2025/12/03 のログ
■ネーラ > 夕方の歓楽街を、ベロアのコートにタイトなニットとワイドパンツ姿で歩き回っているネーラ。
娼館に避妊具を配ってまわっている。
「…というわけで、使用したものはこの時間停止のサンプル箱に入れてにわとこ商店まで。よしなに頼むぞ。」
「よしなに頼むぞ。」
高級店、大衆店、格安店、併せて6軒ほどに配って
「こんなものじゃろう」
ひとまずの準備が終わった。
ホムンクルス製造には人間の精液が必要である。
そのための採取として自力で射精してもらうようにアルバイトを依頼したが、それではいまいち自発的に行動せず効率が悪いことがわかった。そこで、
(黙っていても精液が貯まる店があるではないか)
と思い、こんな施策を打っている。
歩き回っていると、街娼だと思っているのか、性欲が透けて見える顔で近づいてくる男がいるが。
「…ご生憎じゃな。違うぞ。」
男は、きまりわるげにさ、と距離をとって影を潜めるものである。
まあ、ネーラの濃密な色気が問題ではあった。
■ネーラ > 「…大体本当にそうなら、もっとやりやすい服装を選ぶ。」
馬鹿な男よな、と内心呆れながら、初手で銭金でカタをつけようというのはまだまともかと思い直し、赦してやることとする。
ネーラの場合、ホムンクルスは魔法の補助術者や、店の計算事務に使っている。ホムンクルスはアーティファクトであり人間ではないから、労働法制度もおそらく関係がない。
できるからやる。当然であるな、というところ。
歓楽街のやや剣呑なあたり、きな臭い空気をやり過ごしつつ、路面がひび割れた舗装路に気をつけている。
足元には雨の水たまり、犬の尿の跡。
あるいは街頭での喧嘩の名残か僅かな血飛沫。
年季の入った雑居棟の店、妙に味がある物販店舗に、貧相な面ざしの集合住宅。
贅沢に見えてその実ひたすらに安っぽい格安の娼館。
生活と因業の吹き溜まるやるせない街並みを、この魔女は歩いているのだ。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からネーラさんが去りました。