2025/08/23 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にラミエルさんが現れました。
ラミエル > 王都の周縁部分に位置する貧民地区。

お世辞にもお上品とは言えず、違法な魔法薬と酒のカクテルをやって汚物まみれで倒れ込む状態の酔客やその衣服を漁り銅貨の一枚でもないかと探る孤児、その孤児たちから日々の『上がり』をかすめ取るクズたちがそこかしこに潜む貧民窟に、『天使』が降り立った。

天使のような、という形容詞ではない。純白の衣服、淡く輝くような燐光を纏った一対の純白の翼を持つ少女は路地裏の汚泥に足先でふれるだけでそれを浄化し聖水へと変えながら歩を進める。

「――対象の反応を喪失。逃げられてしまいましたね。失態と言わざるを得ません」

戦天使『ラミエル』はこの日も夜の帳深き王都で魔族を追っていた。退廃と堕落はびこるとある地下クラブに潜伏しているところを突き止め戦闘状態に入ったまでは良かったが、向こうも既に王都にその魔手を張り巡らせていたと見える。地下隠し通路にはじまりあらかじめ作っていた魔術的抜け道、はては息のかかった警備隊の妨害まで。『人間』に手を出すことが許可されていないラミエルはそれらを巻くのにだいぶ手間取らされてしまった。『敵』の痕跡をこれ以上追うことが出来ない。

「……一度、学院に戻るほかないか……いえ、この区域はまだ探索が十分ではありません。いっそのこと虱潰しに当たるというのは――少々早計すぎますね」

ふーっ、と息を吐く。受肉した人間の体を持ってからというもの感情というのを御さなければならないとあらためて深く意識する。戦闘興奮で心拍が加速している。思考も暴力的だ。少々偵察を行うのはいいが、虱潰しに派手にやっては余計敵を地下に潜らせてしまう。今日は収穫なしで諦めるほかなさそうだ。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からラミエルさんが去りました。