2026/02/13 のログ
トゥマリク > 雑然とした大通り。道の端、両脇にところ狭しと商人たちが声を張り上げる。
売りに出すのは価値のあるもの、例えば食物だったり、身を飾る金品だったり、そして名物の奴隷だったり。
ミレーや貴族に魔族、様々な人種を扱う奴隷商たちがここでは一番目立つもの。

そんな大通りをトゥマリクはおぼつかない足取りで歩いていた。
娼館からちょっとしたお使いを頼まれたので、出歩いて用事を済ませようというのだが、
いささか人通りが多く、慣れない用事にうつむきがちで通りを歩く。

ちらりと横を見れば自分と同じ年頃の少女が奴隷として売りに出されていた。
その瞳に光はなく、絶望しきっているのがわかる。

自分と似たようなものだなとトゥマリクは思いつつ、目的地へと小走りで向かっていった。

トゥマリク > いくつかの路地を抜けて、たどり着いたのは薬屋。
飲み薬から塗り薬、特殊なポーションまで扱う、少し日当たりの悪い店。
娼館によく避妊具や避妊薬、それに媚薬なんかを卸す商いをしている。
今日は偶然それらの薬類が切れてしまったそうで、トゥマリクは使いっ走りとしてメモを渡されて
薬を追加注文する役目であった。

店番に立つ、中年の女性にぎこちなく小さく頭を下げてからメモを渡す。
愛想のない女性は差し出されたメモを受け取り、「ああ、あそこの娼館の」と呟いてから
店の裏側に回って在庫を確かめて、また戻って来る。

「今日中には届けておくよ」

そう返事して、終わり。これでトゥマリクの役目も、終わり。

トゥマリク > つっけんどんな返事を受けて、さっさと帰ればいいものの、トゥマリクはきょろりと店の棚を眺める。
字はなんとか読めるので、店先の値札なんかも一応は読める。
読めはするけど、効能についてはよくわからないものが多い。

そういえば、避妊具や、避妊薬。
自分にはあまり効果がないことが多い。もちろん強力なものならば効きはするが。
時々、自分は性行為やその結果、産んでしまうものについて、表面上疎んだり憂えたりするけれど、
最中にはもっと欲しいと自らねだってしまって、快楽を受け入れる。

そんな自分がつくづく恥ずかしく、嫌いだ。理性のあるうちはそう思える。
ぼんやりとガラス瓶に入ったイモリの黒焼きみたいなものから、のど飴までの列を眺めて。

トゥマリク > 「買うのかい?買わないのかい?」

カウンターに肘をついた店番の女性が、そんなトゥマリクに声を掛ける。
そこではっとして、我に返る。
いつまでもここにいたら店の人に迷惑だし娼館で待っている上役に怒られる。
どこで油を売っていたのかと、問いただされるかもしれない。

「すみません……!」

女性と目を合わせないようにまた小さく頭を下げてから、慌てて出ていく。
また足早に大通りを歩いて、帰っていく――――。

ご案内:「奴隷市場都市バフート 大通り」からトゥマリクさんが去りました。