2025/11/07 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 野営地」にトーラスさんが現れました。
トーラス > 王都の北部に広がる喜びヶ原との異名を持つ広大な平野。
樹々が折り重なる森林地帯にて野営を行なう冒険者一行が存在した。
ギルドで同じ依頼を受けた彼らは全員がパーティに属している訳でもなく、
共通の目的の為に一時的な協力関係にあるレイドを組んでいた。

彼らが受けた依頼は近隣の村々を襲い、略奪や女子供の誘拐を行なうオークの群れの討伐。
比較的中級者中心の構成だが、中には彼のようなベテランや逆に初心者も混ざっている。
果たして連携が取れるのかが懸念事項であるが、日中の様子を見るに最悪よりもややマシで期待以上である。
そもそも、冒険者は個人主義の輩が多い。パーティでもないとくれば足を引っ張らないだけで上々である。

今も火熾しを終えて歩哨の順番を決めた後は、各々が気儘に思い思いの時間を過ごしている。
同じパーティの者達は薬品や荷物を融通し合い、道中で気が合った若い男女は木陰にしけ込み、
そうでない者達は自身の天幕で食事を摂ったり、装備の点検をしたり、早めに休んでいる事だろう。
そんな仲間と呼べるかも怪しい同業者達を横目に中年冒険者は焚き火の前で革袋の酒を呷っていた。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 野営地」からトーラスさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 「妖精の泉」」にさんが現れました。
> 妖精の棲む泉。それは森の奥にあるのだと人は噂する。
そこで妖精を見たと言う者もいれば、そんなのは見なかったと言う者もいる。
皆口を揃えて言うことと言えば、あの泉の水には疲労を回復させる効果があり、永遠に湧き続けているんだとか。

嘘か真か。妖精の有無も、無限に湧く泉の水も、半信半疑ながら採取依頼を受けてここまでやって来た。
その手にはボトルらしきものも無く、身軽な軽装の黒尽くめが唯一人ポツンと泉の縁に立つ。
日もすっかり沈み切った夜の森だが、不思議なことに泉はうっすらと明かりを灯したように光り、暗い森の中でも周囲の様子ははっきりと見えていた。

「……ん。妖精は、居ない」

辺りには己以外の気配は無く、動物一匹姿を見ない。
依頼内容としては、運が良ければ妖精の鱗粉も採取してくれと言われていたが、居ないものは仕方ない。
小柄は腰に巻いたポーチを開き、手を入れゴソゴソと中を漁り――

「ぅー……っ、しょっ」

その小さなポーチに到底入るとは思えないような大きなボトルを取り出した。
一つ、二つ、三つ、四つ……十数本取り出して、ようやく手を止める。

> きゅぽんっ! と、蓋を空ければ、一つずつ泉の中に沈めて行き、いっぱいになれば封をする。
そうして一つずつ魔力を多量に含んだ水をボトルに詰めて行けば、あっと言う間に依頼の品の出来上がり。
本来であれば、荷を引く台車を用意するか、何往復かしなければならないところだが、それ等の問題をあっさりと解決してくれる便利な魔道具。これこそ、冒険者にとって武具同様に重宝すると師が太鼓判を押した“マジックバッグ”である。

見た目はこの通り小さく、ナイフ一本入れればいっぱいになってしまいそうだが、その中身は空間魔法が施されているお陰で広々。
その上、中に入れたものは重みを感じない不思議設計。このお陰で、積載量も気にせず詰め込めてしまえる。

「――……ふぅ。あんなにいっぱいあったのに……、全部しまったのに、全然重くない。
 すごい。とっても……便利。これは、すごい。とても、有用(ゆーよう)……っ」

ボトルを入れ終えた後のポーチを掌に乗せ、まったく重みの変わらない其れにいたく感動してしまう。
すっかり気に入った便利道具を頭上に掲げて見たが、見せびらかす相手はいない。
しかし、珍しくはしゃぐ小柄は隠しきれない喜びを瞳に宿し、キラキラ輝かせながら暫くそのまま掲げていた。