2025/07/25 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 冒険者ギルド出張所」にエーディトさんが現れました。
エーディト > 夜半を過ぎた冒険者ギルド――の、出張所。

冒険者のみならず旅人、行商等の支援も当て込んで建てられた其処は、夜になっても明かりが絶えることはない。
それはそうだろう。夜の番など無ければ、まばらでも訪れる者達に応対することも出来ない。
真夜中になって、泥と血にまみれて扉を叩き、依頼の報告に上がるものなども居ないわけではないのだから。
応対する側にとっては傍迷惑、かもしれない? そんなのを考えていられない。だって、報告したい側はさっさと報告して楽になりたいのだから。

「――たーの、もー……誰か居るか?居るな。」

小さな宿場町めいた処の一角に立てられた出張所の扉を押し開くものもまた、その一例に漏れない。
泥にまみれた履物と肌が露に見える装束。何か血にまみれたものを包んだ長細い物と手に提げる物、それぞれ二つを担ぎ、携えた姿が声を張り上げる。
爬虫類じみた金色の双眸に覇気こそあれども、何処か疲れた様相は成る程。
確かに仕事を終えた後らしい。それも討伐系と見えるのは、持参物のそれぞれのみならず、身に纏った血の匂いだろう。
どことなく物騒と思える持ち物をひっさげた女が、出張所のカウンターで目を瞬かせる受付と目が合えば、ヒッと漏れる声に笑う。嗤う。

「夜分遅く手間かけさせてすまない。依頼の達成の報告と換金を頼みたい!」

所作は一応丁寧に。だが、声は大きく。
隣接する食事処兼酒場から向け遣られる奇異の眼差しを受け流しつつ、カウンターに歩んではその天板に手荷物をどん、と置く。
結び目がはらり、と僅かに緩んで見えるのは、獣らしい何かの毛並みであった。獣の首。依頼の物であり納品対象であった。

エーディト > 「街道沿いに出没する討伐対象の排除、並びに証も兼ねた頭部の確保。相違なくこなしたぞ」

偶にこういう仕事もある。
ひたすら数を倒して耳や鼻を剥ぎ、証とする仕事ではなく、首丸ごとを持ち帰れ、という仕事が。
剥製にして飾り物にしたい。学術的な何やらとして確保したい。魔法的な何やらで材料としたい等々、理由は依頼主次第。
これが偶に厄介である。手っ取り早くとは言わずとも、確実に打倒したいなら、頭を吹き飛ばしてしまえば確実だ。
盾役を構え、魔法で破砕するやり方を覚えだしたパーティでやるには、聊か荷が重いものでも、実力者ならば問題はない。
丁々発止で受け止め、捌き、体勢を崩した処で一撃。飛び入りの仕事として受けただけに、首桶等がないのはご愛敬だが。

とはいえ、仕事を終えたのだから労いの言葉位、欲しいものである。
右腰に手を当て、ふんす、と息を吐けば、女にしては異様に上背のある体躯の膨らみが柔らかく弾む。
椅子に座しながら見上げる方も、一苦労かもしれない。
納品物の始末に閉口した顔つきの事務員が、そそくさと奥に入り、ややあってじゃらりと鳴る袋をカウンターに乗せる。
その後、取ろうと伸ばした手をぱしりと止めて、くどくどと小言に小言。

「……むむむ。その点は配慮が足りなかった。次は気をつけよう。手間をかけさせた!」

シゴトを終えた後に聞くものではない。背を曲げ、肩を下げつつ説教を聞き終えれば、改めて報酬を受け取り身を翻す。
はぁぁ、と落魄するような勢いで嘆息を零し、気を取り直して見遣るのは食事処の方。
何は兎も角、腹が減った。奥の方の空席をどかりと占領し、残る持参物を壁に立てかける。
腰に佩いた剣もあるが、それはそのままにしつつ片手を挙げる。
やってくるウェイトレスに会釈し、先程受け取った袋から銀貨を数枚出しつつ、この金額で食べれそうなものと酒を纏めて頼もう。