2025/12/13 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/酒場」に夜宵さんが現れました。
夜宵 > 「――酌をしてくれる人を探しているみたいだね?」

蝶番の軋みと共に扉は開かれ、入り込む冬の外気は人の訪れを知らせよう。
グラスを傾ける男の背に掛けるのは、鈴が転がる調子の好い声音。
女と云えば、何時もと相変わらずの白い意匠の着物姿と一振りの刀を携えて。
扉が閉まる頃合いには、彼の座る席へと距離を近くにして。

「久しぶりだね。あの時――以来かな。君とまた出逢うのは。
 ……さて、如何しようか。お酌位なら、するのも吝かではないけれど。」

嫣然と笑みながら、近くのスツールでも引き寄せて座り、彼の台詞に乗るのだと。
何時だってそう。女は、彼の言葉節を指で掬いとって話すのだ。
揶揄い交じりともなるが、決して其処には澱みや嫌みは無く。
するりと懐にでも入り込む様な軽やかさで、添おうとする。

ケストレル > 「まあ、この辺りの治安を考えれば高望みも良いとこなのは分かってるけど……さ?」

主人の冷ややかな視線を受け流しつつ、替えのグラスを受け取りつつボヤく
貧民地区と言う立地上、女性が独りで訪れることはそう無い店だ
その事はケストレルも重々承知しているし、だからこそ面白い邂逅があるのでは、と思うのだが

頬杖をついてグラスを傾けようとした矢先、入り口から吹く寒風に身を竦める
誰か来たのか、と緩慢に振り返って目を向ければ

「あら、夜宵さん―――確かに久しぶりだけど、すっかり馴染みの顔って感じだ
 夜宵さん相手じゃ、酌どころかそれ以上を期待しちゃうじゃんか」

見知った顔に頬を緩ませて、軽口を返す
頻繁に顔を合わせるという訳ではないが、それは互いの職業柄無理もないことと割り切れる
むしろ、互いに冒険者としての肩書を持つ割に、顔を合わせる頻度はそれなりにある方ではないかとすら思えて

「夜宵さんも何か飲む?
 辺鄙なところにある店ではあるけど、平民地区の酒場にも負けてない品揃えだからさ」

初めの内こそ物珍しかった彼女の衣装も、すっかり彼女を構成する一因として馴染んで来たな、と思う
それはきっと、彼女についてこれまで色んな形で深く知り得た結果かもしれないが

夜宵 > 「見慣れる位には、身近に感じて呉れてるようだね。
 飲むにも酌に付き合うにも今日は未だ宿を取っていないから
 ――…好い場所を教えて貰わないと。」

思わせぶりな素振りと、誘いにも似た言葉。乗るも乗らぬも興の内。
出逢ってしまえば事は進むものとして、今しがたの酒席に付くとしようか。
――酒の種類に関しては、特にこだわりはない故に希望だけは添えて伝えようと。

「前の柑橘酒も良かったけれど、あれとは違った物とかも悪くない。
 品ぞろえが好いなら――甘いのもあるかな?」

するり、と脚を軽く組み。高く結んだお下げ髪が揺れる。
女が纏う異国情緒も、彼にとってはもう馴染みの一つだろうか。

物珍しさ故の何時かの彼の反応は、きっとずっと記憶に残っている。
――忘れられないやり取りの一つとして。
顔を突き合わせれば過去の事ばかり思い出すのは、それだけ印象が深かったに違いはない。

ケストレル > 「まあ、同業ってのもあるし……大分身近には感じてるね
 そういう事なら……、この酒場の奥が幾つか部屋を借りれるはず」

そう言って主人へと目配せすれば、空のグラスを磨きながら無言で首肯する酒場の主
宿屋を兼ねている訳ではなく、飽く迄酔い潰れた客様に一時的に貸し出すため、質素な部屋があるのみだ
たまに飲みに来たケストレルは、帰りが遅くなりそうな時は開き直って仮眠する事も稀にある

「甘いの、か……
 それなら、俺はあんまり飲まないけど珈琲みたいなのがあったはずだよね?」

所謂カルーアミルク
再び主人を見れば、またしても無言で首肯
拭いていたグラスを置くと、酒の準備に取り掛かる

「いっぺん飲んだことあるけど、俺には甘過ぎてさ
 悪酔いしない様に気を付けて……まあ、介抱はするけどさ
 それより、前に会った時の事だけど――」

そうして話しに花を咲かせつつ、異国情緒纏う彼女との酒の席を楽しむのだ
その話の内容は、当人たちのみ知る思い出であり、酒場の主も聞き耳を立てるという事は無く――

夜宵 > 「…有り難う。じゃあ、酔ってしまっても安心して休めるというものだね。」

女は酒精を纏っても酔うことはない。幾らか顔には出るだけで。
これに限ってはただの言い訳。尤もらしい理由の一つ。
先立って主人へ部屋を借りる旨を伝えると、一時の仮宿は確保と言った所。

「…珈琲、って。あの苦い飲み物、だよね。
 あれを甘くしたものなのかな。
 ……うん、好きになるかどうかは、飲んでから決める事にするよ。」

飲まず嫌いというのは性分ではない。
味わってから判断を下しても良いと考えたのち、注文を頼み。
漂う珈琲のリキュールの香りとミルクを注ぐ音が聞こえてくる、主人の手元を興味深そうに見詰めていた。

「見た感じ強いお酒みたいだね。
 ――…ふふ、じゃあ。酔っちゃったら頼もうかな。…酔っちゃったら、だけど。」

他愛のない話に花を咲かせ、今しがたの酒宴となれば。
いつぞやの言葉を持ち出しては揶揄ったりと――そんなやり取りが続いていた事だろう。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区/酒場」から夜宵さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/酒場」からケストレルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にルーベルさんが現れました。
ルーベル > 貧民地区の繁華街。怪しげな店が並ぶ通り。

普段身に着けているものよりはいくらか質の悪いローブを選び、店を巡る。
いつもどおりのローブであっても構いはしないのだが、一応は忍んで、というような露店行脚。

初老に差し掛かりながら稚気めいたことをしているのは、貧民地区の店には合法非合法問わず、変わった出物があるから。

貴族らしく共でも連れて歩いてもよいのだろうけれど、場にはふさわしくないだろう。
人を雇っての案内も考えたが、自らの足で向かうのも一興、と、思っての店巡り。

「ほう、なるほど…粗削りだが理屈には適っておるの…」

変わり者の錬金術師やら魔導師やらは貧民地区に隠れ住む者も多い。
そんな中の一つなのか、に展示された魔導具の術式を読んでは一人頷く。

見るからに怪しい様子は周囲からはカモに見えるか触れないほうがよい手合いに見えるか。

ルーベル > 普段目にする物とも違う代物を色々と物色しながら、店を渡り歩いて…。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からルーベルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にアキアスさんが現れました。
アキアス > 冷え込み厳しい時節。普段通りのパフォーマンスで荒事ができるうちに蓄えて、この時期はほどほどに仕事をする。
冒険者稼業も長くやっていると自然とそういう一年の流れが身に付いていた。

もちろんそう上手くいかないことも予定外の事もあるが、今年は程よく蓄えもできて。
得意先相手にこの時期にいつも受ける仕事、なんていうものもあるから、無難に過ごせそうだと。

明るいうちに依頼を受けて済ませ、日銭を稼ぎつつ貯えと合わせていつも通りの振る舞いで過ごすだけ。

すなわち。酒を飲んで旨い飯を食って、良い女と褥を共にする。
王都ではどこにでもいる冒険者稼業の男。

その日も店主の愛想は今一つ、二つだが味は良い飯屋で腹を満たし、ついでに酒精も楽しんで。
ほろ酔い気分で繁華街にと繰り出してゆく。

寒くなっても、そこは商売柄のなにか細工があるのか。それとも意地か。
肌の露出は案外に変わらない娼婦たちの客引きの声を聞いたりしながら。

「さぁて、もすこし飲んでからか、さっさとどっかに入るか」

迷うねぇ、と、顎を撫でつつ大きな体を揺らして通りを歩く。
多少誰かにぶつかっても体躯のせいか、上機嫌で先に男がかるく詫びの視線を送るからか、難癖つける者もなく。
気分良くこの後の過ごし方を考えながらにぶらぶらと歩みを進めて。