2025/07/03 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 川辺」にトーラスさんが現れました。
トーラス > 王都近郊の喜びヶ原の森林を縦断する川の畔。
水道は勿論、水遊場にも水をもたらす川は王都民や近隣村落の住民の重要な水源で憩いの場ともなる。
水を求めるのは生物として必要不可欠な事であり、そして、何も人間の専売特許ではない。
森に住まう動物達や生き物も飲み水を求めて集まり、その中には人間に害するものも存在する。

「――――……、そんな魔物を退治してくれ、とは、何とも業腹な事だなぁ」

水辺から少し離れた繁みの中、川からは見えぬ場所に張られた天幕にて、
中年冒険者の男性が、独り言ちて、嘆息めいた吐息を吐き洩らす。
ギルドに寄せられた依頼は、近隣住民が水浴びや飲み水に利用する川にて、
魔物が現れて遭遇したために退治して欲しいとの事。

だったら、場所を変えれば良いのでは、と思うものの、未だ実質的な被害は蒙っていないらしい。
その為、この場所を利用する者達は後を絶たず、要するに安心が買いたいとの話で。
魔物と言っても水場で周囲を害さないという生物の暗黙の了解を貫いている中、
自分勝手な人間のエゴに辟易しながら、天幕の中で川辺の様子を窺い覗き見る。
はてさて、川に現れるのは咽喉を乾かした魔物か、それとも、涼を求める人間か、と。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 川辺」からトーラスさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 「妖精の泉」」にキタさんが現れました。
キタ > 以前立ち寄った泉。妖精の悪戯をもってしても二度目の来訪となればその目を欺く事は出来ない。
物の怪の到来によって蜘蛛の子を散らすように逃げて行った妖精。其のおかげでこの場への道は自ずと開かれる。

「本当に悪い子達──。食べてしまおうかしら?」

飢えや渇きに困った者が、ここへたどり着けないとあらば死活問題。
勿論そんな事が出来るわけはないのだが度が過ぎる悪戯には思うところがあるらしい。

綺麗な水辺というのは、往々にして人の手を欲するもの。そうでなければ風化し、侵食して崩れてしまうから。
だから今日も少しだけ手入れをしよう。泉の形が崩れないように。過ぎた木の根が犯さないように……。
廃神社で慣れた手つきはここでも活かされる。けれど、日除けになるものが無い中での作業に、白衣は褐色を透けさせる程に汗を吸っていた。

「折角ですし…… お邪魔しますわね?」

森の木々に囲まれた周囲を一度見まわすも、獣や人の気配は無く、だからするりと、衣擦れの音と共に白衣が、緋袴が落ちる。襦袢姿のまま水の中へと足を踏み入れると、腰の深さまで、それが泉の中程。膝を折って肩まで浸かって見せた。

清い水に流される汗。襦袢の清めも終わったと、その帯を解けば水面に浮かぶ襦袢。
暑い日差しの下の沐浴は、存外気持ちの良いものだった。
湧水の湧き出る場に歩み寄れば、湧き上がる勢いに胸が、肌が押されて心地よく、思わず双眸が細くなり、口が甘く啼きかけた。

キタ > 陽が暮れかけるまで水に浸かり続ける。
舌を伸ばし吸い上げた水を大量にその身に湛えて、向かうは根城の廃神社。
気に入った水に囲まれての生活は何よりも彩り豊かに。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 「妖精の泉」」からキタさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」にアシュラスさんが現れました。
アシュラス > 「――早よ帰らな、日ぃ沈んでまうな……」

時刻は斜陽に染まる頃、森の奥にて。
急ぎ足をふと止めて、空を仰ぎ見て呟く男が独り。
肩に掛けた荷物に木の実や茸など収穫を詰め込んで、少し深くまで潜り過ぎてしまった、と悔やみつつも斑にかかる雲のせいで淡紅と薄紫色の空は見上げれば少々目を奪われて眼鏡の奥の双眸を眇め。

向こうの雲間から、天使の梯子が降りている。
一条に天と地をつなぐ光。
彩る茜空。
色づいてきた秋の森の中は幻想的にひっそりと。
ただあるがままに、感性を有する存在を圧倒する。

「……――っは、あかんあかん、見惚れとう場合ちゃう。暗なったもたら迷ってまう」

ぶんぶん、と払うように首を振る。ともかく、日暮れまでに街に着くのは難しくとも樹海からは抜け出さなくては。
道を見失う前に。
潜む獣が活動を始める前に。

再び足を速めれば――、
  ガサガサガサッ  
不意に揺れる前方の茂みに覆われた木立。ビクっと跳ねる肩。

「――ぇ。何、なんか……おんの?」

まさか、もう夜行性の獣が起き出して来たのかと引き攣った表情。
眼鏡の奥の眼を瞠って。
やや硬直状態のままに腰のダガーに手をやり。

アシュラス > 木立をかき分けてひょこっと顔を覗かせたのはただの小鹿で……。

「なんやもう……びっくったぁ」

特に脅威にもならない草食獣に大きく息をつくとへたれなことをほざき。
こちらと目が合った小鹿は小鹿で驚いたように一度跳ねあがって急いでやってきた方向へ逃げて行った。
まあ、事もなし、というのが一番である。逃げ去る小鹿の背中を見送って移動を再開。

「ほんま早よ帰ろ」

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」からアシュラスさんが去りました。