2025/08/18 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区貧民地区 「裏市場」」にさんが現れました。
> どの地区にも通りには表もあれば裏もある。それは、治安が悪いとされる貧民地区も例外ではない。
貧民地区のとある裏通り、そこの通りは別名「裏市場」と呼ばれ、表には出し難い品物がよく並んでいると言う。

例えば、盗賊が盗んだ品を現金に換えるために手放した美術品。
例えば、没落貴族が最後まで抱え込んでいた、珍しい異形種の奴隷。
例えば、曰く付きの――魔道具。

そんな訳アリ品が多く並ぶ裏市場は、今日もどんよりとした活気のない空気に満ちていながら、多くの人々が足を運ぶ。
黒い小柄もまた、その一人。ケープのフードを被り、その下は更にストールで包んで隠す徹底した黒づくめで、怪しさあふれる風体であったが、幸い誰も奇異の目を向けるものはない。
そもそも、貧民地区は怪しい人間が多すぎる。
豪奢なドレスでも来ているならまだしも、薄汚れた古着を着る者に目を光らせる者はまずいない。

「…………」

小柄は魔道具をボロ布の上に並べて売る露天商の前で足を止め、屈んで商品をじっくりと見つめて観察する。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区貧民地区 「裏市場」」にホウセンさんが現れました。
ホウセン > 夜な夜などこかにふらりと顔を出す、小さな商人。
夜遊び好きという限定的な理由ではなく、遊び続けていたら夜になるだけだと嘯く輩だ。
そんな好事家が、掘り出し物が稀に転がり出る夜市に興味を持たぬ理由は無い。
人間に限らず、知性体というのは必ず当たる博打にはのめり込まないもので、
外れの山の中で、稀に当たりを見つけるから嵌るのであろう。
てこてこ、ぺたぺたと。
夜の貧民地区では、特に浮いてしまいそうな装いでありながら堂々と。
そういった意味では、少女とは対照的で人目を惹いて仕方ないかもしれぬ。

「嗚呼、骨董品は蔵ができる程溜まっておるから、今宵は買うつもりはありゃせん。

壺だの鏡だの、嵩張るものを童の押し付けようとするでない。」

だから、売り込みの声を掛けられるのも間々あり。
それらを慣れた具合で押し遣りながら、ふと少女が覗き込んでいる露天商の前で足を止めた。

「うん…?何ぞ、興味深いものでもあったかのぅ。
嗚呼、お主が唾を付けておるものを横取りはせんから安心するがよい。」

人外たる身が、察知した気配。
どうにもこの店には”何か”が眠ってそうだとなれば、世間話の心地で先客に語り掛けてみるが。
はて、と、懐から取り出した扇子の先を口元に当て、上体を前傾させてほつれた布の上の商品を覗き込もう。