2025/12/17 のログ
メイベリーン > 「そーいえばメイちゃん。ピンナップの仕事って興味あった?」
と、手元のリストから目を離さないで尋ねるアルビノ黒服。
「雑誌の?」
「情報誌じゃなくて冒険者向けの」
冒険とスポーツがメイン、といいつつ風俗情報も載ってるタイプの新聞系のやつ、の話。

「冬至のおまつりの?」
暖炉の前からようやっと離れる。体が動くようになってきた。
「赤い上着とスカートと三角帽子と大きい袋担いで煙突の上に立つやつでしょ?…いーよ?」
こういう仕事は経験あって。


その後、冒険者向けスポーツペーパーに、かるーいお色気のピンナップが乗った。上記の赤い格好で投げキッスしてるやつ。
抜かりなく10分延長券とかつけられてたので、後日ちょっとお客様が増えたとか何とか。

メイベリーン > ”こういうやつ”

椅子の上に片足乗せて右肩の上に袋背負って、三角帽子ややくしゃって被って
リップ厚めに塗って投げキッスしてる的なやつ、ってこんなかんじでしょぉ?といいながらポーズだけざっくりやってる。太ももかお尻か微妙なところがチラッとしている。


アルビノ黒服、ニマニマしながら
「メイちゃん映像に興味ないのぉ?」
ほんとはそういうの好きなんでしょぉ〜?とニマニマと。

「え〜?会いに行けるアイドルのようがよくない?AV(Veta)でしょ?」

真夜中書店というチェーンで流通している映像媒体の名が出てくる。

「…だってずっと残るじゃない…ほら……!ダビングやだし!」

「…ん〜、ハイブラゼールの最高級店が王都にやってきた、っていうじゃない?アタシとしても考えてはいるのよ。ボーナス欲しいし。」

高級娼館『ファタール』王都支店。がんばれば庶民でも手が届く上にこのブランド力。
「その辺はうちのマネージャー的な師匠(ローズマリー)が垣間見てるみたいだけど…」

微妙に、お店に来る人の流れが、ちょっと変わっている。

「先の手を考えるのは上の方だもん。わたしよくわかんないし」
「そーよねえ〜〜、あ、飴ちゃんあげる」
「えへへ。あぃがと♡」

メイベリーン > 「わたし前後か上下にしか動けないよぉ?」
「アイドルはそんなこと言わない」
「今違うもんえーっとじゃあ左右で」

もともとは、だった。

メイちゃん、若干古い振り付けでくるっと回っている。左まわり&右まわり。
左右に回るって割と普通の振り付けな件。


ところで、ファタール。
ちょうどプリプリの反対の属性の立地。
プリプリは平民地区と貧困地区の間。
先方は富裕な地区と平民地区の間。

「ねーぇメイちゃん。あまり食い合わないかもよぉ。ほら立地」
「あー全然逆だよねぇ」
「ライフスタイル違うわねこれ」
タウンマップ本年度版を広げて二人してカウンターの中の台で、見てる。

そんなこんなで、そろそろメイちゃん仕事っぽく。

「話しすぎちゃった。そろそろお部屋!」
「いってらっしゃぁい♡」

ぱったぱたた。と階段を控えめに駆け上るメイちゃんの足音がした。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/娼館「プリプリ」」からメイベリーンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/娼館「プリプリ」」に娼館「プリプリ」さんが現れました。
娼館「プリプリ」 > 「あと2週間で年越しかよはははは冗談だろおい」

ほんとなーこまっちゃうよなー、と爆笑する老黒服。

「いや、冗談じゃねえな。」

齢60、時間が異常に早く過ぎる年齢。

カウンターの向こうは、老黒服とふたなり黒服子の2人体制で来客受付中。
老黒服はカウンターの中にいるふたなり黒服子と雑談してる。

「24時間365日ってのは変わらねえんだよな。何でか、ジジイになればなるほど早いんだ。何ともならねえのが辛えが…」

ふと壁際のキャストたちの絵型を見る。夏から整理整頓を進め、ここまで並べることができた。
おかげさまで年末まで順調に営業できているが、ライバル店の存在もあり、気は抜かない。


本日、アンジーは冬の同人誌即売会原稿の追い込みで休み。
シーナは予約入り。
あとはフリー。

娼館「プリプリ」 > 手元の簿から目をあげて、薄ぼんやりなんとなく、ドアの向こうの街路を打ち眺めては老黒服ぼやく。

「しかしまあ、あれだな。リストアップはそろそろとして、予約で降りて来ない子は、ご無沙汰だから知らない人にはわからねえよな。…あえてフリーにさせるかあ」

マドレーヌ、また近頃のメイベリーンなど。

たまに采配を入れ替えないと、店全体が一つの方向に偏りやすくなる。
方向は風、向きと言っても良い。理屈抜きで何かの流れに乗せられてしまうこと。

たとえ一時的に客足が落ちても、しばらくはアプローチを変えるのもまた一つの方法。

娼館「プリプリ」 > 大衆店とはいえ、まず身銭を要求してからのサービス。
なので壁にかかったキャストの絵姿にはそれなりには力入れている。
あざとさ、可愛さ、麗しさ、おしとやかさ、好色さ…なにか、そのキャストの魅力を一つ、抽出できるようなものであるように、店として依頼をしている。

「しかし。まあ。」

カウンターの内側、作業スペースの上に鎮座する分厚いカットガラスの灰皿にタバコを擦り付けながら…

「飯には負けるんだよなあ」

近頃の物価というやつ。どうもどこかで凶作のようで、いちいち日用品、消耗品、常食するものの値段が、じわっと高い。

セックスをしなくても死にはしない。
だが飢えは死ぬ。


「ふん。」

還暦まで生き、理不尽には慣れているが、それにしても、である。

「飯と比べられたら、こりゃたまんねえよなあ…」