2025/06/07 のログ
ヴェスタ > 尻尾、に反応して急に弱々しくなる様子を見れば。わはは、まだこの辺は苦手か、などと笑いもしながら。
そこはまだ無理に自分でやれとは言わずにおいてやろう、と。あまり見えすぎないように手早く処理してやることにする。

「そうさなぁ……べつに、仲間が居るのが嫌だと言うわけではないのだがな。気楽な方がいいと言うのもある。
 傭兵仕事などは仲間と言ってもそこまで交流しあうわけではない事が多い、各々が単純に仕事をこなせば良し、と言うようなものだからな」

戦友、と言うものはそれはそれで特別なものではあるのだが。一度きりの稼ぎの為の傭兵仕事、ではそこまで強く信頼し合うような事にはならないし、そうなる前に仕事が終わってしまうのだ。

「今回のように、ある程度付き合いが出来て、と言うのは案外珍しいものだぞ。
 感想としては……なかなかこれも良い、となるがね。わがまま権も頂いたことだしなぁ」

無理して同行しているわけではないのだぞ、とそこは誤解のないようにちゃんと付け加えておく。そうでないと、一人の方が良いのかなどと、素直すぎて気落ちされても困りものだ。
そうこう、やりとりしている間に三体ぶん得た尻尾は、空いている麻袋にでも詰めておくことにして。

「巣の確認までで引き返す、で良いのだな。それならわりと安心だ。
 おじさんも大暴れしなくて済みそうだしなぁ」

魔物と魔物の殴り合い、にならなくて済む方がいい、などとまた少し茶化しつつ。
そのぐらいなら当然、いくらでも付き合おうさ、と立ち上がって。

カロン > こういう面ではまだまだ未熟な温室育ち。怖くて目を逸らしている内に処理は終わり、正直ほっと胸をなでおろした。

「気楽、ですか。傭兵の方はさっぱりしていると言うか、クール?と言うか……そう、仕事人気質なのですね。
 冒険者の方々は、商売敵ではありますが皆さん仲間だとおっしゃいます。
 そう言うところも職業の違いなのでしょう」

一応は納得を返しつつ、それならこの黒豹の傭兵はかなり稀なタイプなのではと思い至り、コボルトたちにしたのとはまた違う意味で祈っては、続く話に耳を傾ける。

「ふふっ、良い旅だと感じて頂けたなら幸いです。
 ……私も感謝しています。本当に。
 これも毎日欠かさず神様にお祈りをしたお陰と言うわけではありませんが、ヴェスタさんにお会いできたことは、紛れもなく私にとって幸運なのです。
 きっと、一人ではこんな森の奥まで来るなんて怖くてできなかっただろうし。
 なので、ありがとうございます。ヴェスタさん」

優しい気遣いに感謝を、改めて深々と礼をもって返す。
再び顔を上げれば、きりりと引き締め杖を握り。

「安心安全。宿に帰るまでが冒険ですからね?
 も、もうっ! すぐそうやって怖いことを仰るんですから……」

冗談だとわかっていても縁起でもないと頬を膨らませ、彼が立ち上がるのを合図に視線は先に向く。
はてさて、この先に安心はあるのだろうか――。

ヴェスタ > 「そうさなぁ……冒険者の言う仲間と、傭兵の言う仲間とでは、少々意味合いと言うか……感覚が違うのかもなぁ。
 冒険者で言うと、全員でひと固まりで共有するものと言う感覚だが、傭兵のそれはやる事は同じだがどちらかと言うと各自自己責任、だからな。互いに協力し合うには信用できるだけの腕はお互いにあるぜ、と言うような」

冒険者同士は別れればライバル同士だが、傭兵同士は別れれば時として完全に敵同士で出会う事もある、とは世知辛い話しすぎて、今まだこの少女にしてやるには早すぎると感じたのか、そこまでは言わないでおいたのだが。

「そんなに持ち上げられると少し照れくさいがね。
 あまりこう――仕事の助けになった、と言う意味での感謝はまぁわりと受けるが、出会いとして感謝してもらえるのはなかなか無い気がするのだよ。こちらこそ感謝するぞ、カロン」

うむ、と頷き返し。
それではもうひと仕事、奴らの巣の在処を暴いてやろうじゃないか、と気合を入れ直し。
増えた二体の元いた方へ少し行けば、もうアテを付けるのに苦労しないほど、そこら中に痕跡があるものだから、巣の場所の特定などお手の物、と言うぐらいに順調に行くのである。

そこから素直に戻るにしろ、うっかり何かあって猫おじさん大暴れになるにしろ、きっちり少女を無事に街まで送り届ける、と言う所は万全にこなすのであった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」からヴェスタさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」からカロンさんが去りました。