡の奥の瞳は怜悧さを湛え、貴族の家令あるいは秘書を思わせる。
嗜虐趣味の男なら下心を揺さぶられる姿だ。例に漏れず門番も鼻の下を伸ばしつつ――胸元を見て青ざめる。
胸ポケットの上にあしらわれている刺繍は、剣を銜えた狼。ある貴族の家紋であり、騎士団内では不可触の代名詞。
(――あの宿六、マジで嫌われモンなんやな……)
青ざめたまま凍り付く門番に、女は不思議そうに近寄ってみせる。物理的な障壁があるかのように門番は一定の距離をとり、女の向かうべき先をぶるぶると手で示した。掠れた声で団長室の場所が告げられる。
女は軽く礼をして建物へと入る。騎士が詰める建物とは思えぬほど弛緩しきった空気。
行き交う男の中には、複数の香水が混じった匂いを放つ者もいる。その頽廃ぶりに女は微かに細眉を寄せた。
(酷いもんやな……組織の体をなしとらん。山賊や海賊の方がマシに見えるって、どうなっとるんやここは)
廊下を歩く女に話しかけようとする者も何人かいたが、一様に胸元の刺繍で雷に打たれたように立ち止まる。
つまらなさそうに鼻を鳴らし、団長室へと向かう。途中、呼び止める者はいるだろうか――。
■セカンド > 団長へのお使いを終えて、受け取ったメモを見直す。
「紅茶はツテがあるけど、緑茶はなかなかなぁ……」
メモにはシェンヤンと取引をしているいくつかの店がある。
どれも名前は聞いたことがあるが――。
「ほな、ここにするか」
茶を薬の一種として扱う所がある。ここがそうかはわからないが。
目にとめた店名は『草荘庵』。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート 神殿騎士団本部」からセカンドさんが去りました。