2025/06/02 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」にカロンさんが現れました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」にヴェスタさんが現れました。
カロン > 天気は良好。風もほどほど、憂いは無い。これぞ絶好の冒険日和。
そんな良い日に恵まれた冒険者であったが、その面持ちは固く、不安げに杖を握りしめている。

何を隠そう、魔法使いの少女は今初めての討伐依頼に踏み出したところである。
森に入る前にも何度も薬草やポーションの買い忘れがないか確認をしたし、今もこうして――

「はぁ~……、き、緊張しますね。
 も、もう一回だけ、依頼書の確認をっ!」

何度目になるかもわからない確認作業を始めるのだ。
隣にいる付き添いの黒豹に断りを入れ、腰のポーチから取り出した依頼書の写しには以下のことが記されている。

【低級:討伐依頼】
 メグメール森林地帯に増殖したコボルトの討伐
 報酬は1体につき支払われます。討伐の際に尾を切り落とし持ち帰ることをお忘れなく。

ヴェスタ > 悪天候であればその為の心配も色々せねばならぬ所だが、幸いにもその心配は無さそうであった。
自身は強風だろうと大雨だろうとさほど困らないが、すぐ傍で不安そうな相手の様子を見れば、負担は少なければ少ない程良かろう、と思うのだ。

「ふむ、不安ならじっくり確認の時間を取って構わんからな。
 独りなら周囲も気にしながらでなければならんだろうが、今はその間は俺が周りを見ていれば良い」

まさに戦士で前衛、と言った体の獣人男と、魔法使いの少女と。
索敵向けのシーフやスカウトこそ今は居ないものの。そこまで危険なわけでもないこの辺りの一帯と、何せ普通より鼻が効き気配にも敏感なこの男が、危険感知の役目はしっかり果たせる。

落ち着いた様子で、まだ本調子ではなさそうな少女の方をゆったり眺めながら、堂々と待っているのだから、今すぐ危険、と言う事はないのだろう。

「ひとまず1体からでも良さそうな内容だったと思うが……まぁ、増殖したと言うぐらいだからな。無理に深追いせず、と言うぐらいだろうかね」

カロン > 穴が開くほど何度も何度も短い依頼内容を見直して、最後に大きく深呼吸をしてから、よしっ!と意気込み顔を上げる。
やっぱり、熟練者が同行してくれると言うのは精神的にも安心を得られるもので、それが優しく新人のペースに合わせてくれる大人であれば、駆け出しの魔法使いは実力をちゃんと発揮できるもの。

「すみません、気を使わせてしまって。
 もう大丈夫です。依頼書は一言一句までしっかり覚えましたし、忘れ物も無いのです!」

いそいそと写しを片付けつつ、顔はそちらに向けて。

「そうですね。いきなり、わーっていっぱい来るのは流石に困ってしまいますが……。
 ひとまず、一体……もしくは、二……いえ、三体から! が、がんばって――

 ……えっと、こういうのって、どうやって探したらいいのでしょうか?」

探知魔法を使うのも手だけれど、魔力の無駄遣いは良くないとも聞くし。
戦士、ないし獣の勘に頼らせてもらうのが良いのか、それとも自立を目指して頑張るべきか。
おどおどと視線をさまよわせた後、そーっと伺い隣を見上げる。

ヴェスタ > おっと、と少しかくんと首を傾げて。
言われてみれば確かに、依頼書には森林地帯としか書かれておらず、詳しい場所までは記されていないのである。

「そうさなぁ、もっと大掛かりな事件やらであれば、場所の手がかりを集めてから出立するものだが……
 依頼内容からすると、目撃情報が増えてきたと言う程度なのだろうな。街道にまで頻繁に出てくるようであればもっと緊急の内容になるだろう。
 ――であれば、もう少し森の奥。見通しの悪いような、理想を言えばねぐらにしそうな洞窟やら、廃墟やら……そういうものがありそうな所だろうなぁ」

増殖した、と言うぐらいなのだから一定数の群れが居るはずだ。
となればふらふらと移動していると言うよりは、どこかにねぐらが存在しているはず、と。
ここまでは良いな?と視線を向けながら。

「完全に潰すつもりでも良いが……ま、出くわしさえすれば倒した証拠を得て、それで目撃情報を持ち帰る、でも仕事としては成立するのではないかね。
 どちらにせよ、もっと森の中へ入らねばならん。臭いなどあれば俺が気づくからな、進む方向は……リーダーのカロンが決めて、索敵は俺に任せる、と言う指示が良かろうな」

自分がすべて決めても良いが、それではただの見学になりかねん、と思ったのか。あくまで補佐、使える手段の一つとして上手く使ってみるといいぞ、とリーダーの座は任せている。

カロン > 「な、なるほど……」

コボルトやゴブリンは群れで生活して、薄暗くて狭いところ。抜け穴が多くあるようなところに住む。と、学校の授業で習ったことを思い出しつつ、ふむふむと何度か頷き相槌を返して。
森の奥は危ない魔物が増えると聞くので少し不安はあるが、それも頼れる黒豹のおじ様がいてくれると思えば、慢心とまではいかないが踏み込む勇気は出てくる。
……後は、やっかいだが便利な花の群生地に足を踏み込まないように気を付けて。これも、鼻の利く相手の方が先に異変に気付くので、そこまでの心配はないか。

「では、目標は最低でも一人一体の討伐。それと並行して、群れの住処を見つけて、ギルドに報告する……と言うことで」

欲張りはせず、驕りもせず、小さな目標を胸に謙虚に……

「り、りーだぁーっ! ま、任されました! リーダーのカロンですっ!
 えっと、えっと……じゃあ、西の方に行ってみましょう!」

謙虚に行くはずのつもりが、相手の言葉に一気に舞い上がり、青い瞳はキラキラと、ふんすっと鼻を鳴らして、少し前のめりに意気込んだ。
とは言え、森の奥に入るなら前衛後衛はしっかり守り、先導は任せて後について行くのです。

ヴェスタ > 「採取依頼などであれば、危険な場所を避けてと言うのも可能だろうが……討伐依頼だからなぁ、危険な場所に行くのが仕事、と言うやつだ。
 うむ、方向性としては住処の特定あたりまで、と言う事で行こうか」

やはり、まだ少々不安なのであろう様子も見えなくはないのだが、そこは躊躇っていては先に進めぬ。
多少引っ張っては行くべきかと思ったが、リーダー任命してみれば、意外と乗り気のようであり。多少無理やりでも方向性があった方が動きやすい性分なのかもしれないな、と少し微笑ましく思いながら。
いつもならそこで大笑い、と言う所なのだが、流石にこの状況で茶化しているわけにもいくまいと。

「よしよし、では西の方、だな。その方が森も濃くなろう」

先に歩くのは任されよ、とばかりに、森の気配が濃くなる方へと歩き出し。
やがて立ち並ぶ木々が鬱蒼としはじめて、視界も足場も悪くなってくれば、多少枝や藪などを掻き分けるように均しつつも、殊更ゆっくりと進むようになっていく。
おそらく、この男単独であればあっという間に姿を消すほどするすると進めるのであろうが、二人の距離が殆ど変わらないのは、殆ど振り返らずともちゃんと後ろを気にしているのだろう。

「……ふむ。 ――分かるかね?」

ふと、男が立ち止まれば。少し先の方を指さしている。
通ってきた背後で草木が分けられているのは当然だが、まだ向かう先で不自然に、何か通ったような枝の折れ方や草の曲がり方がしているようなのだ。
よく見れば、その下のむき出しの土には、人間の靴とも違う……しかし獣にしては人に近いような、足跡のようなものが並ぶのに気づくかもしれない。
腰に手を当てながら悠々と少女の方を見ていたり、声は抑えてはいるが囁くような程でもない。目標がすぐさま眼の前に居る、と言うわけではないのだろう。

カロン > 「はいっ」

元気よく返事をする顔に不安はなく、まだ肩書だけだがリーダーの任を仰せつかったことを誇り、応えようと意気込む方に全力である。
目標も定まり、行き先も決まれば、あとは慎重に進むだけ。
頼りになる大きな背中の後に続き、歩幅の違いに遅れないようにせっせと足を勧めながら、それでも視線は辺りを時折見渡して、五感では感じ取れない部分、魔法使いが気付きやすいちょっとした儀式的な跡などを見逃さないように気を配りながら行く。
先行く手が道を多少均してくれるお陰で、それだけの余裕が生まれる。ありがたい限りだ。

――不意に足が止まる。
少し遅れて少女も足を止め、ひょこりと後ろから顔を出し指の差した先を見た。

「動物の通った後……と言うわけでは、ないのですよね。
 この跡が、コボルトのものでしょうか? 大きさは……小さそうです。多分、私より、少し小さいくらい」

折れた草木と、足跡。それぞれを見定め、正解を尋ねるように首を傾げる。
ここから見える足跡は一つだけだが、それを辿れば複数に巡り合うこともあり得ると、想像して杖を握る手に力がこもった。

「これを追えば、群れに行きつくのでしょうか……?」

ヴェスタ > 「概ね同じ道を通ろうとする……いわば獣道を残す動物も居るがな。
 あれはそれとは違いそうだ。足跡の深さや並び方からして小柄――ああ、いや俺からすれば、な。そしておそらく二足歩行だ。二つ足の獣、はそうそう居なかろう」

可能性としては当たり、と見て構わないだろうな、と頷いて。
まあ、コボルトと思って追ったらゴブリンであったとか、そういう場合はあるかもしれないが――いきなり本気を出さねば危ないようなものはおるまい、と。

「追うので良し、と思うがね。どうする、リーダー?」

流石に全く平常心とは行かないのであろう、ぐっと杖を握りしめている様子を見やれば。先行して跡は見つけたぞ、さてどうする?……と、少しニヤリとしながら、状況ごとに判断をさせてみようと見つめてくるのだ。
ずんずん自ら進むよりは、その方が考える時間を取って余裕も得られるだろう、と思うのもあるやもしれず。

「自分で先を見てみるか? ……不安なら、このまま俺が先行するが」

くい、と親指を向ける先が、おそらく何かしら居そう、な方向なのであろう。
どちらでも良いぞ、と指示を待つ、その間に時折周囲を眺めてみたり、僅かに鼻先が動いたりする様子を見せて。

カロン > 「あはは……。ヴェスタさんから見れば、ほとんどの人が小柄になってしまう気もします。
 確かに、二足歩行の動物――……あ、えっと、動物は、あまり見たことがないですね」

熊とか、犬とか、猫とかも二足歩行で歩く時もあるけども――改めて目の前にいる二足歩行の黒豹を見ると、ハッとして途中言い掛けた言葉が止まったが、なんとか言い繕い話を進めた。
そう、動物です。獣人とは、違う。別物。そう心の中で何度か繰り返し、気を取り直して。

「も、勿論です! 今日は、採取ではなく討伐に来たのですから……。追いかけましょう」

足跡だけで怖気づくわけにはいかない。
尋ねる声に迷わず頷き、進む決断を下す。本音を言えば、まだちょっと怖いけれど、ここを乗り切らねば真の冒険者にはなれないのだ。
だが、先を進むかと聞かれれば。

「えっ」

ピタリと一瞬固まり、不安げに相手を見上げた。

「あの……えっと、う、後ろで、お願いします」

そして、すすすと手を前に出し、先をどうぞと促した。
なんとなく、前に出過ぎると足を引っ張るようなミスをしでかしそうで、自重を選ぶ。

ヴェスタ > 流石に大声こそ出さないが、わはは、と笑ってから。
進み始める前に一度振り向き直し、手の形をくいっと曲げて――にゃあ、などとわざとらしくハッキリとした言葉で言う。まるで少女が一瞬何を考えたのかを目ざとく見抜いたかのようだった。

「まぁ、魔物扱いする連中よりは、動物扱いする方が可愛げがあっていいさ」

くく、とまだ笑っている様子を見れば、全く嫌がっているようではなさそうで。
やはり先は任せる、と言われれば、先程までよりは……後ろを気にしてゆっくりとと言うよりも、そろそろ気配を抑えた方が良さそうかと言った様子で慎重に進み始めて。

合間、何度か屈んで地面を気にしているのは、ぱっと見では見にくいものの足跡なり何か形跡があるのだろう。
そのまま進む、いよいよ普段これはわざわざ人が入って歩きはしなそうだと思えるほどに、まさに森の中、と言う空気が濃くなって来る。
それまでは時折聞こえていた、鳥の鳴く声も殆どしなくなっている。鳥が寄らない、つまり何か自然な形ではないものがある、と言うことでもあって。

「……ふむ?」

男が小さく呟くと、鼻をひくひく動かす。
概ねまっすぐ進んで来たのを、ふと、少し斜めに逸れて……幹の太い、丁度壁にできそうな樹の下へと進み寄り。
振り返れば、口元に……ぴっと立てた指を当てている。そして静かに手招きしながら、もう片方の手で樹の向こう側に向けて親指を立てていて。

カロン > 「うぐ……」

見透かされたことを察し、猫の鳴き真似なんてサービス精神旺盛な態度で返す様に苦笑と声を漏らした。
それはさておき、寛大な言葉でかけてもらった言葉で、少し苦みも減った。

「ヴェスタさんも可愛いですよ、大丈夫です」

可愛げと言う意味なら負けてない。って、きっと相手はそんなつもりでサービスしたわけではないだろうけれど、ちょっと負けじと言い返したくなってしまうのも仕方ない。
揶揄い上手なヴェスタさんが悪い!と、責任転嫁をしつつ。

鋭い獣の眼が前に向きなおれば、空気ががらりと変わる。
少女も笑みを引っ込めて、真面目な顔つきになり、前衛と一定の距離を取りつつ足を踏み出した。
地面を探る仕草、辺りの音、空気を確かめるのを後ろから観察し、同じようにまだ形だけだが繰り返し真似て、相手から得られるものを見落とさぬように気を付けていると、また何か見つけたのかこっちに視線が向く。
どうしたのかと尋ねるより早く、静かにと身振りで返され、急ぎ口を閉じた。

「……?」

足音を立てないように十分に注意して、そーっと手招きに応じて進む。
指が示す先、そこに何がいるのかと、好奇心と不安に胸を膨らませた。

――さて、問題のコボルド。もしくは、それに類似る魔物。
それらは群れを成して生活する。それは、一体では弱いことを自覚しているが故のものであり、頭を立て、役割を決め、巣を作り住む。
頭は基本的に巣にこもり、身分が低いものほど外に出ることが必然的に増える。
つまり、こうして単独で森を歩く者は、群れの中でも劣等の類。仲間も持てず、孤立した弱者である。
それが多く森で見られるようになることが厄介ごとの前兆であることは、熟練の冒険者なら薄々気づくことだろう。
目の前に、痩せ細った見すぼらいいコボルトがいるなら猶のこと……。

ヴェスタ > 時折、わざと遊ぶような事を言い始めたりして和ませようとするのは、緊張しすぎても上手く行かぬと言う何か矜持のようなものかもしれないが。
すぐ先にいよいよ目標物発見、となればそこで遊び始めるような事はしない。

「さて……1体か。どうするね?」

少女が傍らに来るのを待ち。ささやき声で事足りるように、そっと顔を近づけて。
斥候なのであろうか、それ単体では弱々しくすら感じる痩せたコボルトが居るだけ、となれば。
これが自分に与えられた依頼なのであれば、追い立てて住処まで追いかけて、そのまま突撃――などと言う手段も取りうるのだが、と言うよりもまずそうするのが早いのであろうが。

「ここで仕留めるのはまぁ、出来る。であれば奴らの住処はその後探さねばならんが……
 脅かしてから追いかけてもいいが、その場合は集団戦も覚悟せにゃぁならんだろうなぁ。ま、その場合でもカロンが危なくないようには、するがね」

本当に危なくなれば、おそらくこの男があっという間に片付けてしまうのだろう。が、それでは初めての討伐依頼に挑戦、の意味がなくなってしまう。それは最終手段だぞ、とでも言うように、あくまで判断は任せるのだ。
頑張って戦ってみる、と言うのであればそれも方向としてアリ、と。そう簡単に後ろへは通さんよ、と布鎧越しの自分の胸板を、ぽんぽんと叩いてみせて。

「やれるなら、自分で魔法で仕留めてもいいぞ。
 もしくは、俺を何かしら手段のひとつとして使ってみるのも、当然アリだ。何せ二人で組んで臨んでいるわけだしな」