2025/09/18 のログ
バルバラ > 「……なんだい、ガラクタだけで食い物ひとつないじゃないか!」

荷車の積み荷を乱暴に開封しては外に放り投げるに連れ、荒れ放題の野営地に貴金属や金貨袋が手つかずで散乱する異様な光景が広がる
結局空にするまで漁った荷車を雑貨商のものであったらしく、女の期待していた食物の類は何も積んでいなかったのだ
荷車が空になって最後の木箱をひっくり返して放り投げた女は腹立たしさにその場で木箱を踏み壊す

「持ち主は逃げたかどっかで野垂れ死んだのかねえ?気が乗らないけど……」

大穴が空いた木箱だった残骸を蹴り飛ばしてけたたましい音が森に響き、やがてまた静寂が戻る
気を紛らわせた女は荒々しく叩きつけるように荷車の扉を閉じて、野営地で最初に感じた血の臭いを探り出した
魔物の血かそれとも人間の血か、そのどちらも口にしなくなって久しい女には区別はつかない
新鮮な人間の死体でもあれば同族は喜ぶのだろうと遠い故郷を思い出しながらその臭いを辿るように野営地を歩き回り始める

バルバラ > まだ新しい血の臭いを辿ると、見つかったのは死体でも手負いでもなく、僅かに地面と草木を濡らす血痕だけだった。
その線は森へと伸びており、それを追って女は野営地を立ち去り、荒廃した広場には残骸と財宝だけが残されていった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からバルバラさんが去りました。