2025/10/29 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 酒場」にアルジェントさんが現れました。
■アルジェント > 表通りを歩けない破落戸や、後ろ暗い仕事を求めるものが訪れるような路地裏の、場末の酒場。
何処だって場所なりの秩序と賑わいは存在するし、ここもそう。
敢えてそういった場所を選ぶのは、面倒な詮索除け。
大ぶりの帽子に狼の獣相をおさめた女は気負うでもなくカウンターの一角にその身を預ける。
帽子の分厚い生地を通しても聞こえてくるさざめきに、意識だけ軽く傾けながら。
安酒と、摘まめそうなものを幾何か。
匂いの強いものを避けるようにとそれだけの注文をつけると、卓に頬杖をついて、帽子を取らないままに、灯りの脂ですすけた天井の木組みを眺めた。
耳に届く噂話。密談。様子を隠したものは特段珍しくはない。
そんなものを耳に聞き流しながら、己もまたいつ頃本来の縄張りに戻るかを算段すべきだろう。
定まった主を持っているわけではないが、原野にすごす狼にとって、こういう秩序だった場所はやや肩身が狭い。