2025/08/03 のログ
クリストフ・ブラック > 「そうだな、何事も相手次第かな。」

どうやら、ある程度信用されつつあるのか。
さて、ここからどう進めていくべきか。
多少邪な考えも芽生え始める。


 「人の想像が形を作るってことかな?
  …と、角に土がついてるぞ。」

枢の角に付着した土を払おうと、手を伸ばす。
やさしく触れ、土だけを取り除く。
互いが人ならざる存在であるという事実を改めて認識する。
不用意な接触が予期せぬ事態を引き起こす可能性も否定できない。
しかし、俺の心にはそのリスクを上回るほどの彼女への興味と、彼女との関係性を深めたいという欲求が渦巻いていた。

「俺の時間は空いてるから気にしなくていいぞ。
 …と、休むならこれなんてどうだ?」

俺の指先が樹に実る鮮やかな果実を捉えた。
陽光を浴びて輝く柑橘系の果物で、その表面には細かな水滴が光っていた。
優しく摘み取ると、掌の中で二つに割る。
瑞々しい果肉が露わになり、甘く爽やかな香りがあたりにふわりと漂う。
果汁がキラキラと輝き、見るからに喉を潤してくれそうな、俺の好みの果実。
俺はその半分を、目の前の女性へと差し出した。

枢樹雨 > 「そう。人の子が恐れたり、救いを求めたり、あるいは戯れの噂が人から人へと連なったり。
 そうやって想像膨らませて、語り紡いで、気が付けば出来上がっている。
 きっと百じゃ収まらない、百の物語…っ」

ひとつ頷き肯定すれば、淡々と抑揚のない声音が自身の存在を語る。
その最中、己へと伸びる貴方の手。
害意がないと認識しているが故にただ見つめ見送るも、それが角へと触れれば途切れる言葉。
同時に小さく震える肩。反射的に竦められる首。
貴方からしてみれば、優しく触れたはずの角に痛みでも感じたかのような仕草。

しかし妖怪に痛みはなく、長い前髪の下で反射的に閉じた双眸を、すぐさま丸くしぱちぱちと瞬かせる。
気遣い差し出された果実。それ越しに見つめる貴方。
数秒の無言の後、柑橘香る果物を受け取って。

「……ありがとう。」

かくんと、下げられた頭。外れる視線。
礼の言葉と共に少し移動し、木の幹に背を預けるようにして座りなおすと、割られた果物の断面を見遣る。
そうして小さな口で被りつけば、喉潤す果汁と、程良い甘味と酸味に「おいしい」と呟き。

クリストフ・ブラック > 「…どうした?」

優しく触れたつもりだったが、
まるで痛みを伴ったかのような反応。
俺は猶更興味をそそられる。
彼女にとってこの角はなんなのか。
なぜこのような反応を返すのか。

「食べながらでいいから、教えてほしい。
さっき、痛がるような反応をしたように見えたが、
なにか理由があるのか?
そもそも、君にとってこの角はどういうものなんだ?」

枢樹雨 > どうしたのかと、その問いには咄嗟に答えられず、驚きに瞬く双眸だけが前髪から覗いていただろう。
木の下に座りなおせば、体育座りでもするように折り曲げ引き寄せた両膝。
其処に手首を預け、両手で大事に持った果物を見下ろせば、次いで貴方から向けられる問い。
無言のままに貴方に視線移すと、先と同じようにじぃ…と見つめ。

「……隣り、座って。」

示したのは、己の右隣り。
指先で軽く地面を撫でるようにして見せれば、貴方は言われた通り腰掛けるだろうか。
叶うならば妖怪は貴方の肩に鼻先を寄せ、スンと匂いを嗅ぎ。

「…痛くは、ない。角が何かも、よくは知らない。
 …ただ、私と同じ人ならざる者だったり、特別な力を持った人の子だったりが触れると、
 くすぐったくて、ぞわぞわして、たまらない感覚になる。」

答えを探すような、逡巡の間。
紡ぐ言葉も途切れ途切れに、表す言葉を探すように答える妖怪。
そうしてもうひと口果物を齧ると、その小さなひと口も丁寧に咀嚼し飲み込み。

「クリストフは、人の子?それともなにか、特別な力を持っている?」

クリストフ・ブラック > 言われるまま、隣に腰かける。
不意に肩から匂いを嗅がれてしまった。
俺は一瞬、面食らったような表情を浮かべた。
しかし、その表情の奥には、彼女の意図を探ろうとする、俺の冷静な観察眼が光っていた。
彼女の行動の真意は何か。単なる好奇心か、それとも、俺の中に隠された何かを探ろうとしているのか。
俺の思考は、瞬時に様々な可能性を巡らせる。

「……何か、分かったか?」

あえて平静を装い、彼女に問いかけた。
森の静寂の中に、静かに響き渡る。
俺が放った言葉は、彼女の反応を促すための小さな石を投げ入れるようなものだった。

「…そうだなあ……。」

はて、どこまで話すべきか。
果実を咀嚼する彼女の横顔を眺めて考えた。

「まあ、ほかには言わない前提でだが…。
 俺は本当のところ、人の子ではないな。
 だから当然、特別な能力も持っているが。
 …で、ぞわぞわして、たまらなくなると、どうなるんだ?」

枢樹雨 > 「……人の子にも思えるし、でも少し、違う匂いも感じる。
 だから、君が人の子と言うのなら、人の子なんだろうと、思う。」

さりげなくを装うでもなく、あからさまに貴方の匂いを嗅ぐ仕草を見せる妖怪。
距離縮まれば、鼻をスッと抜けるような、菊の花にも似た妖怪の匂いが貴方にも感じられるか。
貴方が結論を求めるのであれば、仄暗い蒼が貴方へと向き、淡々と、それでいてたどたどしい返答が紡がれる。
そうして今度は己の番とばかり、貴方へ向けられる問い。
答え待つ間、果実は口元へ寄せられることはなく。

「そう、だから…、」

答えは、肯定。人の子でないことへの。
それに驚く様子はなく、ただそうなのかと納得する様子で小さな頷きを見せるのみ。
ただ続く問いかけには少々困惑を見せ、思案気に自らの指で鬼角へと触れる。
触れる指を思い出すように、しばし目線伏せ。

「…くすぐったくて、ぞわぞわして、たまらない感覚になって、……もっと、触れてほしくなる。」

先に言葉にして表した感覚。それを再び紡ぎ、思い出し、そしてそっと吐息を零す。
続くのは、記憶にある感覚。伏せた目線を起こし、強請るように碧眼見つめ。

クリストフ・ブラック > 「俺の詳しい素性が知れると、ちょっと居れなくなるからな。
 どうしても知りたいのなら教えてやるけど…。」

本来、この場では伏せるべきだが、多少は伝えてもいいかと思いつつあった。
お互い人間ではないわけだし、教えたところで不利益を被ることもないだろうと。
むしろ、より関係性が進展するのなら、それは貴重な財産にもなりうるわけで。
菊の花に似た香りが枢から漂う。 香の類か、本人の体から匂うものか。
不思議に思いながらも、思わず匂いを嗅いでしまう。

「なるほど。 そういうことなら、断る理由もねえな。」

指先が枢の角の根元から、滑るように首筋へと降りていく。
指の動きに合わせて、微かな魔力の奔流が、彼女の肌に触れる。
それは、まるで熱を帯びた絹が肌を撫でるような、ゾクゾクとした感覚を呼び起こすか。
そのまま彼女の頬へと滑り、その柔らかさに触れる。
俺の魔力は枢の敏感な部分を的確に捉え、その感覚を増幅させていく。
まるで、彼女の体内に眠っていた、未知の扉が開かれるかのように。

枢樹雨 > 「知りたいのは、素性より、手伝ってくれた理由。
 …欲の伴わない行動は、よくわからないから。」

それはずっと抱えていた疑問。
人の欲を、願いを、よくよく知る妖怪は、単純な親切も無償の愛も知りはしない。
だから、何故と。それに意味はあるのだろうかと。純粋な疑問が好奇心となって燻っていた。
それをそのまま、貴方へとぶつけてみる。
貴方も己を匂いを感じようと鼻先寄せるなら、近づいた碧眼覗き込むように。

「っ…」

再び持ち上がった貴方の手が頭へと向かうなら、角に触れるのかと反射的に強張る身体。
しかし指は濡羽色の髪を滑り、首筋へと触れる。
その事実に安堵するような、惜しく思うような、複雑な感覚に戸惑う様、薄く開く唇。
そうして油断した瞬間、じわりと肌から染み込む貴方の魔力。
最も魔の力を内包する角ではなく、太い血管が通る首筋。
そこからですら、無垢な魔力を震わせる何かにふるりと背筋震わせ、齧りかけの果実を強く握ってしまう。

「んっ……、」

華奢な指先に潰され、少しだけ弾ける果汁。
妖怪自身が持つ菊の花に似た香りに、柑橘が混ざりこむ。
そして妖怪の無垢な魔にも、貴方の魔力が混ざりこむ。
頬にある指へと無意識に頬ずりすれば、熱っぽく吐息零し、裸足の指が下駄の鼻緒をぎゅっと握って。

「クリストフ…、それ、気持ち良い…」

無防備に閉じられる蒼の双眸。
己を内側から震わせる柔い振動。肌が粟立つ感覚と、湯に浸かるような心地良さ。
もっとと強請るかのように上肢を貴方の方へと寄せれば、側頭部が肩に触れて。

クリストフ・ブラック > 「理由かあ…。
 一つは単純によくわかってなさそうだし、手伝ってやりたくなった。
 あとはまあ、事情があって俺の味方を今は作りたいってところだな。
 そのためにはお互い信頼関係を築かないとな。」

尋ねられるまま、本音を吐露。
流石に事情そのものはまだ伏せているが。
互いに視線が重なり、どことなく艶めいた空気が漂い始める。


俺の指は彼女の角、首筋、そして薄く開いた唇を撫でまわす。
微弱な魔力が触れるたびに流れ、枢の全身を外側と内側から愛撫する。

 
「…気持ちいいかい?」

指が頬を滑り、顎のラインをなぞり、そして首筋へと降りていくたびに、彼女の肌には粟立つような快感が走るか。
俺の魔力が彼女の敏感な部分を的確に刺激し、内側から熱を燃え上がらせる。
枢の唇からは、熱っぽい吐息が漏れ、それが耳元に届くと、俺は息を吹きかけた。その熱い息が、彼女の耳朶をくすぐり、背筋にゾクゾクとした震えが走るだろう。
彼女の瞳は快感に潤み、次第にその視界がぼやけていく。

彼女が視界を閉じた瞬間、俺の唇が、枢の柔らかい唇に吸い付いた。
最初は優しく、しかし次第にその熱を帯びたキスは深まっていく。
舌が枢の唇の隙間から滑り込み、彼女の舌と絡み合った。ねっとりとした唾液が混じり合い、甘く、そして淫靡な音が森に響く。
そのまま唾液を彼女の喉へと流し込み、魔力を彼女の体内へと宿していく。
それは、彼女の体内に新たな回路を築き、彼女の感覚をさらに研ぎ澄ませるかのように。
俺の肩に触れた彼女の側頭部を、優しく撫でる。
彼女の体は、俺の魔力と愛撫によって、ゆっくりと書き換えられていくだろうか。

枢樹雨 > [ 後日継続にて――― ]
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」から枢樹雨さんが去りました。
クリストフ・ブラック > 【後日継続】
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からクリストフ・ブラックさんが去りました。