2025/10/30 のログ
オズワルド > バッグの中を確認しなおし、固定を確認しなおし、結び目の確認しなおし。全部3回やって、

「よし!」

ご安全に!

「んじゃ積みなおしてー。オレも一服するか。」

どうせ馬を歩かせて間に合わないなら、走らせる必要がある。
であれば、少しくらい時間を使ってしまったってかまわないのじゃなかろうか?
丁度時間はお三時時。街道脇でお茶をするくらい…。

そんなことを考えながら、軍馬の背にバッグをもう一度固定化したのち、他の荷から取り出す金属製のポットと、安っぽい茶葉を少量。
馬に道草食わせたまま、ちょっと草のない地面の見えるあたりまで移動して。

「La,La,Ia,La,sta.La,」

口頭詠唱による単純に水を呼び出すだけの魔法。呼んだ水はポットの中へ。そして安い茶葉もポットの中へ。
手にしたスタッフで三角形を基本とした熱の魔法陣を、がりがりと地面に描けば。
その魔法陣の上にポットを置いて魔力を魔法陣に通す。

「さーて、後はお湯になるまで放置だな。」

こぽこぽ。
熱の魔法でちょっとずつお湯になっていくポットの中身を放置して、一端カップを取りに馬の方へ戻っていった。

オズワルド > 荷物から木製のカップを一つ持ち出して、熱の魔法陣にかけたままのポットの元へ戻る。
熱効率的にはあんまり宜しくない使い方なので、湯が沸くまではもう少しかかる。

「ひとまず日程の半分は達成できたし、もう半分。
 荷は問題ないし、食料補充しつつ、一日宿でごろごろして、魔力回復待ちかな。」

日数的にはその辺りかなと、指折り数えて独り言ち。
ピー!
ポットから音がした。お湯が沸いた音。

「お、出来たか。」

ポットの木製になってる持ち手部分を掴んで持ち上げ、カップに注ぐ安いお茶。
それでもこの時期にはありがたい暖かい飲み物である。
ふー、ふー。
せっかく熱いのにちょっとばかりふいて冷ましてから、くぴり。ひとくち。

「あちち。ふー…。
 あー…宿にえっちなお姉さんが居てすけべな行為で魔力回復してくれたらいいのに…。」

寒空の下、願いを込めて空を見る。
秋高く、馬肥ゆる秋。空を見つめても妄想の願いをかなえる者はいない…。

オズワルド > しばらくかけて、カップの中身を飲み終えれば、

「うっし、旅再開っ。」

カップとポットを手に、セイラン…馬の方へと戻る。
荷の中にポットとカップを押し込めば、バタンをぺしんと叩き。

「そろそろいくぞ、セイラン。道草終わり。」

草から顔を持ち上げた幻影馬に、よしよしと鬣を撫でて。

「落ち着いたら人参くらいは食わせてやるから、今日一日頑張れよ。おし、いくぞ。」

言い聞かせるように告げてから、幻影馬の背に乗る。荷の固定を改めて確認したのち、手綱を掴んで。

「ハイヤッと。」

合図をすれば走り出す幻影馬。目標、夕暮れまでに宿場町にたどり着くこと。パカラパカラと、足音が響いていく。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道「まれびとの道」」からオズワルドさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道「まれびとの道」」に玲・玉環さんが現れました。
玲・玉環 > 東方より訪れし龍の特徴を持つ少女は、一人軽やかに街道を歩む。
艶めいた黒髪は風にほどけ、長い龍尾が土を撫でる度に、先に宿りし霊気が地を賦活させていく。
旅人、玲・玉環(リィ・ユーファン)はたっぷりと、20日程時間をかけてマグメールへの旅を続けている。
そんな彼女に旅装という物は見当たらない。
10代前半と言って差し支えない体躯を包むのは、布地が少なく体の側面と背中を大胆に露出したシェンヤン風の装束――シェンヤンの物とは細部が異なり、文化的に似ている別の国の物なのだろう――。
手足と同じく薄い絹地のような装束、布垂は彼女の背中側には一切布地を展開しておらず、首周りと腰周りの紐だけが着衣を身に纏わせる証として存在している。
危うい丈の長さの布垂だが、不思議と風が吹いてもそれらが捲れる事はない。
頭部に生えた龍角を機嫌良く揺らしながら、まるで近所に散歩するかのような足取りで……ユーファンはまれびとの道を進む。


――港湾都市ダイラスに到着したユーファンは、この国の様子に強い驚きを与えて好奇心を漲らせた。
東方の密林や段々畑とは違い、どこまでも続く石畳と並木道、石造りの塔や背の高い建物、
並んだ窓に吊るされた花かごの色合いまでもが新鮮で、ユーファンはあらゆるものを愛しげに見つめていた。
船旅の中で、そしてダイラスで人々が話す言語からこの国の言葉を学んだユーファンは街を行き交う人々との会話に興じた。
見目が幼く、彼女の体から発する――白蓮に白檀、微かに混じる桃花の甘露の香気は周囲の邪気を浄化して人々の善性を強くする。
故に人々はユーファンに対して幼き旅人を遇するように対応し、この国の情報を数多与えてくれた。

港湾都市ダイラス。港であり、交易の都市だ。海沿いには気性の荒い男たちがおり、そして賭博場や娼館の数も東の港に比べて数多ある。
奴隷都市バフート。街の話を聞くだに“目的”には沿う街だと判ずる事ができるが、この国を見回る事すらせず留まるのは片手落ちと考える。
山賊街道から九頭竜山脈、そして無名遺跡。なるほど荒くれの街道らしい。多少ならば付き合うのもやぶさかではないが、それよりも好奇心を煽る物は更に西に。
まれびとの道を通りいくつかの村を抜け、その先にあるのは王都マグメール。この国最大の都市。欲望の坩堝。
確かに、西の方に邪気を感じてユーファンは情報を集めながら目的地をその地に定め、観光を兼ねて一人徒歩の旅を始めたのだった――

玲・玉環 > 「異国なれど、気脈は豊か……♪ 陽気も相まり、本当に過ごし良い場所ですわね……」

尾が揺れ轍も無い路端を撫で、周囲の気脈の豊かさに笑みを浮かべる。
元は天の龍なれど、今は地の龍であるユーファンにとっては自然の豊かさはそのまま自らの活力を表す事になる。
遠く見れば橡(とち)の木、ぶなの森、たんぽぽのようにほぐれた白花――どれも東方にはない。
土の匂いすら異なっており、ただ歩くだけでも笑みは止まらない。

見た目に無防備、力もなさそうに見えるユーファンがこうして無事に旅を続けているのは、纏う香気によるもの。
無論幾度か盗賊・山賊の輩がユーファンに近づいてくることはあった。旅の商人も下心を見せて声をかけてきた。
だがそれら全て、香気により邪気を祓われて襲撃の気勢を削がれていたのである。
しかしそれも王都に近づき人の気配が増えてきた所でその邪気浄化――術という程のものでもない、静心発気を止めて再び道を歩く。
もうあと丘陵を2つも超えればマグメールの門が見えてくることだろう。
そこでの出会いに、期待に胸を膨らませながら小柄な龍少女は尾を揺らすのだった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道「まれびとの道」」にアシュベールさんが現れました。
アシュベール > ――素材が足りなくなった。
先日、露天にて沢山の魔道具が売れたはよいが、それに合わせて素材が無くなった。
結果、少年は数日ぶりに王都を離れ、喜びヶ原へと脚を運んでいた。

其処に居る魔物を権能によって従わせ、沢山の薬草や毒草。
既に生え変わった牙や爪。ブラッシングした際に出来上がった毛の塊。
様々な、濃厚な魔力を宿す材料を手に入れたのなら、それらをリュックサックのように背負った宝箱――ミミックの中にしまい込み、帰路へとついた。

結果、宝箱に目を付けた野盗に襲われたり。
濃厚な魔力に惹かれた大型の魔獣に襲われたりもしたが、それはまた些細なハプニング。
それらを乗り越え、喜びヶ原から連なる街道に到着したのなら、ふぅ。と短くと息を吐いた。

「やー……此処まで少しだけ遠かったけど、なんとかなったかなー。」

潤沢な自然の材料。文字通りの道草をして、採取を行いながらの道筋は遅い。
装備者の歩行速度を底上げする魔道具を装備していなければ、王都に付くのも夜遅くになっていそうな程。
しかし、結果的にローブのポケット等から溢れんばかりの薬草が採取が出来、本人としては非常に満足。
さて、このまま。王都にある自分の店へ戻ろうと、帰路に目を向けた時――ふと、目に収まる人がいた。

小柄ながら、整った佇まい。シェンヤンのものだろう異装を身に纏った一人の少女。
そんな子が護衛も付けずに、まるで散歩とでも言わんばかりに竜尾を揺らして歩いている。
別種族に興味を宿すことが多い少年は、その尾の動きを凝視する――。興味を持つ。
だからか――。

「おーい、其処の人ー?……こんな時間に一人で街道を歩くなんて、危ないよー?」

先ずは、心配するような言葉を。無論、余計なお世話だったかもしれないが。
尚、そんな言葉を彼女に投げかけたのは、背丈で言えば彼女と殆ど変わらない少年である。――人のことはあまり言えない。

玲・玉環 > 「あら……?」

大地をゆっくりと踏みしめながら目的地への楽しい旅路の締めくくりを味わっていた所、道の脇から声をかけられる。
どうもこの土地にはただの人、ただの龍以外の種族も多いようで、未だ気配でそれがなにか読み取る事は難しい。
難しいということは、まだ学ぶ、修練できるという事を意味するので、それもまた嬉しげに尾を揺らす材料となる。

足をとめて声の方を見れば、そちらにいるのはこの年齢体である自身と然程変わらぬ見た目の少年。
こちらの大陸の、整った顔立ちの少年だろう。まだ慣れないものの美醜の区別は容易につく。
何やら重そうな荷物を背負った彼からの心配そうな声を聞けば、たおやかに笑みを浮かべ。

「ご心配痛み入ります。ですが、ご安心くださいまし。拙は気功・内気の術も嗜んでおりまして、こう見えて荒事も熟せますので」

少年の方に体を向けて、東の大陸風に両手の平をあわせながら頭を下げる礼をする。
そして頭を上げ、尾をくねらせながら少年の荷物にも視線を向けて。

「どうやら荷重な荷物のご様子。拙がお手伝いいたしましょうか?」

明らかに筋力などなさそうな柔らかい手を伸ばし、荷物を運ぶ手伝いをしようかと提案の声をかけた。

アシュベール > 彼女が気配で種族を読み解くことが出来るようになれば、少年がただの人間ではなく魔族であることも理解されていたかもしれない。

――しかし、まだまだそれを学んでいる最中ということであれば。
其処に居るのは目元が隠れる所までローブのフードを被り、背中には巨大な宝箱を紐で括り、背負っている少年。
振り向く彼女は、ふわりと笑みを浮かべ、鈴の音のような声色を此方に投げかけてくる。
その物言いは外見不相応に思えた。―――非常に落ち着いていて、長命種だろうか。と考えた頭を、すぐ切り替えて。

「あはー。なるほどねー。……それなら余計なお世話だったかなー。ごめんねー?
 考えてみれば、その東の衣装ってことは、山を越えてきただろうから――。それだけ遠くから来た人なら、荒事の一つや二つかなー?」

ごめんね。の所で、相手の実力を見誤った事への詫びも兼ね、小さく頭を下げ――。
結果、頭を下げ合うおかしな様子になってしまったがそれは、それ。

「あはー。それは有り難いかなー? ……それなら、ちょっとこの、ポケットから溢れそうなのを取ってもらってもいいかなー?
 こっちは――一応、商売道具でもあるから。」

こっち。というので、宝箱に視線を向けてから、視線を下げる。
ぶかぶかのローブに仕込まれた複数のポケット。其処から既にはみ出している包装された薬草。毒草。他にも、魔物の素材。
錬金や調薬を行うことが出来る彼女からしたら「なにに使うか。」が分かるだろうか。

玲・玉環 > 未来の話をするならば、ユーファンにとっては魔族も「人」の括りになる。
他者と会話し、意思を疎通し、己の欲望を満たす。
実に愛い、人の姿の1つだという認識だ。
この「人」から外れるのは、邪悪な意思しか持たず他者を害するのみの存在。獣や魔物、魔獣といった類のそれでなければ、ユーファンにとっては十分に愛すべき「人」として見られる事になる。

故に眼の前の少年が意思を持ち、陽の気配で声をかけてきたのならば警戒の必要は薄い。先程までのように静心発気を行っていないのでそこに邪気が潜んでいないとは限らないが――それもまた、目的地への旅の締めくくりとしては1つの刺激となることだろう。
そもそも邪気がない事が一番だが。
こちらの言葉を聞いて少年も礼をし、会話を続けてくるのであればユーファンも尾を揺らしながら会話に付き合い口を開く。

「お気遣い感謝致します。そう畏まらないで下さいませ。
 ――この装束、割と見るものでしょうか? 拙は……あぁ、失礼致しました、自己紹介を怠っておりましたわね。
 玲・玉環(リィ・ユーファン)と申します。どうぞ、ユーファンとお呼びくださいませ。
 改めまして、拙は20日程前にダイラスにやってきた異国の旅人でございますわ。同じ船には同郷の者は居なかったですが……この国には意外や、同郷の者が多いのでしょうか……?」

会話の流れで自己紹介を行い、自分が異国から訪れた事も説明する。
そして20日かけて……おそらく普通の旅程であれば7日もあれば問題ない距離を徒歩で行い、無傷の姿を見せれば少年もより力量を納得してくれることだろう。
そのまま、少年がポケットから零れそうなものを、と言われれば素直に頷き近づいて、それらの薬草、毒草、生物由来の素材を手に取る。

「……こちらは何用でしょうか?」

受け取りながら、それらは傷薬等の薬品として用いるようなものではない事に気づく。
しかし、この国の素材で何ができるかはまだ全く知見がないため、素材を手に持ちながらただ首をかしげた。

アシュベール > 少年の意思は好奇心。本来なら、こんな街道で出会うことはない見目麗しい少女への純粋なもの。それを陽の気配と感じたのなら、確かに警戒することはない。
勿論、邪気は今のところはない。ただ、この少年は王都でもそれなりの期間、一人で過ごしている存在。
欲望の坩堝――彼女がそう印象を抱く世界に染まっている存在である。
この後、どうなるかは未だ分からないが。

「うへ。そうでもないよー? ……んー、けど。見た限り、シェンヤンの方の衣装だよね~?
 ……とと。よろしくねー。ユーファンちゃん。ぼくはアシュベール。
 あの王都で、魔道具を売っている商いだよー。……んー。
 きみみたいに、王都にやってきた東の人って言うのは、時折見かけるよー。意外に、顔を合わせることもあるかもしれないねー?
 にしても、ダイラスから此処まで20日……やー、本当に強いんだねー?此処まで遠かったでしょー。なにか飲む? 今なら格安で提供しちゃうよー?」

残念ながら、自分の店に東のものは少ない。結果、東の人が店に寄る事はあまりなく、ふわっとした言葉が返ってくる。
ただ、その素材の良さや居住まいの良さ等から、店の居住スペースに畳張りを用意していたりと、関心だけは高い。
だからだろうか。いかにも「東」の龍角、龍尾を持つ少女。彼女に惹かれてしまうのは――。

彼女の強さは理解できた。文字通り、寄り道たっぷりな20日。彼女にそういったことがないのは、そういったことだ。
なので、商人であることを明かした上で、飲み物の販売なんてものを提案なんてものもする。――ずっと野営をしていれば、矢張り食事に関しては制限があっただろうと考えての。

「んー……? あー、これ?」

自分のローブのポケットから取り出された素材。薬草はともかく、毒草や生物由来の素材に関しては、確かに疑問を抱くだろう。

「毒草に関しては、武器に使うんだよねー。あ、包装してあるけど、触れる場合は気をつけてー?
 その中から毒の成分を抽出して、エンチャントをする。そうすることで属性を付与出来るんだー。
 ……その牙とか爪は粉末にして、調合するんだよー?」

玲・玉環 > 星空の下の邂逅というものも、いわゆるロマンチックを感じてしまうもの。
人の営みに置いてロマンチックとは甘美なるものだという記述を書籍にて学んでおり、かつ実践もしているので喜ばしいという他に言う事はない。
故に襲いかかるのではなく会話を試みてくれた相手への好感度は高い。言葉もこの土地のものを流暢に使っているのを感じており、先達としての敬意も表するに値する。

「はい、アシュベール様。異郷の歩みは未熟にてございますが、なにとぞ、お見知りおきくだされば幸いに存じますわ。
 いえ、拙は東の大陸の果てたる仙界「璃宮」の出身でございます。
 しぇんにゃん……違いますわね、えぇと……シェンヤン、こうですわね。シェンヤン、という場所とは異なりますの。
 船で500日程でしょうか、旅をした先の土地からの来訪者にございます」

シェンヤン、という言葉はダイラスでも聞いた事のない言葉だった。たまたまその単語を口にした人が居なかったというだけだが……ここでその発音を学んで、初めての発声だったので言葉を少し間違える。
少し恥ずかしそうにしながら再び言い直し、そのシェンヤンとは異なる場所から訪れたと改めて伝えた。

「王都で、商いを。拙はこれより王都にて生活を行おうとしております故、よろしければ顔をお見知り置き下されれば幸いにございますわ。
 ――ただ、その……まどうぐ、という物に聞き覚えはございませんの。宝貝のようなものでしょうか」

尾をくねらせ、飲み物を頂けるとあれば喜んで笑顔を浮かべ――けれど、いわゆる手持ちの通貨が無い事を告げる。
本当に多少の、ダイラスで小遣いとして貰った20ゴルドしかこの国の通貨の持ち合わせがなかった。

その上で、商人であることに笑みを浮かべて何かあれば客として伺わせて頂きたい旨を伝えつつ、魔道具という聞き馴染みのない物に首をかしげる。
続く素材の説明についても頷きながら聞き入れ、煉訣術のような物だと理解を示す。その反応は、エンチャントという言葉を知らずとも効能を理解できるものだろうと理解させるもの。

アシュベール > きらきらと輝く満月のような瞳。そして、夜のように黒い髪の毛を揺らす少女との言葉を交わしながらの帰路。
確かに。これはロマンティック。何処か現実離れした少女との逢瀬だということも合わさり、足取りが文字通り浮足立つのも仕方がない。
―――というように、此方からの彼女への好感度は高い。今はまだ興味。という感情が非常に強いが。

「此方こそー。可愛い女の子との縁は大事にしたいかなー。
 ……璃宮(ニュアンスはひらがなっぽく。)。おおー、聞いたことのない場所だ。
 確かに、東にはシェンヤン以外にも沢山の国がある。と聞くからね~。……500日。おー、またスケールが大きいな~。
 ああ、逆に東の人だと、シェンヤン出身の人が多いから……逆にユーファンちゃんとの同郷は少ないのかもな~……。」

同じく、此方も彼女の出身を知ることはなかった。1000年も前に滅亡をしていたのなら致し方ないか。
――魔王の知識を紐解けば、東の大戦の断片的な知識があるかもしれないが、今はあくまでも世間話。紐解く理由はない。
そして、500日という長い日数から、少年も流石に彼女が長命であることは察した様子。――知った所で対応は変わらないが。

「うへへ、勿論ー。一期一会を大事にしてこそ、商人といえるんだからねー。
 ……宝貝。……んー。多分、きみの知っているものよりも、もっとシンプルなものかなー?
 ……この世界にある魔力。それを使って起動させたりする道具。と、考えて貰えれば伝わりやすいかなー?

 ―――ああ、じゃあ。今後もぼくのお店をご贔屓にしてくれそうな女の子に、初回サービスは、どうかなー?」

少年が取り扱う魔道具は、自他の魔力を利用し、効力を発揮するものが多い。
仙術に秀でた彼女が知らないのも仕方がないだろう。名前の壮大さから、恐らく限られた存在しか使えないものと考え、それよりもシンプル。と、教え込んだ。

その上で、ぱかり。と少年の言葉に合わせて背中の宝箱が開く。
空間魔法のように物体の転送。および時間停止を行っているミミックの内部から取り出されたのは――甘い林檎から作り出されたジュース入りの小瓶。
その小瓶を手に取り、片方の手に付けている青色の指輪に魔力を通せば――きらきら。と、夜闇でも輝く小さな霜が広がり、喉を潤す冷たい飲み物の完成だ。
それを差し出し――。小首をかしげる。友愛の気持ちをしっかりと込めて。

玲・玉環 > 「可愛い、と褒めて頂けますと拙は喜びに震えてしまいますわ♪」

純粋に褒め言葉には喜びの感情を存分に返し、見目を褒められた事に喜ぶ顔を見せて。
続くアシュベールの説明を聞けば、同郷はやはり居ない、または数が少ないのだと理解する。
しかしそれで落胆するような事はない。元々、同郷の者探しという目的ではないのだ。たまたま旅先で同郷の者に会えたら嬉しい……という至極当然な感情を発露する機会がない、と思った程度の事。

「はい、是非とも。幾久しく宜しくお願い致しますわ。
 それで、その魔道具。宝貝よりシンプル……成る程、術を人が使えるようにする法器、霊具のような品ですのね。
 理解しましたわ。……と?」

魔道具の説明について理解を示し、故郷でも修練者が使っていた霊具の事を思い出してあのようなものだろうと頷く。
そこでサービスと言い、背中の箱から取り出された瓶を差し出されると、驚きの顔をしつつ手を伸ばし受け取る。

「ひゃ……冷っこいですわ。なるほど、このような……ふむ……」

受け取った瓶が冷却されていたのを驚きつつ、その現象を見て理解する。
自身の持つ宝貝の中にも似たような物はあるが、このように飲用として適切な温度にするような物ではない。
「人」向けの道具なのだと納得をして尾を揺らし喜びを示しながらその冷やされたりんごジュースを飲み、喉を潤し。

「ありがとうございますわ……♪ 実に甘露でしたの。
 そうですわね、では拙からもお礼を……アシュベール様は何がお好みでしょうか。
 人の世界で喜ばれた物と言えば、仙界の鉄や玉、あとは龍の鱗や卵でしょうか……?」

頂いてばかりでは、と思い何かお礼になるものを考える。
ただ、この国では何が喜ばれるのか全く理解できない。今まで人に施し喜ばれた物を口に出していき、アシュベールの反応を見て。

アシュベール > 「思ったことを口にしただけだよー? けど、喜んでくれるならいつでも、何度でもー。と……それじゃ価値が無くなっちゃうかなー。」

捉え方次第ではキザや軟派という印象すら抱かれそうな言葉。
ただ、その外見が子供故に、そういった印象よりは子供の戯言と思われることも多い。
――しかし、本心であるということは確りと伝えた。彼女が嬉しそうな様子を見せてくれるなら、告げた甲斐があったというもの。

「此方こそー!……法器、霊具。東の方の特殊なものの名称だっけ。
 王都には、そういった魔力を使える冒険者の人や、そういった使い方を学んでいる学生さんが多いからねー。
 そういった人たちが自分の魔力で使えるような道具や、それをサポートするお薬や武器防具。色々なものを売っているのが、ぼく。魔道具店の主なわけー。
 ……――今、飲み物を冷やしたのも、魔道具だよー。魔力を送る事で、氷の魔法を発動させたんだ。」

――此処で実践も混ぜ込めば、知識欲を宿す彼女にも魔道具がどういったものか伝わりやすいだろう。
彼女に飲み物入りのビンを渡した後、ローブから指先を伸ばす。
じゃらり。と音を立てる指輪ひとつひとつに、精霊から貰った彼らの魔力の源を埋め込んだ特注品。
道具に対して知識を持っていれば、相応の力を持つ道具だということも――伝わるかも知れない。

それはそれとして。美味しそうに冷たいリンゴジュースを飲んでくれたのならば、満足げ。

「お粗末様~。あ、ビンが空になったら、こっちで回収するよー。
 ……おお。サービスのつもりだったけど、そう言ってくれた女の子に、何もいらないよ~!なんていうのも、なんだよねー。
 ……龍の素材。は単純に気になるかな~?ぼくが交友のある竜は東の方の龍じゃなくて、ドラゴンって呼ばれる種族の方だからー。
 ――ほら、これ。触ってみてー? 生え変わりの時に貰った鱗を素材にしてるんだー。」

此処で、自分が身に纏っているローブ。その生地を彼女が触れられる距離に。
500年以上生きた仙龍ならば、触れれば分かるだろう。その生地に繊維状にした竜の鱗が織り込まれていることが。
――それは、あくまでも、交渉して貰った素材。そのため、彼女が告げた素材の一つがとても気になった。

「……そういう意味でも、卵は凄く気になるかなー。基本的に魔物から卵を受け取る事は家畜のコカトリスくんぐらいからだしー……。
 
 …………龍の卵?」

此処で少年の視界が彼女の顔から、下腹部へ。
其処にあるのは立派な龍の尾。そして、衣装越しでもぽっこりとラインを刻む可愛らしいお腹の丸み。
―――視線が戻る。今度はその満月のような瞳を。じぃ、と見つめた。そういうこと?と言わんばかり。

玲・玉環 > 「いいえ、良き事は良き用に。そこにある価値が衰退する事などありえませぬ♪」

にこにこと笑顔で何度褒められても嬉しいものは嬉しい、価値が無くなるなんてことはないときっぱり告げる。
ユーファン自身が欲と情を強く持つ者なので、褒められると何時でも、幾らでも喜べるのだ。
だからこそ逆に「人」も褒めれる時は常に褒めるようにしている。
それが「快」だと理解しているためだ。

「えぇ、仙人ならぬ人が昇仙修行の折に使うもの、そして退魔・浄化を行うための秘具がそれらになりますわ。
 それを……弟子に与え、教え導く方が王都にもいらっしゃるのですね。それは、大変興味深い事ですの」

学生という言葉は学び舎で使うような単語であり、それは仙人修行の時に使うものではないため少し違和感を覚えたものの、それもこちらの国の言い回しだろうと頷く。
話を聞く限りどうも複数人の生徒を教え導いているのであれば、教導の知識・知恵も深いのだろうとそこへの興味を示す。
そしてアシュベールがその生徒用に魔道具を作っていると聞けば、先程の素材や背に負う巨大な箱にも納得がいった。

冷たく美味しいリンゴジュースを飲み終え、その瓶を返却しながらアシュベールの手に様々な力の塊が内包している事にも気づく。
ただ冷たくするだけの力にしては分不相応な力、ということはその中から必要分だけを取り出して扱うという技能も発達しているのだろうと見抜き、西の技術の一端に好奇心を隠せないでいた。

「龍の素材がよろしいですの? 鱗の他、毛や爪、牙等もございますわ。
 血等もありますので、そのえんちゃんと……という技術には血が合うかもしれませんわね」

龍の素材に興味を示してもらえたなら、ならばそこから更により喜ばしい物を絞ろうと話を続ける。
触らせてもらったローブには確かに自身に似た、けれど明らかに何かが違う、同格の力を感じ取って唸る。
東国、己の仙界近界においては最後の龍として抜きん出た力だと思っていたが、この国においてはそこまででもない可能性が高い、と少し自省をして。

「……? はい、拙の卵でございます。産みたてではありませんが、旅程の最中で産んだ物を保管しておりますの。
 それがよろしいですか?
 このようなローブに使うのであれば、同じく鱗や爪等のほうが良さそうではありますけれど」

卵、とつぶやきながら下腹部を見られる。その性的な意図は無さそうではあるが、どういう意味かはまだ察するのが難しい。
ただ自分が産んだものであることはしっかりと明言し、それが欲しいのかと確認をとる。