2025/08/28 のログ
■ポリアン > 彼女が立ち上がるなら、エールの器を携えた儘、上の階へ
冒険者なんて荒くれ者を泊めるためか、基本的には部屋のつくりも丈夫だし
例えば、声が漏れてバレる、なんて心配もする必要は無いだろう
大丈夫だと、女に微笑を向けてやりながら
拓く扉、部屋の中へと女を誘い、そして、椅子へと座るよう促せば
遅れて部屋に入り、寝台の淵へと、腰掛けて。
「…………でも、其の様子だと、悪い事をしたかった、て訳じゃあ無いんだろう?」
――何らかの顛末が在るのだろう、と。
積極的に、悪事に手を染めるようには見えなかった女に
何らかの事情を感じては、問うてみる。
――ぽむぽむと、其の頭に片掌を伸ばして見せれば
もう、初めから謝り倒しそうな勢いをなだめる様に
そっと、撫ぜてやるのだ。
「別に叱りはしないよ、冒険者なんて、トラブルに巻き込まれるのは良くある事だからさ。
ただ、何か対処は必要だからね。」
■枢樹雨 > 促されるまま上階へと続く階段を上がれば、開かれた扉の内側へと歩みを進める。
そして示された椅子に腰かけ、扉閉じられるのを確認した後、鬼角隠していた白絹を取り、己の膝へと置く。
貴方に鬼角晒すは初めてのことだけれど、人ではないと、それは既に伝えていた故に。
「していないと、思うのだけれど…。運ぶ荷物の中身を、検めたことがないから。
知らず良くないものを運んでいたのなら、それは悪いことかもしれないと、思った。」
貴方からの問いに返るのは、どうにも自信なさげな言葉。
それに引きずられるように視線が落ちれば、其処に貴方の掌が触れる。
角の間を撫でるその手の温もり感じれば、改めて視線持ち上げ。
「太陽が空に高く昇る頃、運搬の仕事があるだろうかと、王都のギルドを訪れたんだ。
でもその時、私が出来そうな依頼はなくてすぐギルドを後にした。
そこで、知らぬ女性に声をかけられて、冒険者であれば運搬の仕事を引き受けてほしいと頼まれたんだ。
片腕で抱えられるくらいの、紙包み。私でも持てるくらい軽いもの。
急いでいると困っている様子だったから引き受けて、指定されたメグメールの森林にあるダンジョン前まで…。」
ぽつりぽつりと、話し始める妖怪。
託された運搬物の大きさを両手で貴方に示してみながら、数刻前のことを思い出すように。
「霊体…、この国ではゴースト、と言うのだったかな。
私、そういうものに、なれて、そうすれば人の目に留まることなく空を移動できて、
だからダンジョンまではすぐ着いた。
で、その届け先で待っていた者に包みを渡したら、突然先ほどの男達が襲い掛かって来た。
私は霊体になって逃げだして、…まぁ、今に至る。
包みの受取人がどうなったかはわからない。……思えば、私が急に現れてもその者は驚いてなかったな。」
■ポリアン > 「―――――――――………。」
暫く、彼女の話に耳を傾けた。
積極的に悪事に手を貸すような性格では無いと
決して、長い付き合いではないが、自分はそう感じている
実際彼女の話を聞いている限りは、凡そ問題が有るとは思えなかった
だが――其の状況は、荷運びの仕事に携わる者が、良く陥る罠の典型でもあった
詰まる所、彼女は嵌められたのだろう。 しかも、場合によっては初めから。
其の依頼者と、あの連中とが手を組んでいる可能性すらも。
「―――――……話しを聞く限り、ぱっと思い付くパターンは三つ。
ひとつ、君への依頼者が、違法な物品を運ぶために君を利用した。
ふたつ、さっきの彼らが、違法な品を運んだと難癖をつけて来た。
みっつ、彼らも依頼者もグルで、違法な品を運ぶついでに、君を犯人として仕立て上げた。」
指折りしながら、彼女の目の前で、思い付いた可能性を幾つか例に挙げて見る。
個人的に可能性が高いのは、一番最後のパターンだろう。
でなければ、受け渡しと、連中が現れたタイミングが余りにも丁度良過ぎる
―――霊体、だとか、ゴースト、だとか
大分気になる単語も多く出たが、其処は一旦飲み込んで置こう
「………もし、君の言う事が本当だったら――先ず、教訓は一つ。
ギルドを介さない依頼は、一旦怪しいと思う事だね。
んで、出来そうな対処はと言えば…、……其の依頼人を如何にかして捕まえる事、か。」
―――最も事情を知って居るだろう、件の依頼人を
捕えて、然るべき所に突き出す事が出来れば、一番良い
勿論、其れが難しいのは判り切って居るのだが。
――少しばかり考える。 どうすれば、彼女の状況を打開出来るか。
「……探しに来た、あの連中が。
誰と、何処と繋がって居るか調べるのも手か。
……嗚呼、あと、荷物の中身が何だったか、も分かると良いんだけど。」
――裏で、誰がどんな風に糸を引いて居たのか。
思えば、彼女に声が掛かったのだって、偶然では無いのかも知れない。
彼女が、人ならざると判って居て。 ――魔族であると難癖をつけやすいと
そう、判って居て、狙った可能性も、高い様に思えた。
■枢樹雨 > 人ではないと伝えている相手ということもあり、妖怪が隠す事柄は何もない。
故に、ありのままを、言葉探しながらに伝えた。
結果として上手な説明とは言えない乍らに状況の分析叶えば、貴方の碧眼をじぃ…と見つめるままに耳を傾け。
「………それは、うん。お仕事は、ちゃんとギルドから貰うようにする。
依頼人は、どうだろう。報酬は届け先にいる人から受け取ってと言われていて、
ギルドのように運搬完了の連絡も求められていないから街を歩いて探すくらいしか方法が思いつかない。」
教訓。身をもって知ることとなったそれ。
胸に杭でも打たれたかのように小さく唸って顎を引くと、肩落としながらに頷きをひとつ返す。
尻尾でもあればわかり易く項垂れているだろう、そんな雰囲気を背負い乍らに。
依頼人の話へと移れば、自らが追加で語った内容に騙されている可能性が多分に含まれている。
語った上でそれを感じ取ってしまえば、情けなさを感じてか視線を落として。
「荷物の中身は…、先にも言ったように私でも持てるくらい、片手で持てるくらい、軽くて、
でも大きさはこのくらいの…、大きさに見合わない重さと言うか、それこそ泡でも持っているような、
枯葉を抱えて持っているかのような。あと、仄かに甘い香りがしたよ。」
先の男達を調べる。となると何をすべきか。
それが咄嗟に出てこない妖怪は、最後に続いた言葉に反応を示す。
このくらいと言って、幅を30cmくらい、厚みを10cmくらい、掌で表して見せれば、思い出すようにスンと鼻を鳴らして。
「どこかで嗅いだ覚えがるような…、なんだろう、…甘味というよりは、媚薬の類?」
■ポリアン > 「まぁ、そうだろうね、うん。
手がかりを残さない為に、態々君に直接依頼を持ち掛けたんだろうし。」
だからこそ厄介なのだ。 関係者を辿るには、手掛かりが余りにも少ない。
――だが、其れでも線が見つけられない訳ではない。
依頼人や、受取人が探せなくとも、今現状で、唯一確かな"関係者"は
――先刻、己も、顔を見たばかりだ。
「―――さっきの連中を、逆に尾けて見るのも手かな。
もし、犯人にしたい君が見つからなかったら、報告の為に何処かで必ず
雇い主の元に向かう筈だからねぇ。
……荷物は…、……んー、媚薬、かぁ…、……そうなると、違法な媚薬?
態々王都にそんな物を運ぶのは…、……、…あー、あれかも。お貴族様とか。」
――彼女に、匂いを嗅いだ覚えがある、と言うのも色んな意味で気になったが。
もし、其れを思い出せれば、割合有力な手掛かりになるんじゃないだろうか。
違法物品の流通は、其れだけでも何かしらの情報が現れる物だ
違法な媚薬ともなれば、その用途からして、手に入れたい層は凡そ限られる。
「……、…所で、媚薬を嗅いだことあるって、結構特殊な状況だと思うんだけれどサ。
……其れを思い出せれば、手掛かりになるんじゃないかな?」
―――なるべく、詳しくは聞かない様にするが。 こう、プライベート的に。
媚薬の匂いを嗅げる状況が、そう多いとは思えないのだ。
■枢樹雨 > 「………ごめんなさい。今は、ルーナジェーナの名を、貰っているのに。」
最悪の場合、諦められるまで己が実体化せずに霊体のまま過ごせば良い話ではあるのだが、
そんな不自由を呑むことを、妖怪は望まない。
ただ、その先にあるものを想像すれば、視線は自ずと貴方へと向かう。
解決しようと言葉を、思考を尽くしてくれている様を見れば、前髪の下で再び眉がハの字を描き。
「もしあの男達が此処にまた戻ってきたら、私が後を追ってみるよ。
見えたり、感じたり出来る者も居るけれど、あの者達は霊体の私を見失っていたようだし、出来ると思う。」
貴方の提案に己の出来ることが含まれるなら、すかさずパッと視線を上げる。
そうして小さく挙手してみせれば、貴族まで思考を伸ばす貴方を感心した様子で眺め。
「ん?…あれは、いつだったかな。たしか君と出逢うより前に、運んだんだ、媚薬のようなものを。
乾燥させた草で、あれも軽かった。そういった作用があるものとは知らなくて、運んだもの自体は
嗅いでいないけれど、甘い香りがして、それが運んだものと同様のものだと聞いた。
場所は王都の酒場だったかな。」
配慮を見せる貴方に対し、妖怪は何を気にすることもなくあっさりと答える。
今日のように、何かを悔いたり、困ったりしている様子は欠片もない。
いつもの調子で淡々と抑揚なく語っては、「媚薬とは面白いものだね」とのんきに付け足し。
■枢樹雨 > [ 後日継続にて――― ]
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 冒険者ギルド出張所」から枢樹雨さんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 冒険者ギルド出張所」からポリアンさんが去りました。