2025/10/06 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にセニアさんが現れました。
■セニア > 【夕暮れ:王都マグメール 貧民地区 大通り】
簡単な仕事を終わらせ、そこいらで近くに出ていた露店で簡単な食事を包んでもらい。
その紙袋を片手に持ち、ゆるゆると道を進む。
目的地は特になく、どこかで座って食べようかな、といった程度で。
夕暮れで人がそれなりに多くがやがやとする喧噪をするすると滑るように歩いていく。
公園だのといった施設があればいいのだが、今更思い出すがこの辺りにはそういったものもほとんどない。
さて、と軽く顎に手を当てて考える。
その間も喧噪の中を淀みなく進み続けて。
どうせなら、どこか落ち着ける所がいいなあ、と思いつつも折角包んでもらってすぐなのだから、冷めないうちに食べたい、という気持ちもある。
今更露店近くにあったスペースで食べればよかったな、と思い直すが後の祭り。
人が多いと歩きながら食べるというのもイマイチよろしくなさそうで。
「よわったなぁ」
と、そのじとりとした目と表情を特に変えることなくなんとなしに呟いて。
■セニア > 落ち着いて食べれないなら、少しばかり人のいない方で食べようか、そう思い直し。
大通りから少し横にそれて、裏路地に近い方へと脚を進めていく。
そちらの方へと行けば、夕暮れで少しばかり薄暗く人通りも少ない。
勿論、危険も孕んでいるが、それでもあの喧騒の中で落ち着かず食べるのもなあ、という方が勝っていた。
すぃ、と大通りから裏路地へと抜けてきょろきょろと見回す。
予想通り、というか人はいない訳ではないが少なく、今の所そういった輩もいなさそうである。
「~♪」
鼻歌交じりに少し進んだ処、少し高い所に腰かけられそうな木箱がある。
そこまで眺めもよくないだろうが、少しはマシだろう、と思いそこへひょいひょいと、近くを伝って座る。
そこには包まるようにして休んでいた先客がいて。
「ありゃ……猫だ」
先客はこちらを一瞥した後、興味なさそうにてしてしと少しばかり近くを叩くとまた包まるようにして休み始めた。
まるでここまではいいがそれよりはだめだぞ、と指でさすように感じたのは気のせいか。
それより、人がここまで近づいて逃げないのは餌付けでもされてるのか、単にこのお猫様が図太いのか。
「……じゃ、まあちょっとお邪魔しますよ……っと」
そう呟いてからがさがさと紙袋を開き、そのまま食べれる軽食を取り出してかぶりついた。
■セニア > 肉と野菜を適当に火で炒め、パンにはさんでソースで味を付けただけの簡単な代物。
安っぽい味なものの、さっさと食べやすく、嫌いではない味。
少しばかり具材が零れやすいのが難点で。
後手にソースがつきやすい。
「相変わらず、上手く食べれないなあ」
とはいえこれを零さずきっちり食べれる奴はいるのか?と少しばかり思いながら。
指についたソースをぺろ、と舐め取る。
ぼんやりとその少しばかり高台から眺めれば、遠くの方の空は少しずつ、暗くなってきていて。
この辺りもいずれ真っ暗になるだろう。
ちなみに、近くを通りかかる人らは、何してるんだ?と少しだけこちらを見るが、基本的には非干渉。
時間も時間である、余り遅りたくはないのだろう、下を通っていく人々はどこか急ぐようで。
一方こちらは気楽なもので、襲われそうになればさっさと屋根伝いに逃げてやろう、などと思いながら。
高さ的にも問題なく、行けそうだと一応確認はして。
「んぉ……?」
気付けば先客がてしてしと腿を前足で叩いていた。
そちらを見れば、こちらが手に持っているものに随分と御執着なされているご様子で。
まあ近くで肉やらの匂いがすれば、野良猫だろうので気にもなろう。
とはいえ本当に図太い猫である。
「欲しいのこれ」
と、声をかけてみるものの、猫であるし意思疎通の方法は彼女は持ち合わせていない。
が、その声ににゃあと一鳴き。
まるでこちらが言っていることがわかっているようで。
とはいえ、猫が食べていいものなのかこれ、と思うものの。
「ま、いいよね」
大丈夫だろう、と。
とりあえずパンと肉だけを軽く千切り掌に置き、鼻先へ持っていく。
しかしすん、とそこからは受け取らないで引き続き腿を叩く猫。
「……すごい厚かましいなこの子」
木箱の上にそ、っと置けば少しこちらを見た後に、そこから食べ始めた。
警戒は一応しているらしい。
偉いというべきなのか何なのか、と思いながらもう一口かじりつく。
■セニア > 「ん……美味しかった」
ぺろ、と手についたソースや汁を舐め取る。
横をみればこちらが追加で置いておいた肉とパンを平らげ、満足気に次は紙袋で戯れる猫の姿。
ちなみに撫でようとしたらあっさり威嚇されたのでやめておく。
「お前は気楽でいいね」
苦笑しながらその様子をしばし、眺める事にしよう。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からセニアさんが去りました。