2025/10/01 のログ
■ティアフェル > 「うぇえぇ~っ、嘗めないでえぇ生臭いよぉ~いやあぁぁっ……」
わんわんぎゃんぎゃん尻尾振り回しながらじゃれつかれて嘗め回され。
とうとうべそべそ泣きじゃくりながら犬恐怖症は地獄のような思いを味わっていた。
本気で嫌がっている女の様子だったので、犬がじゃれついているのか襲い掛かっているのか見る者によってそれぞれ受け取られ方が異なるだろう光景だった。
故に場合によってはそれを見た所で『ああ、じゃれつかれてるんだな……』と冷静に判断されてスルーされるのが多数だったようで。
「うぅえぇぇ~マジでやだあぁぁ……って、え……?」
滅茶苦茶顔くしゃくしゃにして前足をかけてべろべろしてくる犬に泣かされていた最中。
「ぇ、う、えあ……」
犬と自分の間に突如豊満な体型の女性が割り入った。
きょとん、と泣きべそできょとんとしてその背を見上げ。
犬の方も『なんでじゃまするの?』と云わんばかりにきょとん、として「わふ?」と疑問符をくっつけて首を傾げていた。
しかしこっちとしては地獄に仏だったので。
「うわああぁん、おねえさん~~その犬追い払ってえぇぇ(精神的に)殺されるぅ~~」
情けない顔して庇う彼女の背に隠れながら訴えた。
■スヴィチューナ > 本人比格好良く飛び出したはいいが、思ったより犬が大きかったりしたので
『・・・逃げようかな』とか一瞬考えてしまい、必死に泣きついて来る被害者?な女性の方見て。
涙(と犬の涎)でぐしゃぐしゃな顔で『殺される』とか訴えてくる様子に
逃げるとかありえないなと覚悟決めて改めて犬に向き直るが。
「ええと・・・えっ?」
突然の乱入者に飛び掛かってくるかと思いきや、人懐っこく泣きながら首傾げる様子に
違和感感じながらもう一度女性を見やる。
・・・こうなると実は女性がこの犬とグルで、こうやって後ろ向いている間に
財布とか抜き取ろうとしてるのかなとか思ってしまったが、
女性の怯えた様子はどう見ても演技には見えなくて、少し迷っていたが
「あ、これって犬苦手なヒトだ」と思い当たり。
自分も貴族・異種族・魔法使いには本能に近いレベルで
怯え感じてしまう性格であり、ここまでひどくはないにしろ怖いのは良く判ってしまう。
ならば、この場を修める方法は・・・
保険医の答えは、無駄に大きい胸目立たせている肩から下げたカバンから、
布に包んだ少し冷めた大ぶりのソーセージ(酒場からの持ち帰り(許可済み))を
取り出して文字通り犬の鼻先にぶら下げて。
「良い子です・・・いい子ですから、どうか今日の所はこれで許してあげて下さぁい・・・」
犬に対しての貢ぎ物付き懇願であった。
■ティアフェル > 見かねてタダヒールしてやったのに襲い掛かって(じゃれついて)来やがって恩知らずが。
と内心大分鬱憤が溜まった。
でも、近づいて来られると怒るより怖くて。
大層情けなくひいひい泣いていたが。
「助けてぇ~……犬やだあぁぁ」
どうにか助けてくれそうな人がやって来たのでへたり込んで弱弱しい声で訴えた。
噛みつかれてもいないし、不当に襲われた痕はもちろんない。
犬も何が起こったのかな?と良く分かっていない様子で目をぱちくりさせている。
一応はその状況を投げ出さないで対処してくれるらしく。
鞄から取り出された腸詰に犬はいち早くピクリと反応して。
わんわんっと少し興奮したように啼きだし。
鼻先にぶら下げられたそれにかぷっと噛り付いて、大きな口であっという間に平らげ。
舌で口周りをぺろぺろ嘗めながら。
『もっとくれ』といいたげな期待らんらんとした目を向けていた。
犬を追い払いたいのであれば遠くへ投げるべきだったかも知れない。
「……今のうち……?」
そーっとそおっと……庇い出てくれた女性の背後では犬嫌いなヒーラーがどさまぎに逃げようとゆっくり後退していた。
この際だ……犬をこの人に押し付けてわたしは逃げる。
と大変自分本位な逃走を図っていた。
■スヴィチューナ > ・・・失敗した。
見逃してくれるどころか、更なる要求言い出しそうな大型犬の様子に内心頭を抱える。
というか、あくまで残り物でしかなかったソーセージは今のが最後の一本。
もっとと強請るような期待に満ちた目向けられてもある訳がない、
さてどうしたものかと思案していたが、
何だか後ろで泣きじゃくっていたはずの女性の声が聞こえないどころか、
何となく気配が遠ざかっていると気づく。
このまま大型犬押し付けられたりすると、保険医的には大変困ったりするのである。
流石に後ろの女性ほどではないが、こんな大きな犬はあまり得意ではない。
貢物だって、カバンの中には食べ物はあと一つしかないので
ここでこの犬を追い払わないと、保険医にもどうにもできなくなる。
そして、本業以外にはあまり能力発揮しない脳みそで考え出したのは・・・
「・・・もう、これだけしかありませんっ!
好きなだけあげますから、わたし達の事は放っておいて下さぁい!」
再びカバンの中から取り出したのは袋入りのバタークッキー(特売品)。
その封を勢い良く開けて、中身を通路一杯にぶちまけると、さっと立ち上がって
「さあ、今のうちににげ・・・って、あなた何でそんなとこにいるんですか!?
酷いです、わたしにこの子押し付ける気だったんですね!!
お礼して欲しいとか言いませんけど、あんまりだと思いますう!」
もう数歩先にいる女性の姿認めて、ぎゃんすか文句はつけるものの、
とりあえずは逃げるのが先決と一緒になって走り出し。
もし女性が体力とか怯えのせいで足進まないようなら、追い越しかけるが
戻って手を繋いで、路地裏なんかを慣れた様子でチンピラとかに出会わないように導いてみたり。
■ティアフェル > 善意に全力で甘え倒して犬の対応を一切合切お任せしてしまう。
だって自分にはどうにもできないのだ。
本当に犬だけは無理。何か他のモンスター的なものだったらボコりに行くのもやぶさかではないのだが。
これはほんとーに無理。
犬を首尾よく追い払うことに失敗してしまった女性に。
この人は駄目かも知れない。わたしだけでも助かろう……。
とTHE人でなしな思考でそろそろ後ずさり始めた。
しかし最終手段が行使されたようである。
食べ物はまだ持っていたらしく。
『なんがくれ』
厚かましい犬にはソーセージほどは魅力的ではなかったものの。
食えるものならこの際なんでもいいとぶちまけられたクッキーを路上に顔を伏せ喜々として、がふがふっと貪り始めた。
「ごめんなさい! 自分の身がかわいかったんです……!!」
そーっとひとりで逃げようとしていた現場を咎められて、びくうっと肩を跳ねさせ。
エゴ塗れの科白を正直に発する。
責められて当然ではあるし……ここで掌返して犬の前に放り出されても文句は云えないところだが。
犬が餌に夢中になっている内に一緒に逃げ出すと、手を繋いで路地裏をかけていく。
充分に距離を取ると、はあはあと額に汗して立ち止まり。
「もー……大丈夫……かな……? っはあぁ~…死ぬかと思った……。
改めてありがとう&ごめんなさい。犬に人身御供として捧げて自分だけ助かろうと思ったことを心よりお詫び申し上げます……」
深々と頭を下げて陳謝した。
本当にごめんなさいとは思うが……でも反省はしていない。だって同じ状況になったらやっぱり自分だけでも逃げようとしてしまうだろうから。もうしません、とは云えない。
■スヴィチューナ > 文字通り苦肉の策(クッキーだが)成功したと見えて、
大型犬が後を追ってくる様子は無く、どうにかこうにか逃げ続け。
途中で何か言っていたようだが、犬の気配しないかどうかに神経全集中していた保険医は
「お話があるんだったら、あとで聞きます!
いいですから今はとりあえず走ってください!」
と叫び返し。
ようやっと落ちついて、もう犬から十分離れたと感じて立ち止まると、
早々に礼の言葉受け、慌てて両手前に突き出してぶんぶんと振り。
「いえいえ・・・わたしだって怖いものはありますし、
逃げたくなる気持ちは判らないでもないです・・・。
でもわたしもあんな大きい犬は得意じゃないので、あのまま置いていかれると
大変に困りましたんで、思わずあんな言い方しちゃったんですよ。
もう気にしてませんからあまり謝らないでくださいね?」
これは本気でそう思っており、別に女性の行い咎めたかったわけではないので
にへらと締まりのない笑いを少しふっくらとした顔に浮かべて。
■ティアフェル > 走る途中身勝手な懺悔をしたが――それどころじゃなかったらしい。
むしろ耳に入ってなかった方が良かったんだろうか。
「うーわ、ってかそんな酒の匂いさしてよくそんな走れんね!? おねえさん……!」
呑んだ後に通りかかったたしく結構酒の匂いがしていたので……走って気分とか悪くならんだろうかと心配というか……走れるコンディションか…?とも懸念。
しかしながらどうにか犬も追ってこない場所まで逃げおおせて改めて謝ると。
首を振る所作に頬を掻いて頭を上げて首を傾け。
「ぁー……そぉ?
やー……悪いとは思ったんだけど……あの場にわたしが残ってもできることは何一つない訳で。
別に犬もあなたに用があった訳でもないだろうから、食べ物がなかったとしたらその内諦めるだろうかな、って思いまして……」
どうにもお人好しっぽい彼女の様子に一応自分勝手ではあるもののある種筋の通ったいいわけをして。
「まー、ともあれ助かったわ~……
ごめんね、食べ物犬にやっちゃったね。
てゆうか、お酒の匂いしてるけど……へーき? けっこ走ってたけど……水飲む……?」
ウエストバッグから小さな水筒を取り出して首を傾げ。
■スヴィチューナ > 落ち着いてみると、保険医より背も低くなかなかに可愛らしいと表現してもいい女性。
別に美醜でヒト助けるかどうか選んでいる訳ではないのだが、これは助けてよかったと思える相手で。
確かにいつも飲む量の半分で抑えたとはいえ、酒の匂いだけは十分すぎる程に匂っており、
あれだけ走れば体調心配されるのも当然だと、へへへとかバツ悪げな顔をしてしまい。
「それはそうかもですけど・・・いくら相手が悪くなくても厄介なの押し付けられても困りますよう。
あ、いえ・・・実はあれ安物なので、家にはまだたくさん買い置きがありますから、大丈夫です。
それに・・・こっちは無事ですからあまり問題ないのですよ」
ほら、とカバン開けると、大きな木の皿一つと同じく木製のカップが二つ、
そして大袋入りのナッツ(やはり特売品)が入っていたり。
「あはは・・・わたし、こう見えてもお酒には強いのですよ。
今日はいつも一緒に吞んでるドワーフさんがお休みだったので、あまり長居しなかったもので
まだ火酒5本くらいしか飲んでないから平気です。
でも走って喉乾いたので、お水は有り難く頂きますっ!」
自分も水筒は持っているが、あいにく中身のローズヒップはすっからかんで、
水分貰えるなら遠慮せず戴きますと、木のコップ差し出して。
■ティアフェル > こんだけ酒の匂いがしてれば鼻のいい犬は途中でいやになって退散するだろう…とも踏んでいた。
それにしても匂いがするくらい呑んでる割りには元気そうだ。
自分で走り出す位だから大して堪えていないのだろうとは見受けるが。
「うん、酒くさいから犬の方が逃げ出すのも時間の問題だと思ったんだ。すまん。
そう? でも悪いなあ……弁償くらいしないと………、まだあるんだ」
申し訳なさそうな顔をしていたが、まだ手持ちに何か持っている。
大食なのかな、と首を捻りつつ……こんだけ立派な乳しとったらそりゃあ栄養も持っていかれるだろう……と勝手に納得した。
「なかなかウワバミだね……まあそういうのもいるけど……ただわたしの知り合い筋の呑兵衛は……人間ではなかったなぁ。
――あ、はいはい、どうぞーお疲れ様ー」
駆けつけ一杯、じゃないが。
そんな気の利いたものじゃなくってただの水だが、とくとくと差し出された木製のカップに注いで。
自分もそれから一口飲むと、ふーっと息を吐いて。
「やー……しかし何かお礼くらいはしなきゃかな。
っと、その前におねーさんなんていうの? わたしはティアフェル。ヒーラーなの」
■スヴィチューナ > 「あはは、わたし実はコクマー・ラジエル学院でカウンセラー兼保険医やってまして、
いつでもどこでもお気軽にお悩み相談できるようにと、リラックス用の飲食物携帯してるんですよ。
クッキーは甘いしお手軽だし、そういうのが嫌いなヒトでもナッツはそこそこ受けがいいので
両方持ってるわけです・・・今日は暑かったから、お茶代わりのハーブティ・・・
ローズヒップは品切れちゃいましたけど。
だから弁償とか心配しなくていいですよ。
あの犬君もお腹一杯になったでしょうし、少しいい事したと思っておきます、うん」
確かに保険医はよく食べよく吞む方だが、手持ちのこれはそうではなくて
あくまで仕事用、つまりわたしは大食いではないと胸張って、少しだけ誇らしげに語る。
なお、ウワバミの方は否定しない模様。
「・・・人間じゃないヒトとお付き合いあるんですか・・・
あなた、わたしなんかより度胸あるのに犬が苦手なんですね・・・ふふ。
わあ、有難う御座います・・・ぷはあー、喉乾いてるときはやっぱりお水が一番ですねえ。
あはは、あれくらいの事でお礼なんていりませんよう。
もし良かったらお友達になってもらえると、嬉しいんですけど。
わたし基本学院と家の往復なので、なかなかそういう機会ないもので。
あ、申し遅れました。わたしスヴィチューナといいます。
職業はさっき言った通り、カウンセラー兼保険医やってます」
・・・と言うのはあくまで表向きで、
実態は催眠等によって都合よく学院に備えられた、予備の予備の性欲処理用人員だったりするのだが。
■ティアフェル > 「へー……悩み相談ねえ……
わたしは犬が怖いのが最大のお悩み……
そっかあ……じゃあまあ、あんまり遠慮なく……
どうもありがとう」
そんなに気を遣わないようにと慮ってくれているようなので、改めてお礼を述べるに留めておいて。
そして永遠の悩みである犬恐怖症……改善できそうもないそれに小さく溜息をついた。
「うん、そういう友達もいる。
そうかな。人間じゃないと怖い? わたしは犬じゃなかったら大抵怖くない。
いえいえ、良かった。まあ特に呑んだ後はねえ。喉からからんなるし。
え? 友達…? あ、うん! もちろん。わたしでよければ喜んで。よろしくね。
あーね。行動範囲限られるとねえ……。
スヴィチューナさん……えーと……スーさん……でいい?
保健の先生ってちょっと興味あるな。今度聞かせて。
今日はもう遅いしそろそろ帰らなくっちゃね。引き留めちゃってごめんね、また遊ぼー」
そんな話をしていると月の位置も大分傾いてきていることに気付いて。ふあ…と小さく欠伸をしながら、帰りましょ。と水筒を仕舞って一緒に帰路を辿ることにしようか。
新しくできたお友達と途中まであれこれおしゃべりしながら。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からティアフェルさんが去りました。
■スヴィチューナ > 「ああ、さっきのはやっぱりそういう事だったんですね。
怖いって言うのは、その原因に対しての対処とか問題になってきますから、
軽くはお答えできないですねえ。
また時間のある時にでも、ゆっくりお話ししましょうか?」
無論それでどうにかなると保証できるわけではない、
それでも悩んでいるというなら放っておくわけにもいかないから、
もし心底改善したいというのであれば、改めて相談に乗ると約束してみて。
「・・・わたしもそうじゃ無い知り合いはいますけど、
最初はやっぱり身構えちゃいます。
今までお会いしたヒトは話してみたら、みんな良いヒトだったんで、ほっとしました。
あ、有難う御座います!
じゃあ、都合のいい時でいいですから、お酒とか付き合ってくださいね♪
はい!スーさん・・・ではわたしは、ティアさんと呼ばせていただきますっ!
・・・あー、わたし実は結構暇してますので、あまり面白い事はないですけど、
また今度お話させてもらいますね?」
月の輝く夜に珍しくウキウキとおしゃべりしながら、お互いの家路を急ぐ。
・・・変なチンピラとかに絡まれないよう、細心の注意を払いながらではあるが。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からスヴィチューナさんが去りました。