2025/11/08 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 「妖精の泉」」にグラスフィーエさんが現れました。
> 一通り掲げて満足したのか、ふんすっ。鼻を鳴らして腰に巻きなおし、夜明けまでここで過ごすつもりで腰を下ろす。
夜目は効くので一っ走りして街に戻っても良かったが、今日はこれ以上仕事も無いし、急ぎの用もない。
下手に夜の森を歩いて怪我でもすれば何と言われるか……。あまり考えたくはない。
薄ぼんやりと光る泉は相変わらず澄んだ色をして、あんなに沢山汲んでもちっとも減った気がしない。否、実際、減っていないのだろう。
水面を覗き込んでも己の姿はほとんど映らず、浅瀬の底が見えるだけ。

「うー……。水……水、んー……」

それを覗き込み続ければ、自然と思考は悩みの一つへと繋がり、コテンと頭を傾けては物思いに耽る。
夏に師から言い渡された課題の一つ。水の上を歩く術。
あれから暫くが経ち、時間を見つけては練習しているが中々安定しない。
泳げないわけでもなければ、水が怖い訳でもない。ただ何となく、水の術と聞いただけで怯んでしまう。
此れが苦手意識と言う奴だろうか。

――師曰く。
足の裏に見えない“層”を作り、沈まぬように体重の分だけ重力に反発する形で氣を流し、水の流れに乗る。
さすれば、水の上を滑るように素早く移動することも叶う。

言うは易し。指先は器用な方だが、細かな氣のコントロールはあまり得意ではない。
見よう見まねで大概のことは模倣できるが、訓練を重ね得られる技術は一朝一夕で身につくことではない。
特に、苦手だと本能的に感じることに対しては顕著だ。
水の術。水の上を歩く。そう言うイメージが出来なければ、習得は難しいだろう。

他にも、師の話していたことを思い出しながら、イメージを固めようと瞼を閉じる。
細やかな氣の扱いを覚えるのに、掌を氣で覆うようにして水を転がし球体を保ち続ける練習。これを続ければ、最小限の氣で術を成せるようになると言う。
そして、もう一つ。水の上に浮く蓮の花、葉の話があったっけ――……

グラスフィーエ > 考え事に夢中で目まで閉じてしまった少女には、
泉から漏れる光に照らされた己の影に変化が起きた事が判っただろうか。

まずは右肩の辺りから何某かの礼服に包まれている右手が現れ、影だけに3本目の腕が生えたように見えるだろう。
ついで、左肩からはひょこっと山高帽被ったショートの髪した頭が生える。
そしてその頭の下半分が真ん中から上下に割れて、恐らく歯であろう白いものが見えてきて。

ただここまでの変化は、あくまで少女の影のみに現れたもの。
それに本人が気づこうが気付くまいが、次なる変化はその影に合わせたように、
少女の右肩に腕乗せて首まで回し、左肩にクソデカ眼鏡と半月状に開いた口持つ顔を乗せた、
タキシードに身を包んだ女が馴れ馴れしく話しかける事。

「よーッス、お仕事ご苦労様ッス。
んでアンタ、野営の準備もしないで考えごとッスか?
ここで一晩過ごすつもりならそろそろ火の用意しないとヤバいッスよー♪」

けら、と笑いながら、ぬうっと左手を少女の眼前にかざすと、
その指先に小さな、しかし明らかに火種になりそうな勢いで燃えている炎を生み出して。
なお、少女に対する敵意とかは一切ない。
あるのはただ、奇妙な訪問者への興味と、悪戯心だけで。

> 気配が一つ増えたことに気付いたのは、僅かな空気の変化。衣擦れの音を感じ取った時。
人間よりもずっと敏感な嗅覚と聴覚を持つが故に、如何に深く思考を沈めていても変化には気付く。
瞼を開ければ、右肩に腕を乗せ、反対の左肩にはキラリと光る大きな眼鏡。大きな口で笑みを浮かべる女がそこに居た。

「――!」

飛び退き離れるには少し難がある。後ろを取られていることと、首と言う急所のすぐそばに女の腕があること。
逡巡の中、笑った女が左手を翳して火を灯す。炎と呼ぶにふさわしい勢いの火だ。
一瞬仰け反りそうになるが、驚愕の色を億尾にも見せず、小柄は静かな口調で淡々と告げた。

「……火を灯せば、獣は近寄らないかもしれない。
 けれど、お前のような得体の知れない者を寄せる。

 ――……近い。なれなれしい……。不愉快。離れるよう、警告をするのは一度だけ」

徐々に膨れ上がる警戒心の込められた視線を其方へ向け、警告を発する。
小柄の声は抑揚も無く、男とも女とも、子供とも大人ともつく奇妙な声だった。
闇の中で浮かび上がる炎に警戒はするものの、恐怖はあまり感じていないらしい様子で、ケープの下に隠された腰の双剣に手を掛けながら返答を待つ。

グラスフィーエ > 「きききき、数も知れない獣より、得体の知れないモノを恐れるんスか。

へいへーい、別にアンタをどうこうするつもりもありゃしないし、
無意味な戦いしたいとも思わないッスよ。

ただまあ・・・誰か釣れないかと見張っていたら、意外な相手が来たなあとは思わないでも無いッスけどね?」

睨んでも脅しても奇妙な女は特に悪びれる様子も無く、ふ、と姿消したかと思うと少女から少し離れた正面・・・
具体的に言うと一足には飛べないであろう距離に、同じように座った姿現すだろう。

状況はと言えば、単に以前興味持ってつけた女性がたどり着いたのがこの泉。
妖精の泉と知ってからは、付近に微力な魔法の罠・・・単に誰かがかかれば知らせが届く程度の物を仕掛けて、
偶に様子を見に来ていただけの事。

今回引っかかったのは小柄な影・・・多分少年か少女、もしくは小人程度の認識しかないが、
声も恐らく意図的に変えているのだろう事から、正体知られたくない素性だろうと辺りを付け、
さて何らかの情報得るか売るか、どうしようかと思考巡らせてつつ、
にやにや笑い継続したまま、左手に灯した炎をぽっぽっと他の指に移したり、増やしたりして遊んだりしており

> 「獣はやり過ごす方法はある。腹が減っていなければ、無暗に近づいても来ない。危険かどうか、判断は可能。
 何を考えているかわからないモノより、安全の確保が容易と考える。

 ……そう。此方も意味のない闘争はしない。それは同意する。――?」

脅しはしたが、睨むことは無く。感情の籠らないガラス玉のような緋色の瞳が彼女を見据える。
蝋燭の明かりが消えるように、ふ、と消えたかと思えば遠く離れた場所に現れる。魔術の類だろうか。奇妙な術を使う女だ。

彼女がどういった経緯で此処に至ったかまで知る由もないが、小柄も一つ彼女に対して興味を持ったことがある。
その異常な雰囲気。気配、とでも言うべきだろうか。
暗殺者と働いていた頃。また、それ以前にも、似た気配を感じたことがある。
――これは、魔族の気配だ。

生きた魔族と会話をした経験は皆無に近い。
どのような思考、価値観、行動を取るのか……。戦意が無いと言うのなら、今後の為に少し様子を見てみるのも良いか。
彼女が何故、己を“意外な相手”と呼んだのか。まずはそれが引っ掛かり、首を傾げた。

グラスフィーエ > 「そりゃ、ヒトを知らないケモノの話ッショ?
一度痛めつけられたりしてたら、人間なんて一絡げッスよ、アイツら。
いくら知脳がアレだからって、舐めない方がいいッスよ。
やつらもやつらなりに『学習』するんスから」

どうやら無意味に警戒するほど殺気立ってはいないようだと知ると、
左手での火遊びは継続したまま、再び、きき、と笑い声あげ。

「そうそ、アッシが誰かとか気になるッスよね?
名前はグラスフィーエ、『噂屋(うわさや)』やらせてもらってるッス。
まあ、噂を聞きつけて本当かどうか確かめたり、依頼受けて色んな噂流したりとか、
そんな事して食ってるッス。

?今までの説明で何か、引っかかる事あったッスかね?
・・・ひょっとしたら、アンタ前に沢山の奴から短期間に命狙われたりしてた、あの御仁ッスかね?
だとしたら・・・まあどうでもいいッスけどね、もう」

一瞬ネタになりそうだと目輝かせるが、すぐに興味失せたようで肩竦めた後。

「良いネタ欲しいとか調べものとかあったら、それなりのお値段で色々やるッスよー。
どですかね、お一つ?」

・・・営業トークに走る。
なんだかんだで色んな所に行ったりする冒険者とか傭兵は、いいお客さん(情報源)なので。

> 「人を知っている、痛めつけれられた相手なら、なおさら近づかなくなる……と、思う。
 学習…………。忠告、感謝する」

知恵があるならなおの事、危険からは遠ざかろうとするのではないかと小柄は首を傾げた。
ゆらゆらと闇の中で燃えて揺らぐ炎を目で追いながら、彼女の言うことにも一理あると認め、そこは素直に頷き返し。

「いえ、気になりは――。……グラスフィーエ、噂屋?
 なるほど、情報収集をしてそれを売る。情報専門の商人……。噂まで、流す……」

気になるかと聞かれれば首を横に振りかけたが、答え終える前に名乗られ、パチリと緋色を瞬かせて意気揚々とセールストークを繰り広げる様子を眺める。
半信半疑。どの程度の腕かもわからない噂屋の話すこと等、信用には値しない。

――だが、その話に信憑性を感じたら?

「――っ!」

眼鏡の奥で彼女の瞳が光るのを感じた。
素直すぎる小柄は、ひょっとしたら……と続いた言葉の先を聞くと、小さく肩を跳ねさせ呼吸を止めた。
彼女の興味が失せたことで、やっと呼吸を思い出し、胸をなでおろす。

「うー……。どんなことでも、調べられる? 調べたいことの手掛かりの有無は、どれほど必要?」

グラスフィーエ > 「・・・恨みってのは、ケモノでも何でも持つもんッスよ?
番とか子供とか殺されてたら、特に。
ま、とはいえ、所詮畜生ッス。
アンタほど警戒してりゃ、後れを取る事はそうないッショ」

手ひらひらさせながらそろそろ火遊びにも飽きたか、一度ぐっと手を握り、
次にぱっと開くと、どうやったのか今にも汁が滴り落ちそうな肉と野菜の串が現れて
はぐ、と美味そうに一口齧り、「ンマーイ♪」とか言ってみたり。
そしてちらりと少女の方を見やる。
「言ってくれれば、分けてあげないでも無いッスよー」とか言いたげに。

「ありゃ、何か困り事っスか?

どんな事でも・・・ってそりゃ、
さっき言った通り、あちこちの噂が本当かどうか調べたりしてるんで、
まあ変に危なくない事なら、ある程度は融通利かせるッス。

・・・噂に手掛かりとかあんまり聞かないんで、別に要らないと言えば要らないッスが、
そういうのはアッシの興味ひかない限り、高めの費用請求するッスよ?」

何せどんな事が金になるか判らないし、
前には変な扉の噂を、扉作った本人から流すように依頼されたりとかもしたので、
基本的には選ばないが、それこそ貴族の最大派閥からにらまれるようなネタは、
廃棄するか、消滅するまで心の中に抱え込んだりしないといけないので、
ヤバいネタなら費用はかかるぞと、念押してみたり。

> 「……生きる上で、恨みは不要なもの。持ち続けても意味は無いのに……。理解に苦しむ。
 ん、警戒はする。考え事も、ほどほどにする」

でも持っている感情を小柄は否定して首を横に振る。
彼女が手を握れば火は消えて。代わりにその火で焼いたような串焼きが現れる。奇術か魔術か、良く見ても種もしかけもわからない。
串焼きに齧りつき視線を誘って集客を図ると言う点でも、彼女は優秀な商人なのかも……。
そんなふざけた思考で眺めていれば、ごくり、と喉が鳴る。十分離れているはずなのに、良過ぎる鼻は美味そうな匂いを嗅ぎ取り、視線はジッと彼女の手元、串焼きへと向けられる。

「困っている……悩んでいることは、ある。けれど、それは自力で答えを探すべき事。
 ので、答えを欲する問いではない。

 危険な仕事は値も上がる。そこまでの大金はないので、頼むのは難しい。
 安全で、興味を引くような調べごと……」

修行の近道は人の手を借りて、ましてや金を積んですることではない。
火を見せびらかす様にして遊んでいた彼女に質問と言う形で擦るなら別だが、それは依頼にはならないだろう。

では、何を探すか。何を惑わすか。

故郷を襲った奴隷商を探す――なんて、恨みを長く持ち続けない小柄の頭にはない。
暗殺依頼を出した犯人を捜す――それは危険行為だ。何より、もう伯爵とは縁を切った。これ以上探ることも近づくことも不要。
暫し悩み、一つ一つ上げては切り捨てて。最後は二つにまで絞られた。
一つ息を吐いて告げる。

「探したい物がある。書物。異国の文字で記された書。こんな形の印が書かれてる……はず。
 十年以上前に焼かれたミレーの里にあったもの。現存は絶望的。見つかるとは考えにくい……ので、これは興味があればで良い。

 流してほしい噂がある。こっちは簡単。
 “沢山の奴から短期間に命狙われたりしてた御仁”は死んだと。噂を流してほしい」

こんな形と言って小柄が地面に指で書いたのは、炎と二本の剣を象ったものであった。

グラスフィーエ > 「そこらへん判んないと言われると、こっちは商売あがったりなんスけどねー・・・

あ、これ要るッスか?だったらえーと・・・1本だけサービスするッスよ。
どれにするッス?」

普通に聞くと何て事のない会話だが、妙に含みのある口調で答えを返す。
何せ魔族とは、相手の負の感情を食べたり利用したりする種族だったりするので。
齧り付いている串焼きに少女の視線釘付けなのを見て取ると、僅かに目細めて笑いながら、
もう片方の手に『香辛料多めの塊肉』や『肉と野菜が交互に刺さった串』とか
『ホタテやイカ、魚の切り身が刺さった串』を指の間に挟んで出して、
相手の前に差し出して。

「ほいほい、本と噂ッスねー・・・。

あーと、噂の方は必要ないんじゃないッスかね?
なんせ依頼取り消された後、依頼主の中である程度の強さの『力』持ってなかった奴は、
全員行方不明になっちゃってるんで、今更アンタの事をどうこうしようとか思ってないと思うッスよ?

・・・えーと、炎に剣・・・ッスよね。
実はッスね、これそのものじゃ無いんスけど、こういうのなら持ってたりするッス・・・」

そう言って取り出したのは、表紙に書かれた炎に剣というモチーフこそ似ているものの、
剣が一本という差異のある古い書物。
なお、別に出どころは疚しいものではない、前に叩き潰した盗賊団の一つが持っていたもので、
魔族女もあまり気にせずに、(収納代わりの異空間)にしまい込んでいただけで。

> 「? そういうもの、ですか。噂屋と言うものも、大変そう。
 ――いいの? ……じゃあ、一本だけ。んー、うー……ん。これにする」

商売と言う単語から、魔族だからではなく、職業柄と認識したようで。不思議そうに眼を丸めて首を傾げた。
また、串焼きへと話が移ると興味はすぐに其方へ向いて、先ほどまで警戒していたのも忘れたかのように、細められた目と、ずらりと掲げられた串焼きを交互に見て悩む。
お言葉に甘えるかどうかではなく、何を選ぶかを悩みに悩み、選ばれたのは魚の切り身が刺さった串。
ススス、と近付き手を伸ばす。

「うん。それについては知ってる。でも、一度でも依頼されたら暗殺者の記憶には残るもの。でも、死んだなら記憶から薄れて消える。そういうもの。
 だから、いっそ、死んだことにした方が都合が良い時もある。痕跡を消す、と言う意味でも。

 う? ……っ! これ……違う、けど似てる。
 中、見たい……けど、良い……ですか?」

落ち着いた口調で話していたのも束の間、見せられた本に身を乗り出し、表紙を確認してからそわそわと今度は本と彼女を見比べて。

グラスフィーエ > 「あ、他のは1本1銀貨なんで、欲しかったら支払い宜しくッスー♪」

伸びてきた手に魚串しっかり握られたのを確認してから、さっと手を引っ込める。
商人とは言っても串を売るのが本業ではないから、値段はさほど高くもしていないが、
きっちり代金は貰うぞと、こんな所はちゃっかりしていたり。

「ははあ・・・そっち(暗殺業界)も色々大変なんスね、了解ッス。
んじゃあ、適当に死体引っ張ってきて偽装工作もしとくッスか。
あ、偽装の分は料金外なんで安心して欲しいッス。

いいッスけど・・・なんか、口調崩れてきて無いッスかね?
アッシには書いてある事の意味が分からなかったんで、ほとんど放置してたんスよ、さ、どうぞ」

死亡の噂を再度依頼する理由聞いて、なるほどと納得すると、
それならばと信憑性持たせるために、偽装もしておくと請け負って。
当然相手の依頼外なので、料金は貰わないと宣言するのも忘れない。

本を見て喉から手が出る勢いで身乗り出されると、多少気圧されながらもすっと本を差し出す。
なお。魔族女は『読めなかった』とは言っておらず、
記されている内容が、魔族の理解の外だったというだけなので、
少女にも読めるかどうか分からないが。

そんなこんなで多少ドタバタしながらも、奇妙な出会いの二人の夜は更けていくだろう。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 「妖精の泉」」からグラスフィーエさんが去りました。
> 「むぐ、あむ……ん~~っ、美味しい……。うん、承知っ」

大事そうに魚串を握って匂いと味を確かめれば、閉じかけていた目がパチリと開き、爛々と。
夕食を取り忘れていた胃にガツンと来るような串焼きは、一口食べれば止まらなくなる。
きっと二本目もほいほい買ってしまうことだろう。実に商売上手だ。

「そこまでしてもらって良い……のですか? 偽装工作は、噂に信憑性がつくので……ありがたい、けど。
 ――感謝。……う? う゛、それは……。

 んー……敵対する理由が無いと判断しました。
 商談をする相手に対する最低限の礼儀は、心得ている……つもですので」

納得を得られたなら商談成立と首肯し、思いのほか手厚いサービスに少し気が退けたが、これも相手のプロ意識であると理解を示し。
料金は彼女の言い値を払おうと心した。

本を見せてくれると言う言葉に喜び、本を受け取る。
が、指摘されるとぎくりとして一瞬固まる。視線を少し彷徨わせながら、身を退いて座り直し、恥じらい目を伏せて答えつつもついつい本が気になり目は其方へと誘われて。
パラパラとめくり、読めると確信が持てたなら、小柄は嬉しそうに次なる商談へと入るだろう。
本の買い取り。もしくは、貸し出しの要求である。

結果的に、本日の出費がどれほどになったかは……そこは商人の腕次第。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 「妖精の泉」」からさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 「妖精の泉」」にルーパスさんが現れました。
ルーパス > この数日、塒にしている洞窟。中には先住していた魔物が居た。
身体に傷を負いながらも倒し、屠る。食うに困っていた身には有り難い遭遇だった。

何分自らの力を吸い成長する胎の中の異形、そのせいで補給しなければ奪われるばかりだから。

「流石──に、これ以上は……。」

自らの体臭は感じづらい。それに気づいたということは余程の事。
洞窟より抜け出て新鮮な空気を感じれはより一層それは顕著に感じられた。
足を向けた泉、陽の光を浴びて光るその中へと着衣もそのままに身を沈めてゆく。
冷たい、しかし陽のお陰か身を刺すほどではなく、泉の中程まで歩を進めると一度頭まで浸かった。

ともすれば身投げにすら見えなくもない様相かもしれないが。

ルーパス > 身体に付いた泥、埃……自身の血や返り血を洗い流そうとしたところで
身に着けて居たままではそれも中々捗らず。
全身を水に浸けた所で情けなくも耳は垂れる。その水中で背中に腕を伸ばして留め具を外した。

今まで水に浸かる事、脱ぐことを躊躇っていた理由が、再度着る事が難しいため。
しかしそれも限界で身体に張り付くような錯覚を覚えるそれを脱いでしまえば
解放感に自然と何日かぶりの笑顔が浮かんだ。

途中で掴んできた薬草の類を握り自らの身体を水中で擦りつつ清めれば
それも終えると衣類を擦って汚れを流す。
ある程度終えた所で近場の岩にそのスーツを広げて干した。

何れにしても暫くはこの泉を堪能しようと再び中ほどまで泳ぎ、
軋む髪を整えるように何度も何度も梳いては手入れした。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 「妖精の泉」」にルヴィエラさんが現れました。
ルヴィエラ > それは、森の中を歩くにしては少々違和の在る姿で在ったやも知れぬ
灰色のローブ姿は、本来ならば目立たぬ為の服装であろうに
今は、寧ろ、自然の中では浮いて見えるのだ。 ……其の艶やかな銀の髪色のせいで。

泉のほとりへと辿り着き、視線を向けるは其の中程
水の中に身を清め、其の髪糸の手入れを行う女の、其の姿
其れ迄被って居たフードを外し、やれやれ、と言った微笑を浮かべては
――彼女の傍に、ひらり、掌から、魔術で。 影で象った蝶を飛ばそう。
己が存在を気付かせる様に、其の周囲を、ひらり、ひらりと、舞わせるのだ。

「―――――まさか、こんな所に放り出されて居るとは思わなくてね。」

―――それは、割合確り本心からの言葉だ。
要するに――探し当てるのには少し苦労した、と言う話。
何せ此処は街の中では無い、その痕跡を追うのは手間が掛かる
生憎――まだ、何か目印となる物は、何も刻んで居なかったが故に。

ルーパス > 泉の中、幾つか隆起するように浮かび上がる岩場に腰を掛け髪を解き手入れする。
昔、それこそ子供の頃に似たような境遇出会った頃を思い出しながら。
そんな、久しぶりの身の手入れに没頭していた所に、ひらりと舞う蝶。

それが生気の宿っていないものだと理解するのは色味と形状のお陰で早く……だからこそ。

「誰の、せいだと……。」

忌々し気にその低い声は紡ぐ、そうして水面を強く手で叩きつければ
高く上がる飛沫がその影の蝶を飲み込み散らした。
そうして、その言葉が少々弱々しいのは、狂った中とはいえ、
選んだのは自身である、その自覚もあったため。

自らの主、その存在を感知したかのように、胎の卵が動き中を刺激したような気がした。
その刺激は女に甘い吐息を吐かせるには十二分な程に。
それを誤魔化す様水面に口を付けて、それを気泡に変える。

ルヴィエラ > 「誰のせいかと問われたら、君にそんな命を下した相手だと思うがね。」

肩を竦め、女の声をさらりとかわすように、そう答える。
命令を下したのは、別に己ではないのだから、と、正論めいた物言いをすれば
――されど、泉の淵、彼女の衣服が乾かしてある岩場の一つに腰掛ける
何も、其の姿を滑稽と笑いに来た訳では無いのだ
既に幾度か荒事を交えたのか、所々破損している布地に、双眸細めれば

「―――助力は必要かな?」

――それは、必ずしも。 自らが仕込んだ其の胎の中だけの意味ではなく。
女の置かれた状況に対しての助力、と言う意味でも在ろう。

今なお、正気に戻れば反骨心に溢れた物言いと態度の女を、咎める様に
卵が、女からまた、ゆっくりと力を吸い上げて行く
――"其れ"は、随分ともう、育っただろうか。
此方を向かぬから、まだ、其の様相は確かめられないが。

ルーパス > 「…………」

それは、そう。胎を膨らませ魔を宿した己を放逐した主こそ……。
そう、考え掛けて頭を振った。
髪の毛が纏わりつき水面に波紋を散らすほどに何度も何度も強く。

「お前が……、お前が卑怯な手を使わなければ……ッ」

既に後の祭り。どう言い訳しようにもあの夜を覆す事も出来なければ、
卵を宿した夜を無かったことにも出来ない。
卵からの疼痛の様な快楽に身を焼かれ続けながらも、だからこそその言葉は刺々しい。

「────誰が、ッ、お前なんか……。 も、う……かま♡ ぅ……なぁ♡」

その場の勢い、虚勢。何も考えて居ない事はその行動からも知れる。
彼に背を向けて水を割り彼の座る対岸へと辿り着くと、そのまま森へ去ろうとした。
が、それを許さないのは胎の卵で、力を吸い上げ、自らを開放するようにと、
内側から犯す様にその出口を広げようとしはじめ、
その刺激に思わず膝が折れてその場に這いつくばる。
濡れた耳も、尻尾も……だらしなく重みに耐えられずへたり、その快楽に揺れる身体に合わせ、揺れた。

ルヴィエラ > 「…………卑怯、と言うのは判らないね。
私は招かれただけ。 二度目の時も、私はただ訪れただけだ。
君を私に差し出したのは、他ならぬ、君を放逐した者だろう?
そして、君が溺れたのは、ひとえに君自身が其れを望んだからだ。」

―――何もかも、全て。
己が彼女を貶め、陥れた事は一度も無いのだ、と。
そう答え乍ら、再び立ち上がる。 ……へたり込んだ彼女の元へと、歩みを向けて。
胎の中で、今にも母胎から出て行こうとする卵は
されど、まるで何かに堰き止められるように、其れ以上下がって行く事は無いだろうが
雌の肉体が、其の胎が。 産み落とさんとする疼きへ次第苛まれて行く事だけは
きっと、一度始まって仕舞えば、そう易々と自我で鎮める事は難しかろう。

湖の周囲を、ゆっくりと歩いて回り、女の元へと辿り着けば
へたり込む其の身体に触れ、腰元を優しく撫ぜては。

「―――憐れんで居る訳では無いよ、ルーパス。
―――私の娘を、心配するのは当然の事だからね。」

くすり、微笑んで。
そうして、其の身体を、ゆっくりと抱え上げようとするのだ。
この辺りには、確か洞窟も多かった筈。 彼女も、塒にするなら其の何れかだろう。
案内しなさい、と、其の耳元に言葉が囁かれれば。
――共に、森の中へと進んで行こうとするのだ。 泉から、離れて。

ルーパス > 「うる……さい、煩いウルサイ!!」

どう考えても甘言である。それが事実であるから尚の事甘く心を擽る甘言。
最初から今に至るまで、『己』というものが無かった。
最初から彼への供物として、二度目はその力によって──。

疼く下肢に、何とか力を籠めようとすればするだけ、疼く胎の内が排泄を促す。
そのたびに弛緩してしまい立ち上がる事が叶わずに、ならばと地面を這おうとするけれど。

「ひぃ♡  んぅ………!」

上がる声は直に草が地面が触れる胸の先と尖り剥き出しの芽と。
そうして、彼に捕まった事を示す腰回りの掌。

「だ、……誰がっ、やめろッ くぁぁぁぁん♡」

抱き上げられる、その圧迫感は腹部の卵をも圧迫しさらに押し出そうと口が開く。
それだけでだらしなく開いてしまった唇は、だらしなく涎を零し、
彼の目を欺こうと行く先を誤魔化そうとすればしただけ、胎からの刺激に苛まれ、結果彼の望むがままに──。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 「妖精の泉」」からルーパスさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 「妖精の泉」」からルヴィエラさんが去りました。