2026/02/25 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」にさんが現れました。
> 春の陽気へと移りつつあるこの頃。
まだ朝方や夜更けは冷えるが、晴れていれば昼には薄っすらと汗をかくこともある。
雨雲と晴れ間が交代に覗く空は気紛れで、先ほどまでは晴れていたのに、流れてくる雲は徐々に厚く重い鉛色へと変わっていた。
森を吹き抜ける風が雨のにおいを運んでくる。

冒険者ギルドで請け負った依頼のため、朝から森へ行き、春の陽気に釣られて出てきた茸熊――背に薬になる茸を生やした熊である――を二頭狩り終え昼を迎えた。
普段であれば、仕事を終えれば雨に降られる前に街へ駆け戻るが、今日はそんな気力が残っていなかった。
昼食の兵糧丸も半分しか腹に入らず、やたらと喉が渇く。
妙だ妙だと思っていれば、身体が熱を持っていることに気付いた。
体調を崩すことは滅多になく、病気とは無縁だったが故に、契約違反のペナルティを甘く見ていたのもある。
こうも足が重く、関節や頭も痛み、視界が回るものとは。

「…………ん……ケホッ、ゴホッ! ――……ぅ、ん」

咽込み手で口を覆う。唾液に交じる鉄の味にゆっくりと瞬き、ふと、掌を見れば僅かに赤色が付着していた。
これは少し、雨宿りも兼ねて休んだ方が良いかもしれない。
黒尽くめの少女はケープのフードを少し浮かせ、今にも泣き出しそうな空を見上げる。
ポツリ、ポツリと雫が地面を濡らし始める前に、雨を凌げる場所を探そう。

> 暫く森を歩いていると、小高い岩山に突き当たる。
高さは数メートル程度。下から見上げる限り、落ちても死ぬような高さではない。
その岩山に、丁度雨を凌ぐのに良さそうな浅い洞穴を見つけ、これ幸いと中を覗き込んだ。
魔物や獣が住んでいる形跡もないし、一先ずの安全は確保できそうだ。
本格的に雨足を強め始めた空に追い立てられるように、洞穴の中に逃げ込み、膝を抱えながら羽織るケープを手繰り寄せすっぽりと納まり暖を取る。

「はぁ……。……通り雨、だと……良いけど……」

熱の籠った吐息を零し、襟巻に顔を埋めて身を縮める。
何か燃やせるものでもあれば焚火も出来るが、獣すら住んでいない洞穴では小枝の一本も見当たらない。
マジックバックの中にある物で燃やして良さそうなものも無いし、早く雨が止んでくれるのを祈るしかなさそうだ。
無理をして動いていたせいか一段と身体が怠く、先ほどまで感じていた暑さが寒さに変わっていた。
こういう時はどうするのが良いのだったか。
深呼吸をして、乱れた氣を正しく整えるか、それとも眠って体力を回復させるべきか。悩みどころだ。
幸い、右手に嵌めた命紡の指輪のお陰か、あれから咳に血が混じることも無く、頭痛も少し和らいだ気がする。

フードの下に隠した三角の耳をピンと立て、周囲の音に警戒しながら瞼を閉じた。
ポツポツと降り注ぐ雨の音と、時折、外で吹き荒れる風の音だけが耳に届く。