2025/06/08 のログ
ご案内:「ル・リエーの水遊場」にアイシャさんが現れました。
ご案内:「ル・リエーの水遊場」にロゼールさんが現れました。
■ロゼール > 「そうねぇ、夏の花と言ったら、ヒマワリとか、アサガオ、アジサイやキキョウなんかがあるけれど、アスティの好みに合うとなるとどれかしら……」
花の名前はいくらでも出せるが、娘の好みとなるとなかなかピンとこない様子。
もちろん、対等な生物としての友人の話は、出来るとしたら、菫の華やかさを感じられる人がいいんじゃない?的な話で、そういう人を作りなさいね、と言っているつもりはないのだが、どこかプレッシャーをかけたらしいことは、ロゼール自身が気づいていなかった。
「そうね。多分、これが出来たらアイシャも沢山伝えられると思えることがあるけれど、それは次のプールでやってみましょうか。」
水に入っただけだが、その先も色々とあるのだ。
そして、そういう世界を見てみて欲しいとも思っていて。
「大丈夫よ。そうしたい、と思う気持ちがその世界へと連れて行ってくれるの。
だから、行ってみたい、見てみたい。そして、精霊たちともっとお話をしてみたいって
アイシャが望み続ける限りは、きっといつかは適うはずだから。
そのために必要なことがあれば、いつでも言いなさいね。
私に直接言うことがためらわれる時は、レオ経由でもいいわ。
あの子なら、現実的に出来るかどうかも考えてくれるだろうから。」
そこにはいろんな手段があるし、いくつか思いついているものもある。
だが、それはロゼールからは教えない。
なぜなら、どんな手段がいいと思うか決めるのは、アイシャ自身だからだ。
だからこそ、アイシャ自身で考えて、こうしたいと考えて欲しいのだ。
その考えた結果が、人よりも精霊と親しむことになったとしても、それはアイシャの選択だから。
それは尊重するし祝福する。
そういう意味では、ロゼールは奇人の範疇に入るだろうけれど。
そして、新しいプールに入り、すぐそばまでたどりついたときに、何かに気が付いたように首をひねるアイシャ。
目を瞬かせて何を気にしているのだろうと考えていれば、しがみつき、真剣な顔で告げた言葉は……
「ふふっ……あははははっ!
そうね、確かにそうだわ。
胸が……というか、おっぱいは、水に浮かぶわね。
アイシャのだけではなくて、私のも浮いているもの。
それにもきちんと理由があって、説明もできるのだけれど……
ちょっと難しい話になるけど聞いてみたい?」
首をかしげてどうする?と向けた問い。
だいぶ慣れて考えずともそういうものだと考えていたけれど、
言われてみれば驚くべきことだ。
■アイシャ > 「そうよね、花も植物も元気になる時期だけれど…」
向日葵、と聞いて浮かぶのは乾煎りした種が実は美味しいこと。
けれど、それが妹の目に適うかは解らないのだからやっぱり首を捻るしかない。
本をあれこれ読んでいても、やはり閉じこもった狭い世界にいる分その視野は狭い。
だから幼さが未だ抜けない娘は母の意図を確実には捕らえられていないまま。
「まだ次のプールがあるの?
…でもこれだけ広いんだからきっとそうね、わたしの挑戦はまだまだ終わらなさそうだわ」
今は未だ歩くことが出来ているのだから、最もだろう。
泳ぐということは、足が着かないところを進むための技術だという認識ぐらいはこの娘にだってあった。
そして、今の自分の状況はまだその目的を達成するには至っていないのも理解している。
何より、顔をまだ水に付けることすらできていない。
母の教えを受ける顔は非常に素直で、助力を必要とするときには声を掛けるように言ってくれる言葉に素直に頷いた。
けれどそこで、直ぐ上の兄の名前が出てきた時には銀色の睫毛を揺らして軽く目を瞠る。
「兄さまに?
確かに、きっと兄さまなら一緒に考えてくれそうだわ。
海に行ってみたいっていうお願いを叶えてくれたのも兄さまだもの」
目を瞠ったのも束の間のこと。
自分の中できちんと腑に落ちる答えが見つかったのか、ふわふわと娘は嬉しげに笑った。
彼はすでに自分の願いを聞いてくれた実績がある。
歳が近いこともあるが、一番仲のいい相手の名前をあげられるとやはり安心感が違う。
「…わ、わたし何か変なこと言ったかしら?
だって、いつもはすごく重たくて苦しくて仕方がないのに、深さのあるところには行ったらすごく肩が楽で不思議に思ったんだもの。
理由があるなら知ってみたいけれど…難しいの?」
水にものが浮かぶことぐらいは娘も知っている。
海へと向かった旅行で、軍艦が海に浮かんでいたのを興味深く思った時に学んだからだ。
けれど、自分は未だ浮かんでいないのに胸だけが浮かぶのはやっぱり不思議。
だから随分と楽しげに笑う母の様子に娘はただおろおろとするしかなかった。
■ロゼール > 「まぁ、アスティに聞いてみましょうか。私達で分からないなら、本人に聞いてみるのが一番よ。」
結局は、本人に聞く。ロゼールは合理性の塊でもあるから、最も最短距離を通りがちなのだ。
だから、本人に聞いてみよう、という結論に至ったのだ。
「ええ、まだまだあるわよ?深さももう少しあるし、流れがあるものないものも含めると、私も入ったことがないものすらあるかもしれない。
ええ、挑戦はどこまで行っても終わらないわ。アイシャも、私も。」
人生は挑戦の連続なのだから、アイシャも挑戦をしようとしているからこそその背を押すのだ。
「ええ、レオに。
そうね、あの子は面倒見がいいもの。それに、アイシャの事も恐らく家族で一番よく知っているでしょうから。
……あの海行き、どうしてアイシャを連れて行っても安全なのか、見事に説明してきたもの。
あれは、アイシャの事を良く分かっていなければ説明できなかったでしょうね。
だから、アイシャはレオに相談してみればいいわ。
アイシャ自身が無理だと思った事も、出来ると思ったらきっと通してくれるから。」
交渉事に関しては、ロゼールも彼にはかなわない。
それが彼の一芸だから。そして、その交渉には必ず理があるから。
そして、アイシャ自身の中でも腑に落ちる答えが見つかったのならば、これで問題ないだろうと。
「いいえ、アイシャは変なことは言ってないわ。
言われてみればそうだったわよね、と私の認識から消えていたことを笑ったのよ。」
笑いの理由を説明してから、続いた言葉に頷いて。
「なら、出来るだけ簡単に説明するわね。
私達の体には、二種類の肉があるの。一種類は、手足を動かす筋肉。
もう一つが、おっぱいに詰まってる、脂肪。
この脂肪は水に浮いて、筋肉は水に沈むのよ。
だから、脂肪ばかりのおっぱいは水に浮いて、肩の負担が下がるから、肩は楽になるわよね。
私がプールに行くのが好きな理由の一つ、よ。
アイシャもそういう意味でも気に入るかしら?」
家族の中で、女は年ごろになればみな恵体を持っている。
だから、悩みな同じこと、と。
その説明が終わった後で、しがみついてきていたアイシャの体をしっかり抱き寄せて、抱きなおしてから至近で顔を見つめつつ
「さて、アイシャ。もう一歩だけ、水と仲良くなるように踏み込んでみましょうか。
アイシャがやることは二つだけ。
1つは、私がジャンプした時に息を吸って、止めること。
もう一つは、水の中に入ったら、目を開けること。
10秒くらいだけ、水の中。……できそう?」
■アイシャ > 母の言うことは最も。
自分が気を勝手に回してあれこれ準備しても、妹が気に入らなかったらそれまで。
だから夏のお裾分けが始まったらまた妹の部屋に籠一杯抱えて届けに行こうと内心決めて一つ頷くだけにした。
「流れ?ええと…川みたいな水の流れを疑似的に作っているということ?
…足が着かないのは、まだ少し怖いけれど」
母もまだ体験したことがないエリアがあるなんて信じられない!
娘の顔は驚きに満ちて、言葉以上に感情を騙って伝えたに違いなく。
けれど母も挑戦することがあると聞くと背を押された気持ちになる。
だからなのか、そのうちに娘の顔にはやる気がにじみ出ることだろう。
「兄さま、そんなに頑張ってくれていたの?
嬉しい、……それに、私のことを一番知ってるなんて、何だか照れてしまうけれど。
でも……ふふ、今度沢山お礼をしなくちゃ!」
旅慣れていない妹の為に兄があれこれ手を尽くし、心を砕いてくれたことは勿論理解している。
けれど改めて別の視点からみた兄の尽力を聞かされると感嘆せずにはいられないし、感じる嬉しさを隠せるはずがない。
何より、自分の事を誰よりも知ってくれているのが大好きな兄だと知らされると、やはりこそばゆさはある。
本当に嬉しいのだろう、ふわふわと笑うその笑みは一層濃くなって花開くに似た様。
少女が大人になろうとしているその本当に際の頃合い独特の雰囲気は過渡期特有の者だろう。
笑いを収めた母から聞く難しい話には、難しいと前置きされていたせいで母を仰ぐ顔にも真面目さが戻る。
丁寧な解説にいちいち頷く様な相槌を入れながら聞いていた娘はその解説が終わるころにはぽかんと口をひらいて呆気に取られていた。
「…脂肪って、じゃあ、やっぱりわたしお菓子の食べすぎなのかしら…」
いつでもお菓子もご飯も美味しい自覚がある。
その成れの果てが育ちすぎたこの胸なのだとしたら、暫くお茶菓子も食後のデザートも我慢するしかない。
母に抱き寄せられる娘は今度はしょんぼりとしていたが、間近でもとにかく美しい母に顔を覗き込まれると俯くことを止めるしかない。
「…頑張ってみるわ」
母の腕の中、小さく手を拳のかたちに握ってみせるのは初めての潜水に挑むことに対する意思表示。
上手く息が止められるようにしたいのか、さっそく息を吸ってはちょっと止める練習をしてみせもする。
■ロゼール > 「そう。川みたい流れを疑似的に作っている所。
まぁ、挑戦するにしても、まずは脛くらいの深さからだけどね。
流れがあるのとないのとだと、大分感じ方が違ってくるから。」
そして、自分もまたすべてを知っているわけではないことに対しての反応は
驚きに満ちていて、だからこそのやる気も感じれば、笑顔で頷いて見せた。
「そうよ。レオは家族の事について、本当にたくさん動いてくれているわ。
アイシャとの旅行、アスティの材料購入や、化粧品販売。プティの美術品サロン。
本当は私がもう少し動くべきなんだろうけれど、あの子が出来てしまうからつい任せてしまってて。
そうね、是非沢山お礼をしてあげて?」
きっとそれが一番うれしかろうと。
そして、兄の話で見せるアイシャの反応に、何かを察したような気もするが、そこには踏み込まないと母は決めた。
仲が良いのは良いことだ、と。
そして、呆気にとられた表情と、帰ってきた言葉にはくすっと小さな笑いがこぼれて。
「アイシャでお菓子の食べ過ぎだったら、私はどれだけのものを食べすぎているのかしら。
アイシャは十分綺麗に大きくなっているわ。
肩こりで正直うっとうしいのは私も同じだけれど、それでも大きなお胸が得られているのは、男性の受けが良くなるからね。
……アイシャも好きな人がいるのなら、きっとその人も好きなんじゃないかしら。アイシャのお胸。」
軽口にはならないように、それでも重くはならないように気をつけながら紡いだ言葉。
アイシャよりも胸で一回り半は大きくて、腰回りの肉付きもアイシャよりもむっちりしているロゼール。
食べ過ぎならば、私はどれだけ食べているんだろう、と楽し気に告げることで、アイシャには大きな問題はないのだと伝えるために。
そして、頑張ってみる、との言葉が聞ければ頷いて。
「それじゃ、やってみましょう。いくわよ?」
何度かタイミングの練習をしてから、次で行くときちんと伝えた上で、飛び上がり、
アイシャの顔を見合わせることで吸って止めるタイミングを分かりやすく見せながら、止めた後でそのままプールの中へと沈んでいく。
もし、目を開くことが出来たのなら、水の中の、キラキラした水の色、空から注ぐ光がキラキラと反射している幻想的な光景が見ることが出来るだろう。
そして、きっちり10秒程度でまた水面に出て行って。
「ぷは……どう、かしら。水の中の世界、見えた?」
娘はもう一歩、果たせたのかと問いかけた。
■アイシャ > 「流れがあるのは、えっと、危ないのよね?
海にも満ちたり引いたりがあるって読んだわ。
あっという間に体が流されてしまうんだったかしら」
それは、海に旅に出る前に学んだこと。
だから旅行中も海に向かうことはあっても波打ち際には余り近づくことはしなかった。
尤も、あの旅行中は海からこちらに積極的なアプローチがあって、その結果が財宝と呼んでも差し支えない贈り物たちだったのだけれど。
兄がきょうだいたちのために心を砕いてくれていることは勿論理解している。
暫くは仕事で邸城を離れているようだが、近いうちにまた戻ると聞いているから、礼をするならその時だろう。
自分の好きな人は、この持て余している胸が好きだと聞くと首を捻った後に頬や耳がふわっと赤く染まった。
暫くはうう、とか、あう、だとか言葉にならないまま呻いていたけれどやがて結局息を一つ吐いたのちによくわからないとばかりに首を傾げるだけにとどめ
「えっと、母さまの場合?
……お酒、なのかしら?でも、お酒は飲み物だし…」
食べ物で太るとはよく聞くけれど、飲み物では聞いたことがない。
けれど母が大丈夫だというのなら、一先ずは大丈夫だと信じるしかない。
姉妹たちには相談し辛いし、何よりこんなことは男兄弟にも相談できない。
やっぱり、こういう時に頼りになるのはこの母だ。
だって今もこうやって息を止める練習にもきちんと付き合ってくれているし、こちらのタイミングを計ってくれている。
次で、と、明確に伝えてくれる挑戦の合図に首を縦に振る。
ざぶりと水に沈む瞬間の音が耳に届くよりも先に銀色の瞳をぎゅうと固く瞑って息を止めれば文字通りに頭の先から爪先までが水の中。
母は10と言っていたから、自分の中で数字を数えると同じくしておそるおそる引き結んだ瞼を緩めて水の中を仰ぐ。
こぷん、と、どこかくぐもって聞こえる水の遠く揺らめく音。
視線を少しだけ持ち上げれば上に広がる水面は星空とも違うさまに曖昧に揺らめいて陽の光が揺れていた。
(…きれい)
見とれるあまり、数えることなど忘れてしまった。
感嘆の息が泡になって上がっていく様に慌てて口を掌でおさえながら消えていく泡を見送るのは母が水面に再び引き上げてくれるほんの少し前のこと。
「…見えたわ、きらきらしてたわ!
でも…息を止めておくのは未だ練習が必要そう」
深呼吸を繰り返しながら濡れた髪が顔にかかるのを耳へと流すのも束の間、頬をまた紅くしながら自分が見たものを母に興奮しながら報告して。
■ロゼール > 「ええ、そうよ。流れがあるのは危ないの。
沢山の水が一方向に動くと、人間の体なんて簡単に運ばれてしまうから。
そうそう、アイシャもよく勉強してるわね。」
同じことを言葉を変えて、アイシャなりの言葉で返してきた返事に、十分な理解を感じれば、そこはきちんと褒めていく。
そして、自分の場合は酒ではないか、と言われる言葉。
目を瞬かせ、そして暫しアイシャを見つめていたが、
「ふふっ、あははははっ!
そうね、確かにそうだわ。私はお酒、アイシャはお菓子。
なるほど、確かにその通りだわ。」
よく見ていると感心した。
特に、良く飲む酒は醸造のワイン。糖分は他の酒より多いとなれば、
酒が原因で肉がつくのは確かにそのとおりだろう。
だが、親の目から見ても、アイシャは綺麗に育っている。
だから問題は感じないし、そのまま自分の全てを好きになってもらいたいなとも思う。
そして、水の世界へ一度潜った時、
しっかりと抱きしめることで不安を軽減し、
長すぎて不安にならないようにキッチリした時間で上がっていく。
そして向けた問いに返ってきた返事は
「でしょう?水の中はキラキラしていてとっても綺麗。
……大丈夫よ、疲れ切らない程度に、もっと練習しましょう。
息を止めて、目を開くことが出来たら、次は本格的に水練の練習が出来るようになるから。」
今日はアイシャに水の中の世界を見せたかったのだ。
そうすることで、水に顔を付けられるし、息を止めて水の中に入れるから、水練の基本中の基本はおしまい。
この先を学びたい、練習したいのならその機会を作ればいいし、水に沈むことまでを楽しんで、いろんな場所の水の中を見てみたいのなら……それもよいだろう。
何よりも、アイシャがどうしたいかなのだから。
その後、同じプールで潜水の練習を繰り返して、疲れがたまったら自ら上がって休憩をして。
結局二人ともがクタクタになるまで潜水で遊んで、水の中のキラキラを十分堪能してから、
今日は、ル・リエーの近くに取ったホテルで一泊。体を休めてから翌日に帰ることだろう。
……今日が楽しすぎて、明日ももう少し、水を楽しみたいと娘に言われたら、今日の半分の時間だろうけれど、もう少しプールを楽しんだかもしれないが、母娘の楽しいプールは最後まで楽しく、色々な発見があった。
こうしてまた、どこかに遊びに行く約束をする仲良し母娘。
さて、次はどこに行こうか。だが、それはまた、別のお話。