2025/10/30 のログ
■アルジェント > 木製のカップに注がれた、少し濁った色合いのそれ。雑味は多いが飲めなくはないし、その辺の水よりは安全。
その程度だから値段もそれなりに安い。
持ち合わせがないわけではないが、あまり酒食に掛けるつもりがないだけのようにも見える。
どーも、とそっけない声音で、チップと引き換えにカップを引き取る。
スン、と一度鼻を鳴らしてから一口呷った。
舌がかすかに痺れるような酒精の苦みと、甘味。
その程度で酩酊するほど弱くもないが、好んでいるわけでもない。
塩の薄い干し肉の炙りをアテにもう一口。
ぐじりと口腔で焙られた肉の繊維を噛み締める。
携行糧食に毛の生えた程度のそれは、ひたすら咀嚼回数を要求するが、噛み締めていればそれなりに旨味も引き出され。
「……───」
それを安酒の水分でふやかしながらの、静かといえば静かな飲み方。
単にその場の喧騒に融け込んで、その中で拾える情報に耳を傾けていただけでもあるが。
■アルジェント > ひとしきりそうして、他愛もない噂話──あるいは不穏の種。
そういったものを耳に入れたら、席を立つ。
代金の硬貨をテーブルに残してふらりと裏通りの影の中へと姿を消した。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 酒場」からアルジェントさんが去りました。